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試乗・解説

X-ADVを復習してみた。 その結果、 このバイクはやっぱり面白かった!
■試乗・文:松井 勉 ■撮影:増井貴光 ■協力:ホンダモーターサイクルジャパンhttps://www.honda.co.jp/motor/ ■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html、SPIDI・56design https://www.56-design.com/




9月も半ばだというのに真夏日が当たり前のように続き、終わらない夏休みのような気分になる。それでも日陰にはかすかに感じる秋の気配。だけど乗っているバイクがX-ADVとなればまるで夏休みを大延長した気分だ。長期休暇といえば遠出して海、山、そして未知の場所へと様々な新体験をイメージするし、日常で使っていてもそうした気分を掻き立てる不思議な力、それがアドベンチャー系バイクの不思議な性能。そこで、モデルチェンジして2シーズン目を迎えたホンダのX-ADVを走らせその実力を再確認してみた。

 

始まりは2015年。

 現行のX-ADVが登場したのは2021年秋。2022年モデルとして送り出された。アドベンチャースタイルを持つクロスオーバーモビリティであり、750㏄直列2気筒エンジン+DCTを搭載した成り立ちは、いわゆるスポーツバイクからスクーターライクな乗り物へとアプローチした造りということができる。この手法は2012年に登場したINTEGRAに近い。NCシリーズのパワートレーン、車体をベースにDCT専用車としてスクーター的なモデルとして送り出されたあのバイクだ。

 前後17インチのINTEGRAはまさにスクーターの皮を被ったスポーツバイクだった。スクーターに利便性を重視した当時としてはラゲッジスペースがない等、バイクとスクーターを串刺しにしたクロスオーバーとしては見た目がスクーターに寄りすぎた部分はあったのかもしれない。
 その点でX-ADVは、フロントは17インチ、リアは15インチと後輪を小径とすることでシート下部のラゲッジスペースを確保。同時に今までのスクーターとも異なるタフなスタイルを加味したルックスで、INTEGRAとは一線を画したキャラを提案。形勢を逆転してみせた。
 

 

 スクーターのプレミアムクラスでは過去ホンダ、スズキとともにしのぎを削り、今や世界的に唯一無二の存在となっているヤマハのTMAX。あちらはスクーターサイドからスポーツバイクへとアプローチしたことで、世界のファンに認識されたブランドだ。すでに20年以上の歴史を持つTMAXに対し、このX-ADVも短期間にマキシスクーターセグメントとしてもポジションを確立しているようだ。
 中でもバイクの人気が高いスペインなどではこの2台、双璧をなすようで、歩道にテーブルを出した街カフェでお茶していると、目抜き通りを走っている姿を目撃することが多い。で、TMAXもX-ADVもだいたいブイブイ(古!)いわせているのだ。その根底にあるのはやはりパワフルさだろう。双方、排気量の大きなエンジンを搭載し、アクセル一つでパワフルな走りが可能。さらにカテゴリートップを自認するだけに様々な先進装備も搭載している。

 ここに紹介するX-ADVにおいては人気のアドベンチャーバイクがきらめかせるゴージャスさ、先進装備、走行性能、市街地、ツーリング、ワインディングからダート路までを楽しめるマルチパーパス性もしっかり取り入れている。

 そもそもこのX-ADVの元祖となるコンセプトモデルは、2015年、ミラノで開催されたEICMAでお披露目された「City Adventure Concept」が原点。その時点で初代X-ADVの姿そのもの、といっても良いほど市販車に近い完成度だった。そのPVで表現された走りもX-ADVが目指した日常的な市街地から郊外、ワインディング、そしてダートへと足早かつパワフルに移動する姿だった。さらにその走行する姿とともに聞こえるのが270度クランクを持つ直列2気筒エンジンの音そのもの。当時からNC750シリーズにあったINTEGRAのアドベンチャーライクな解釈のモデル、という解説が成されていたから、現物が登場した時も「ああやっぱり」となったのは皆さんもご存じのとおり。
 

