2023年7月16日、30歳以下のバイク初心者を対象に『U30スズキセーフティスクール』が、静岡県浜松市の西部運転免許センターで開催された。新型コロナ渦の影響で実に4年ぶりのスクール再開となったこの日は、県内外から20代ライダー８名が参加、ブレーキングや低速バランス、スラロームなど基本操作の反復練習により、改めて安全運転の意識を高めた。
30歳以下対象スクールでは、二輪免許を取得して間もないライダーや、自分のバイクをまだ持っていないライダーもいる。レンタルバイクもあり初心者も参加しやすく、基礎テクニックを練習できる内容で好評なのが、このU30スズキセイフティスクールだ。
午前10時の開講式に続いてカリキュラムのトップは座学で、安全運転の講義から始まる。二輪車の交通事故についての統計資料を見ながら、最初のうちは皆少し緊張の面持ちだったが、インストラクターが「事故の時にヘルメットが脱げてしまう原因は何でしょう？」など問答形式でコミュケーションを取りながら一緒に考えるうち、自然と意見を出し合える雰囲気に。出会い頭事故や右折直進事故が起こる状況を学び、改めてバイクの運転で注意すべき事柄について理解した。続いて走行前の点検項目、正しい乗車姿勢の解説にも初心を思い出すように熱心に聞き入った。「今日は、普段のライディングで不安や課題に思うことを解決していきましょう！」とインストラクター。全員で準備体操をして装備を整えると、いよいよコース走行だ。マイバイクで参加以外のライダーには、GSX250Rがレンタル車として用意された。
外周の慣熟走行から、最初は均等距離に置かれたバイロンを目標に、低速で加速・減速を繰り返しながらのウォームアップ。そして課題はブレーキング練習に進んだ。30km/h走行、40km/h走行など走行速度を上げた状況から、目指した場所で停止する『目標制動』、続いてインストラクターが手を挙げたタイミングを見てブレーキングする『反応制動』の練習だ。反応制動では、ハッと気付いてから停止するまでの時間や距離がかかることも再認識した。
午前のカリキュラムが終了し、お昼休みには浜松名物『やらまいか弁当』を食べながら、20代同士すぐに打ち解けてスクールの感想やバイク談義が交わされた。インストラクターへの質問もとても熱心で、上達したい志が高い。
午後のスクールは『低速バランス』の練習から始まった。パイロンを円の中心にゆっくり左回りを行う『定常円旋回』という課題で、皆でインストラクターのお手本を見ると「これはちょっと難しそう……」といった不安の声も。1台ずつ順に、ハンドルの切り方や目線の方向などマンツーマン指導を受けながら、すぐ脇でインストラクターがサポートしてくれる安心感もあり、繰り返すうちにバランスが取れるようになっていく。「普段はなかなかできない練習のひとつです、とても良い経験です！」と誰もが熱心に取り組んだ。
続いてコース上にはパイロンスラロームが登場、走行幅と切返し距離の異なる2タイプのパイロンが設定され、アクセルワークとブレーキワーク、目線など総合的なテクニックを駆使してクリアする練習だ。インストラクターが一人一人にアドバイスを行い、疑問質問があれば的確に答えてくれる。スラローム走行を繰り返すうち、皆の走りにどんどんリズムが出てスムーズなライディングになっていく。
最後は、コース内にあるS時コーナーやクランクも加えたコース全体を周回しながら、コーナリング、右折・左折、スラロームなど総合走行練習でこの日の成果を発表した。誰もが午前中とは見違えるほどの上達で、ライディングテクニックはもちろん安全走行の意識も格段に向上した。午後３時、閉校式とアンケート記入で今年初回の『U30スズキセイフティスクール』は終了、「安全運転は何よりも大切」「もっと上手くなりたい」「やはりバイクは楽しい」、皆それぞれの思いを胸に、充実の一日となった。
普通二輪免許取得は6年前、ジクサーは今年5月に購入して地元の豊橋から箱根エリアや長野の諏訪などロングツーリングも楽しむタカリーさん。「今回はコーナリングを基礎から学び直そうと思い参加しました。教習コースを自分のバイクで走れるのがいいですね。
低速バランスの練習では倒しちゃうかもという恐怖心もありましたが、インストラクターが付いてくれて安心でした。パイロンスラロームはバイクを操っている感じを体感できました。毎年開催してほしい」
普通二輪免許を5年前、大型二輪免許を2年前に取得するも「SV650にもっと慣れたい、上手くなりたくて初めてスクールに参加しました。普段はあまりスピードを出さないで走っているんですが、今日のブレーキング練習である程度スピードを出した状態からでもちゃんと停まれるんだと解りました。反応制動では、気付いてから停まるまでに時間がかかることもよく解りました。今日の練習を活かして、ぜひ山のワインディングにツーリングしてみたいです」
バイク歴4年、普段は所有するトレールバイクで林道ツーリングを楽しんでいるが、今一度基礎を学ぼうとスクール初参加。「自分の乗り方の癖がわかったり、より安全な運転操作、こういう乗り方をすればバイクをもっと楽しめるなど、色々な気付きがあって良かったです。曲がる時には行きたい方向を見る、ブレーキングではどれくらいで停まれるかを考えながら走るのは大切ですね。レンタルバイクのGSX250Rは自分のバイクと乗り味も全然違って、それも楽しかったです」
普通二輪免許を取得して５年程だがバイクはまだ所有しておらず、バイクに乗るのは実に2年半ぶりだそう。「クラッチ操作、カーブでの減速・加速が課題です。久しぶりだったので最初は感覚を取り戻すのに必死でしたが、課題を繰り返し練習できてアドバイスして貰えるので、走るうちにどんどん楽しくなりました。そろそろ自分のバイクをと思っています。今欲しいのはST250Eタイプ。街をゆったり走れるイメージのクラシックデザインが好きなんです」
■今後の開催情報
U30スズキセイフティスクール 開催日程
2023年9月3日（日） 兵庫県 阪神ライディングスク－ル
2023年10月9日（月・祝）埼玉県 セイコーモータースクール
詳細はU30スズキセイフティスクールホームページhttps://www.suzuki-cp.jp/usafety/をご覧ください。
（文・写真：高橋絵里）