2025年5月25日、第18回目を迎えた『ジャパン・ベテランズ・モトクロス・チャンピオンシップス』──通称ジャパンVETが、埼玉県モトクロスヴィレッジで開催された。30歳代から70歳代までが全国から、年イチの再会、同窓会だ。前夜の雨のドロドロ路面にもさすがは年の功、長年の経験値と勘による巧みなライドで、同年代同士のバトルを楽しんだ。
- ■文・撮影:高橋絵里 ■主催:ウエストポイント
同年代・同レベルでレースをして、各年代でチャンピオンを決めよう。あくまで休日のお楽しみの、趣味のモトクロスではあるけれど、同じ年代で技量もほぼ同じライダー同士で競うとなれば、「だってアイツ若いから。」や「だってアイツ速いから。」といった言い訳はできません。「うーん、アイツはオレよりちょっと速いか?」なんてライバルを意識しながら練習してみたり。昨年と同じ顔ぶれに会って「あっ今年は負けたくないぞ!」と思った自分にそんな負けん気があったのかとちょっと驚いたり。
朝のマディには苦められたものの、全員イコールコンディションだし弱音は吐きません。ウエストポイント福本店長のブル捌きによって、路面はどんどんベターになっていきます。全クラスのスタート前にはMCてっぺーさんが一人ずつ選手紹介をおこなって、呼ばれたライダーは大きなリアクションで応え、みんなから拍手。ジャパンVETが始まった18年前には、恥ずかしがってうつむくライダーもいたけれど、今はちがう。アナタが主役、全員主役、もっと楽しもう! の精神はすっかり定着しました。そうして始まるレースは、相手に近いわ泥で滑るわ、これこそが何歳になってもライダーを魅了し続ける、モトクロスならではの非日常です。
(文・撮影:高橋絵里)
開会式では、2024年ワールドVETチャンピオン伊田井佐夫さんがレジェンド紹介。向かって左から長野の山形ジローさん、元ヤマハワークス田渕武さん、広島から元IA漆原さん、現役IBで70歳の加藤木さんと宮本さん、伊田さんの後ろに北海道の源治さん。
全日本並みの選手紹介をしてもらって手を振るものの、ゴーグルの中は緊張MAXです。
昭和モトクロスネタ全開なMCてっぺーさん。たまにスタートに遅刻のライダーがいると呼び出しをしながら昭和アニメソングを繰り出して場をつなぐ、こちらもベテランの風格。
午前のヒートはマディ攻略。スプリント10分ほどだが、後半の持久力欠如を感じずにはいられないライダー多し。体力作り、始めましょう。
エンデューロ~モトクロスでレース歴は40年、あれから40年! この日はスタイリッシなYZ125で2スト・56歳以上クラスを制した。「今日はYZで。他に4ストもファンバイクもミニバイクも持ってます。」とは恐れ入りました。
実況のてっぺーさんが思わず「これは速い!」と叫んだ電動バイクのSurron。「エンデューロだと電動バイクはもっといるんですけど。加速も結構すごいですよ、モトクロスでも増えるといいですね」
「モトクロス歴は5年ですが初参加です。レースを始めたら絶対ハマるだろうと解っていましたが、その通りでした(笑)。楽しいです。」娘さんの応援を受けてインターミディ+40初優勝。
普段は奥様とスポーツライドを楽しんで、レースはジャパンVETと神栖ビーチレースの年2回。「慣れないマディを耐えました。レースの緊張感がいい、特にスタ-トはテンション上がります!」
「ジャパンVETとアメリカのワールドVETは、何があっても外せません。」と北海道から毎年皆勤賞。今年は会場近くの川越観光もしっかり楽しんだ。
懐かしくてとてもきれいなRM、大事に長く乗り続けてエンジョイ。「ハンドルバーパッドのピンクがアクセントです」
80年代当時の選手権では「田渕タケシや小栗(伸幸)など錚々たるメンバーとバトルしてました」そして現在はテニスの年齢別マスターズのための体幹トレーニングとしてモトクロスを走る、オーバー60アスリート。
「モトクロスの魅力は、日常から離れて別人になれるような感覚。今日は師匠の田渕さんから『マディは低いギアで田渕乗り』するようにとのアドバイスでバッチリでした」KX112を乗りこなしてミニモトクラス優勝。
スーパーカブは目立ったし注目を浴びました。けれど今日のマディはタイヤとフェンダーの間に泥が詰まって泣きが入りました。晴天ドライなら絶対楽しそうなのでまた次回!
「来ましたよ~、外せないでしょジャパンVETは!」と瀬戸内海の百島(ももしま)から遠征、激ムズマディをヒラヒラっと走るテクはさすが元A級。
出店の浦和イタリアンスイーツ『ミオ・テゾーロ』で大人買いする田渕さんをキャッチ。「ここのアップルパイ、家族みんな大好きなんですよー」
静岡の3ライダー、「CASIO無限の伊田さんやヤマハワークスの田渕さん、カッコ良かったよなぁ」と昔話していたら、タイミング良く伊田さんご本人登場で記念撮影、感激!
VET+60は伊田さんと田渕さんのテールtoノーズで魅せた。遡る事39年前の全日本高松ヒート2、HRC伊田vsヤマハワークス田渕のまさに再現だったとか。
60代の最後にVET+60チャンピオンを決めた伊田さん、応援のお子さんお孫さんに囲まれゴキゲン。夏だビールだイダイサオ。というキャッチが昔ありました。
VET+60表彰台は2位田渕さん、3位漆原さん。いつまでも元気いっぱいのおじさま達です。
働き盛りエキスパート+50、ケガからの復活優勝、今秋アメリカワールドVET初参戦などポジティブな挑戦は続きます。
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