 

やっぱり唯一無二の個性。

 X-ADVが持つ個性、それは分析するまでもなくアフリカツインのスクーター版に仕立て直したかのようなスタイルだ。前後にチューブレスタイプのスポークホイールを履くのはもちろん、そのタイヤサイズはフロントに120/70R17、リアに160/60R15と存在感があるのはもちろん、前後で外径の異なる姿はオフロードでも直感的に走りそうな姿を伝えている。また、搭載するエンジンはNC系の270度位相クランクを持つ直列2気筒を搭載。特に2022年モデルから採用された新たな吸排気系のリファインにより、NC系エンジンとしては過去イチの軽快性を持つパワフルさを提示。乗り手を軽くのけぞらせる加速がこのモデルの魅力でもある。

 ルックスは存在感のあるツラ構成を持ち、X-ADVが一度決めたことを曲げないような意志の強さを発散しているかのようだ。切れ長のヘッドライトとテールランプ、立体的な造形のスクリーン周り、テール周りを短く切り上げたスポーツネイキッド的なディテールも見て取れる。そこにワイルドなスポークホイールを合わせ、倒立フォークとダブルディスクの足周りをフロントに、スポーツバイクのそれと同様、チェーン駆動でクッキリ見えるスイングアームとリアタイヤ周りも特徴だ。一見するとスクーター風だけどエンジンがスイングアームと同期して動くスクーターのレイアウトとは異なることが解る。
 

 

好みを活かせるライディングモード。

 テーパーバーと5インチのTFTカラーモニターが印象的なコクピット。そのメーターにはおよそ必要と思われる全ての情報を表示することが可能で、中でもスイッチ一つでバイクのキャラを決定付けるライディングモードの装備は欠かせない。
 スポーツ/スタンダード/レイン/グラベル/ユーザーと5つの中から選択が可能で、それぞれでパワー特性、トラクションコントロールの介入度、エンジンブレーキの強さ、DCTのシフトスケジュール、ABSの介入度などパラメータが変化する。ユーザーモードではそれらパラメータを設定範囲内で好みに調整が可能となる。

 例えばスポーツではアクセル開度によるパワーの出方(レスポンス)はHIGH、トラコンの介入度はLOW、エンジンブレーキはHIGH(強め)、DCTのシフトプログラムは4段階中の4で、高い回転まで引っ張ってシフトする制御、ABS介入度はHIGH、となる。
 片やレインモードではパワーの出方(レスポンス)はLOW、トラコンの介入度はHIGH、エンジンブレーキはLOW(弱め)、DCTのシフトプログラムは4段階中の1、つまり低い回転でシフトアップする制御になる。ABS介入度はHIGH。

 これ、実際に走るとエンジンキャラクターとシフトスケジュールの違いによりまるで別の乗り味になる。スタンダードはスポーツとレインの中間的な制御となる。また、グラベルモードは、ダート路走行を考慮したモードで、アクセルレスポンスの良さでライダーのスキル次第で一体感をさらに構築できるようなパラメータが採られている。中でもDCTのクラッチ制御をアフリカツインでも採用されているGモード(アクセルオン、オフ時のダイレクトさを優先して駆動系スナッチをよりリアルに出るようにしたもの)制御を取り入れている。これにより、トルクフルなエンジンが活発になる3000rpmあたりから上でコントロールをすれば、後輪と右手が直結になったようなフィーリングも味わえるのだ。
 そしてユーザーでは好みのパラメータを自由に選択することで、好きな乗り味にX-ADVをパーソナライズできるのも面白い。例えばトラコンオフも選択できるから、ダートでテールを積極的に滑らせたい、という要望にも応えてくれるのだ。
 

 

