国内唯一の本格ビーチレースとして毎年恒例の『神栖市2輪ビーチレース大会』が2023年3月18~19日、茨城県神栖市日川浜(にっかわはま)海岸特設会場で開催された。波打ち際に伸びた特設コース1周3.5kmは見渡す限りの『砂の海』。エンデューロマシン、モトクロスマシンを始めトレールモデル、ファンバイクも賑やかに全国から140台・163名が、砂塵巻き上げ、極上のディープサンドに戯れた。
日川浜の砂は白く、サラサラできめ細かく、歩くと足が一歩ずつ吸い込まれように埋まる、上質のディープサンドだ。向こうに並んだ風力発電の風車がゆるゆる回り、陽光降り注ぐのどかな海岸で、この日だけ出現した超ロングストレートとダイナミックな曲線を繋げた特設コースを、誰もが砂の中を泳ぐように、砂の中で舞うように駆けるのだ。
わずかの土も砂利も全く混ざっていない砂は、スタート時だけはブルによって均されて平らに見えるものの、やがて縦横無尽の不規則な凹凸模様と化し、サンド用タイヤを装着していても真っ直ぐ走ることさえ難しい。その難しさを攻めゆくアクセル全開の非日常が、ライダー達を魅了する。
土曜は選手受付と公式練習が予定されたが、嵐のような風雨でプログラムは中止に。明けて日曜は穏やかなレース日和となった。それにしても朝からすっかりドライを取り戻した砂質には驚愕するばかりだ。
「ディープサンドで思いきり開けられるのが楽しい」「海岸で、これほどサンドだけのシチュエーションは絶対ほかにはない」とみんな絶賛。開催12年目、第14回目を迎えたビーチレースには、毎度の常連リピーターに加え、初参加や2回目という初々しいライダーも多かった。普段はロードバイク乗りや林道ツーリングライダー、ちょっとおっかなビックリなサンドビギナーも「ビックリです、アッと思うともう転んでるし」「ひたすら体力勝負。でも初めての感触でなんか愉快!」と……。
午前のレースで使い果たした体力を、午後の50分は一体どうすればいいか。ヘトヘトながらも返って無駄な力が入らず自然体で完走できたという人もして、こうして誰もが砂のトリコになっていく。
(撮影・文:高橋絵里)
WINS ASANO ホームページhttp://winsasano.c.ooco.jp/winsasano.html
※レース開催日以外は砂浜をオートバイで走行することはできません。
■主催:神栖市2輪ビーチレース実行委員会 ■後援:茨城県神栖市、神栖市観光協会 ■協賛:住友ゴム工業㈱、PJ1オフィスM、TK1スポーツ、㈱WESTWOODMX、スガヤトランス㈱、㈱MARUPOWER、(有)あさひ給食、木内製菓㈱、ウインズアサノ ■協力:㈱コネクト、アサノレーシングチーム