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試乗・解説

■試乗・文:濱矢文夫 ■撮影:渕本智信 ■協力:GASGAS https://www.gasgas.com、■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html

GASGAS SM700 「パワフルなモタードは面白い」

■試乗・文:濱矢文夫 ■撮影:渕本智信 ■協力:GASGAS https://www.gasgas.com、■ウエア協力:アライヘルメット https://www.arai.co.jp/jpn/top.html


ライディングの楽しさを追求するGASGASブランドのビッグボア単気筒スーパーモタードバイク。独自のレイアウトと軽量&ハイパワーからなる走りをエンジョイした。

 GASGASのSM700はKTM 690 SMC Rと、ハスクバーナ 701 Supermotoと多くを共有する兄弟車だ。トライアルやエンデューロモデルで知られてきたGASGASがモタード? と思う人がいるかもしれないが、GASGASを傘下に収めたKTMはネイキッドやカウル付のロードスポーツを発売する前からモタードモデルを発売してきた歴史があるから、ブランド初で唯一のロードモデルなれど由緒あると表現してもいい。

 多くのモタードモデルはオフロードバイクをベースにしている。このSM700にもフロント21インチ、リア18インチのワイヤースポークホイールを履いた多くを共有するデュアルパーパスモデルのES700が存在する。935mmのシート高があるES700と比べると37mm低い898mmのシート。身長170cmで股下が短めな私にとっては、これでも良好な足着きとは言えないがES700と比べるとかなりの安心感がある。

GASGAS_SM700

 このバイクはリアのサブフレームがポリアミド樹脂で作られていて、13.5Lの燃料タンクが一体化されている。簡単に言い切ると燃料タンクそのものがサブフレームみたいな感じ。それで給油口はシートの後端より後ろに上向きにある。満タンにするとなかなかの重量になるが、いちばんボリュームがある部分はライダーの身体に近いところ。このおかげもあってサイドと一体になったシュラウド部分、シートの前方のレイアウトに自由度ができ、細身でライダーが前後に動きやすく、またがったライダーの下半身とのフィット感がいい。この辺はオフロードで培ってきた経験も含めてさすがの試合巧者というところ。この一般的ではないレイアウトを知らなくても、ライダーに「ああ、なんか体重移動もマシンホールドもしやすいね」と言わせてしまうインターフェースに仕立てている。走行性能本位のこだわりがここからも垣間見える。

GASGAS_SM700

 トレリスフレームに積まれた水冷単気筒692.7ccのエンジンはシングルカム。最高出力は8000回転で75PS、最大トルクは6500回転で73.5Nmを誇る、現在存在するシングルエンジンの市販車ではトップのパフォーマンスだ。燃料を除く車両重量がナナハンクラスとしてはかなり軽い147.5kgということもあって、2種類のライドモードのうちよりレスポンシブルなマップ2を選択すると、アクセルを開けるとその加速の気持ちよさに思わず笑ってしまうほどだ。ちょっと右手をひねるとビュッと前に飛び出す荒々しさ(これがまたおもしろい)がありながら、電子制御スロットルのおかげもあり、それが乗りにくさにつながるようなことがなく、ワイルドさとマイルドさのバランスがとてもいい。しつけのよい野獣という感じ。

GASGAS_SM700

 前後17インチホイールに装着したブレンボのモノブロック4ピストンキャリパーと大きな320mmディスクを使ったフロントブレーキは強力無比。とうぜん車体の軽さがここでもポジティブに働く。レイトブレーキで体重を意識的に前にして、フロントフォークを深く沈ませペタっとリーンさせてさっと向きを変えながら脱出。独特のフットワークの軽さに興奮してテンションがあがる走り。積極的に操作してコーナーリングしているのが楽しいから、ツーリングも問題なくこなせると思うけれど、そのルートにワインディングを入れないと気がすまないだろう。快適さを求めるなら他のバイクでもいい。だがエキサイティングに遊びたいならオススメだ。これは4気筒や2気筒のスーパースポーツモデルにひけをとらないスポーツバイクである。

(試乗・文:濱矢文夫、撮影:渕本智信)

GASGAS_SM700

GASGAS_SM700
GASGAS_SM700
ライダーの身長は170cm。

GASGAS_SM700
アルミダイキャストのスイングアーム。ボッシュ製コーナーリングABSを装備している。リアタイヤのサイズは160/60ZR17。ホイールベースは1476mm。トラクションコントロールもある。ボトムリンク式リアサスペンションのショックユニットはKTMの定番WP製。ラバーを取り外すとギザギザのオフロードタイプに変身するペグはES700と同じか。リアブレーキのディスク径はφ240mm。

GASGAS_SM700
アルミダイキャストのスイングアーム。ボッシュ製コーナーリングABSを装備している。リアタイヤのサイズは160/60ZR17。ホイールベースは1476mm。トラクションコントロールもある。ボトムリンク式リアサスペンションのショックユニットはKTMの定番WP製。ラバーを取り外すとギザギザのオフロードタイプに変身するペグはES700と同じか。リアブレーキのディスク径はφ240mm。
GASGAS_SM700
サブフレーム(シートレール)は高強度で軽量なポリアミド製で、それに13.5Lの樹脂製燃料タンクが内蔵されている。それで給油口はシートの後ろ、グラブバーの間にある。21/18 インチホイールを履いたデュアルパーパスモデルの兄弟車、ES700も同じ構成(ホイール外径が違うのでシート高は異なる)。

GASGAS_SM700
フロントフォークはWP製APEX48。フロントの大きなシングルディスクはφ320mm。ラジアルマウントされたブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーを装着。17インチキャストホールに履いたフロントタイヤのサイズは120/70ZR17。
GASGAS_SM700
ハンドルバーの左側(油圧クラッチマスターの手前、ライダー側)に、ライディングモードのマップ切り替えと、リーンアングルセンサー付トラクションコントロールのオフもここで可能。メーターのところのボタンでABSも解除することができる。

GASGAS_SM700
GASGAS_SM700
●GASGAS SM700 主要諸元
■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ ■総排気量:692.7cm3 ■ボア×ストローク:–×–mm ■圧縮比:– ■最高出力:55kW(75PS)/8,000rpm ■最大トルク:73.5N・m/6,500rpm ■全長×全幅×全高:–×–×–mm ■ホイールベース:1,476mm ■シート高:898mm ■車両重量:約148.5kg ■燃料タンク容量:約13.5L ■変速機形式:常時噛合式6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70 ZR-17・160/60 ZR-17 ■ブレーキ(前・後):油圧式ディスク・油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:レッド ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,580,000円

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2023/08/02掲載