大柄感が出ない市街地での一体感。

 正直言って取り回しは重たい。車重236㎏とビッグバイクとしては標準的なものなのだが、走ると軽快さもあるのにガレージでの取り回しは気合いがいる。跨がってしまえばアドベンチャーバイクによくあるライダー視点の中に占める燃料タンクの大きさというパートがないX-ADVは着座位置とハンドルバー左右のエンド、そして車体前部の見切りがよく少し高めの位置から眺めるような印象だ。

 X-ADVはスクリーン周りの抜け感、ボディやタンクの存在感が低い位置で収められている印象なのがそうした視覚的軽さにもつながっているのだと思う。実際市街地に出てみると持てる加速性能も後押しして、大柄さをまったく感じさせない。だからこそ心が躍り出す。X-ADVは吸排気の最適化を受けたことでレスポンスが先代よりも一段素早くなった。同時にスロットルバイワイヤーとなったアクセル操作に対するリアクションの設定もあってか、ライダーが込めた右手への意思を素早く加速に変換してみせる。これもCVTを採用したスクーターとは一線を画するダイレクトさ。DCTによる多段ミッションらしい加速度やシフトアップ、ダウンによる音の変化が刺激をするのだ。
 

 
 ライディングモードのスタンダードですらアクセル捻るとスムーズな発進、というよりドンと蹴り出すようなスタートでライダーを満たそうとする。ユーロ4時代のDCT+NC系エンジンが持っていた緩やかなタメのような部分スタンダードモードでは姿を潜めた印象だ。

 個人的にはレインモードが落ち着く。アクセルレスポンスがマイルドになり、気を遣わずに750㏄ツインのトルクを引き出せる。シフトアップタイミングも早めになり、このエンジンの持ち味の一つでもある鼓動感も簡単に引き出せる。2000rpm程度からアクセルを開けていくと、ドコドコドコと心地よい鼓動とマフラーからの音がライダーに届く。だからといって加速度が鈍るわけではない。低回転で開けたのに増速する不思議を楽しめるのだ。
 この辺の回転域でもしっかりと変速感を楽しめる現行のDCTの制御も魅力的。同時に、シフトアップ、ダウンのショックをキレイにクラッチ制御でスナッチやピッチングに変えなかった第二世代登場直後から750にシフトした頃のNCモデルの滑らかさもあれはあれで魅力的。もしマップに入れるだけで搭載出来るなら、そんな折々のDCT制御もパラメータのどこかに加えてもらうのも今のデジタル世代のバイクの楽しみ方ではないか、と思う。
 スイッチ一つでエンジン、駆動系のキャラが変わる、これ、ホントに一台で何通りのバイクも楽しめることになる。
 

 

炎の走りがしたくなるワインディング……!

 一足飛びに場面はワインディングへ。ライディングモードはスポーツへ。明らかにアクセルレスポンスはアクセルの低開度から素早くなり、後輪が蹴り出す瞬間の力強さも増している。このモードでワインディングを楽しんだが、それまでスタンダード3割、レイン7割でX-ADVを走らせてきた印象を言えば、ハンドリングは素早さよりも安定感があるいわゆるビッグスクーター的な印象だった。市街地でも郊外でもまったく不満のない制動力、タッチを持つブレーキ性能に関しても、ラジアルマウントキャリパーだから、というスペック的な面より全体が上手くバランスされ調和の取れたもの。尖ったところはない。また、前後のピッチングの動きや旋回時にバイクを寝かす時のロール方向への機敏性のような部分も「ま、こんな感じだよね」というものだった。

 だからこそワインディングでも鋭さよりも手応え感を楽しみつつそれなりに走る、と想像していた。が、現実的にはスポーツモードが繰り出す機敏なエンジンレスポンス、そして少しペースを上げた時に見せる車体の応答性、荷重がより多く載った時の車体の反応がそれまでのX-ADVとは異なる一面を見せつけるように軽快かつスポーティーな走りを楽しませてくれたのだ。
 直立から20度程度までのリーンアングルへゆっくり寝かす時、タイヤの反応も車体の反応も適度な手応え、ゆったりツアラー、というイメージだったものが、前後のブレーキで減速しサスペンションをストロークさせた状態からカーブに侵入するような流れに変えると、おっとりした動きが影を潜め、機敏かつラインを一発で決められるような安心感あるグリップ力をライダーに感じさせながら走ってくれるのだ。

 見た目はスクーターなX-ADVながららその骨格はNCシリーズを祖としているだけに、スポーツ性の下地がやっぱりスクーターのそれとは異なる。ステップボードという前後に自由度のあるライディングフォームの選択肢もあり、これはこれで下りカーブへのアプローチでもニーグリップする場所がなくてもハンドルグリップにかかる体重をうまく分散させやすい。グリップにライダーの体重を載せずにすむので旋回性を引き出しやすいのも解った。タイヤも見た目はトレッドパタンがしっかりと刻まれたデュアルパーパスなタイヤながら、深いバンク角までしっかりと接地感とグリップがあり旋回性もなかなか。フロント、リアのコンビは現状X-ADV専用サイズ的なところだが、アスファルトでもその任をしっかりとはたしてくれた。
 

 

林道もイケる? イケる!

 アドベンチャーバイクの矜持とは──。遠出が楽、オフ車的なアップライトなポジションで市街地も楽、トレールバイクとは車体のしっかり感が違うから二人乗り、荷物を積んでも走安性に変化が少なく、舗装路のワインディングもかなり楽しめる。その上でオフロードを積極的に楽しめる、という要件だろうか。最近はさらにオフ性能を高めたミドルクラスも増えているし、大排気量クラスもアジリティを犠牲にせず楽しめるフェーズになったようだ。

 その中でX-ADVはどうなのか。

 135mmという最低地上高でかつアフリカツイン並に長いホイールベースからすると、アドベンチャーバイクというよりはクロスオーバー寄りのスペックということになる。ただし、そんな先入観なしで林道へと分け入ってみた。

 ポジション的には足を少し前に投げ出す関係でスタンディングポジションへとスッと移行し難い部分はあるものの、シッティングで走ると決めれば意外と走りやすいのがX-ADVの特徴だ。スタンディングにも便利なステップキットがオプションで用意されるのだが、6万円超と少々お高め。これはプレートなど専用のキットパーツを含むからそうなるのだろう。付けたらどうなるだろう、と期待膨らむ装備であることは間違いない。前後のサスペンションはソフトではないがストロークしながら路面を掴み、タイヤも砂利の路面でグリップ特性は悪くない。
 

 
 グラベルという砂利道を意識したライディングモードを選択すると、DCTの蹴り出し感にダイレクトさが加わる。その分、右手の扱いに注意をしないと容易にタイヤグリップ限界を超え、早めにトラコンのお世話になることに。一旦リアタイヤがグリップを失うとパワー特性が最も元気の良いスポーツと同じレスポンスなため、バツンと駆動力をカットされることになってしまう。その制御をライダー的には少々粗挽きに感じることになるのだが、これはマッチングの問題だろう。車体の特性的にはゆとりがあるので、グラベル1/グラベル2/グラベル3等のモードが加わって、ダートの上でも、スポーツでワインディングに走り出したときのような目の覚める一体感を味わってみたいと思った。

 これはABSも同様で、砂利道での制御にあと少しの緻密さが欲しいのも事実。タッチや制動力は適切なので、ハーフロックから砂利とタイヤの接地面がもう少しフリクションを生んでくれるよう液圧を下げ制動力が弱まる感を抑えて欲しいところ。

 正直、こうした装備、使う使わないは乗り手次第だが「その気になればこのバイクにはまだ奥の手モードがあるのさ」という装備こそアドベンチャーバイクに求められる部分。いやいや、オマエはX-ADVを買ったらそんなトコ行ってそんなコトするのか? と問われたら必ず、毎回行くとは言えないが、それでもそこでの体験が何年たっても語り継がれる自分の伝説になる。はやい話、夢は大盛りでお願いします、ということ。
 

 

得意パートだけにお願い。

 高速道路はX-ADVの得意なパートの一つで、トルクフルなエンジンが生み出す加速性能と巡航性能は排気量の大きさを背景にしたもの。アクセル一つでシフトアップしながら増速するDCTをオートモードに入れておけば、それこそCVTのスクーターよりもダイレクト感ある走りをここでも楽しめる。ウインドプロテクションは悪く無いし、ライディングポジションも長い時間乗っていても疲れにくい。
 理想を言えばクルーズコントロールが欲しいところ。ウインドスクリーンはその高さを5段階に調整可能だが、どうしても両手を使わないと動かせない、動かしにくい構造なので、片手で簡単に調整ができたらな、と思う。理想をいえばドゥカティムルティストラーダV4シリーズに採用されている指一本で上げるも下げるも操作できるあれを越えた使い勝手を是非目指して欲しい。

 風からライダーを守り疲労度を軽減する、気温、降雨など天候変化からライダーを効率的に守ってくれる意味でもウインドスクリーンは重要な装備だと思う。このところのゲリラ豪雨など、高速道路を走っていればものの30秒で全身ずぶ濡れになる。次のパーキングでレインウエアを着るまでなんとか移動出来る性能は大切。かつてそんな場面で高速道路の本線上にかかる陸橋の下で雨宿りするライダーも見かけたことがある。体温の温存という意味では解るのだが、きっと停まった本人も飛沫を上げて本線上を走り抜ける車に心地よいはずがない。ましてやハイドロプレーニングを起こしてコントロールを失った車がそこに突っ込んで来たら……。是非、ツーリング中に遭遇しうるあれこれからライダーを守る動く盾としてアクティブな安全性を進化させて欲しい。
 

 

余裕があるってやっぱり嬉しい。

 X-ADVに数日乗ってこのバイクが興味深いパッケージングだと改めて理解できた。スクリーンの件やクルーズコントロール未装備、という旅力の面では頑張って欲しいが、存在としてスポーツバイクとスクーター、オートマとマニュアル、両方使えるDCT、舗装路もダート路も楽しめるモビリティ、そんなクロスオーバー性はバイクライフに違ったページを開いてくれるはず。キラリと光る存在感は初代から変わらず。その上であちこちアップデイトされた現行モデルは、やっぱり面白かったのだ。
(試乗・文:松井 勉、撮影:増井貴光)
 

 

ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると両足着き時の状態が見られます。

 

φ41mmのインナーチューブを持つ倒立フォーク。プリロード調整、伸び側減衰圧調整も可能。チューブレスホイールに履くオンオフ系トレッドパタンを持つ120/70R17のタイヤも特徴。フロントブレーキは対向4ピストンキャリパーをラジアルマウントする。

 

スポーツバイクと同様のレイアウトのリンク式サスを持つリア周り。スイングアームはアルミダイキャスト製。15インチ、160幅のリアタイヤを備える。チューブレスのスポークホイールがアドベンチャーバイクらしさを演出する。リンクの上にスイングアーム、その上に見える三角のプレートはタンデムステップ。リアのブレーキキャリパーは上側が制動用、下側はパーキングブレーキ。

 

前後一体のシート。その下には容量22リットルのラゲッジスペースがある。容量重視のスクーターには敵わないがその分細身で足着き感は悪く無い。その内部には照明付きでタイプCのUSBソケットとETC2.0も装備する。

 

多機能バイクのスイッチは取説をしっかり読むのが大切。ウインカー、ホーンの上段にあるのがライディングモードの切り替えボタン、Fnはファンクションボタンでグリップヒーターのオン、オフ、温度調整などを呼び出せるほか、DRLの設定もここで変更できる。また、トリップのリセットなどもFnキーの下にある十字キーで必要な項目を呼び出し、Fnキーでリセットをするなどができる。ウインカーボタン下側、グレーのスイッチはDCTのシフトダウンボタン。ブレーキレバー上側に見えるグレーのボタンはシフトアップボタン。DCTの制御では、MTモードではこれらボタンでシフトチェンジが必要だが、ATモードでもシフトアップ、ダウンボタンの操作が優先される。ATモード時にライダーが必要なタイミングでシフトダウンをしてエンジンブレーキを引き出す、という使い方もできる。
右側のスイッチボックスにはスターター+キルスイッチ、DCTのシフトボタンがある。エンジン始動時は自動的にニュートラルとなる。黒いシーソースイッチでニュートラルとドライブ、左側のグレーのスイッチでATモードとマニュアルチェンジモードを切り替える。ブレーキオイルサブタンク手前側に見えるのはパーキングブレーキレバー。

 

ハンズフリーキーを採用するX-ADV。メインスイッチはCBR1000RR-Rと同様、ライダーがキーを持ちバイクと通信距離内にいれば中央のボタンを押せばメインスイッチが入り、プッシュボタン外側のリングを反時計周りに回転させることでオフにすることができる。ステアリングロックもリングを一定時間左に捻ることで作動する。メインスイッチ下側に見える四角いボタンはフューエルリッド、シートの開閉をするスイッチ。ハンズフリーキーにはアンサーバック機能を行うリモコンも備わっている。
初代から受け継がれる地面から斜め45度かそれ以上の角度でカチあげたスタイルのマフラー。ステンレスのヒートカバーと排気口周辺でキリっと引き締める。ライダーの耳に抜け感のある270度エンジンサウンドを届けてくれる。

 

ライダー目線から見たハンドル周り。アルミテーパーバーやナックルガードを採用。フロントフォークキャップ上部にイニシャルプリロード、伸び側減衰圧調整のダイヤルがある。
5インチサイズTFTカラーモニターを備える。メーター表示は4タイプから選択が可能。またホンダ・スマートフォン・ボイス・コントロール・システムを備えスマホとBluetooth通信することでナビ、電話、メール、音楽などをメーター上で確認、操作するコトが可能なインフォテイメント機能も持つ。

 

デイタイムランニングライトを備えたヘッドライト。DRL点灯時は周囲の明るさで自動的にヘッドライトの点灯、消灯も行ってくれる。設定でヘッドライトを常時点灯にすることも可能だ。
導光タイプのテールランプ、クッキリ転倒するブレーキランプというコンビネーションを採用。ウインカーもLED。

 

左側にあるロックレバーを緩め、丸いダボを引き出しながら反対の手でスクリーン上部を持ちスクリーンの高さを調整する。最下段から最上段まで135mm、5段階で高さを変えられる。ライダーユーティリティを考えたらもう少し簡単な操作で動いて欲しいところ。走行中に安全に調整が出来てこその装備だと思う。

 

●X-ADV 主要諸元
■型式:ホンダ・8BL-RH10 ■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒OHC4バルブ ■総排気量:745cm3 ■ボア×ストローク:77.0×80.0mm ■圧縮比:10.7 ■最高出力:43kW(58PS)/6,750rpm ■最大トルク:69N・m(7.0kgf・m)/4,750rpm ■全長×全幅×全高:2,200×940×1,340mm ■ホイールベース:1,580mm ■最低地上高:135mm ■シート高:790mm ■車両重量:236kg ■燃料タンク容量:13L ■変速機形式:電子式6段変速(DCT) ■タイヤ(前・後):120/70R 15M/C 58H・160/60R 15M/C 67H ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:マットバリスティックブラックメタリック、グランプリレッド、パールディープマッドグレー ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,320,000円

 



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2023/10/04掲載