ホンダは、かつての圧倒的に強いホンダ復活を目指した
コロナ禍の影響で2019年大会以来3年ぶりの開催となった『2022 FIM世界耐久選手権(EWC) “コカ・コーラ” 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会』(鈴鹿8耐)は、ホンダワークス『Team HRC』が214周を走り、2014年以来、ホンダ勢として8年ぶり、6大会ぶりの優勝を遂げ、通算28勝と記録を伸ばした。
HRC40周年の鈴鹿8耐勝利でもあり、表彰台の真ん中で長島哲太、高橋巧、イケル・レクオーナ、HRC渡辺康治社長が、勝利のトロフィーを掲げ、歓喜するホンダスタッフの姿が翌日の各紙を賑わし、WEB系メディアは速報で勝利を伝えた。決勝日には暫定リザルトが出て、翌日に車検が行われ、正式リザルトが出る。だが、翌日に正式リザルトは、出なかった。EWCの公式サイトの結果は暫定のまま動かず、SMSがざわつきだすと、FIM EWCから「テクニカルチェックを行うため、暫定的なものだ」とアナウンスがあり、前代未聞の成り行きとなる。
上位10チームのマシンが厳しいチェックを受け、一部の部品は国際モーターサイクリズム連盟(FIM)本部に送られ、FIMがホモロゲーション(認定)した基準部品と比較するため、すべてのパーツをチェックすると綴られていた。
決勝レースから12日が経過した8月19日17時(日本時間)正式結果がやっと出た。「追加検査の結果、トップ10のマシンは全てFIMのテクニカルレギュレーションに準拠していることが確認された」と発表された。
様々な憶測がささやかれ、モヤモヤが残ったが、今年の鈴鹿8耐が、ホンダvsカワサキの激闘、EWCレギュラー組のヨシムラやTSR、ヤートの熾烈な争いが多くの観客を熱狂させた戦いであったことが色あせることはない。
3年ぶりの鈴鹿8耐は、ホンダにとって「強いホンダ復活を賭けた」戦いだった。ホンダはモータースポーツ文化の基礎を築き、底上げし、バイクを愛する人々に夢を与え続けている稀有な企業だ。鈴鹿8耐の歴史を振り返れば、43大会中、27勝を挙げていた。2007年ヨシムラからエントリーし、秋吉耕佑と共に勝利した加賀山就臣は表彰台で「強いホンダがいるから、いつか、ホンダを倒そうと頑張るのだ」とホンダを讃えた。ホンダに打ち勝った感動は大きく、勝利の価値が輝くのだと訴えた。
ホンダは強くいることを宿命付けられて来たが、2008年に清成龍一/カルロス・チェカ組で勝利したのがワークスとしての最後の勝利で、その後はサテライトチームをサポート、2010年はハルクプロ(清成龍一/中上貴晶/高橋 巧)、11年はTSR(秋吉耕佑/伊藤真一/清成龍一)、12年TSR(ジョナサン・レイ/秋吉耕佑/岡田忠之)、13年と14年はハルクプロ(高橋巧/レオン・ハスラム/マイケル・ファン・デル・マーク)で勝利している。2015年にはヤマハワークスが本格的に参戦を開始して2018年まで4連勝と圧倒的速さを示した。
2019年にホンダはワークスチームを復活させる。鈴鹿8耐優勝最多勝の宇川 徹を監督に(高橋巧/清成龍一/ステファン・ブラドル)で挑んだ。清成は体調が整わず走れず、鈴鹿8耐初参戦のブラドルと高橋が挑んだ。高橋はスタートライダーと務め、最後の2時間連続走行を含め5時間を走行して3位となる。
この2019年のライダー候補にMoto2ライダー長島哲太の名があった。長島はブラドルとオーデションに参加、コンマ1秒差でブラドルが選ばれるのだが、この時、慣れないマシン、久しぶりの鈴鹿、時差ボケと決して好条件とは言えない状況で2分6秒台を叩き出しており、そのポテンシャルは大排気量マシンでも示されていた。多くのライダーにとって、ホンダワークスでの鈴鹿8耐参戦は夢であり、そのチャンスが舞い込んだことに長島は「光栄だ」と答え、参戦を願った。高橋も「鈴鹿8耐の経験があり、鈴鹿を知っている」と長島を望んでいたが叶わず、8耐初参戦となるブラドルが選ばれた。
2020年に高橋はスーパーバイク世界選手権へと進出、長島はホンダのテストライダーとなる。MotoGPのテストに加え、鈴鹿8耐マシンCBR1000RR-RSPの開発も担う。2021年も同様の活動を続け、代役参戦でMoto2を戦うなど現役ライダーとしてのスキルを保ち続けて来た。
長島は「様々なマシンのテストをさせてもらうことで、ホンダのエンジニア、メカニックとデータを見ながら、マシンのことを学び、自分の走りを客観的に見て修正することでスキルは上がっている」と語っていた。そして「ワークスライダーの速さの秘密がわかった」とも言う。
優秀なスタッフと極限の向上を突き詰めることで、学び、おのずと求めるレベルが上がり、そこに到達するためにトライし続けることで、長島は新たな武器を得たのだ。更に走る量が確保されることはライダーにとって願ってもない環境だ。長島が鈴鹿テストで、2分5秒を記録していると噂され、8耐マシンの熟成が進んでいることは伝わっていた。だが、新型コロナウィルスの影響で鈴鹿8耐は2年間開催されず、長島の力量もマシンのポテンシャルもベールに包まれたままだった。
長島哲太は「実績のある巧さんに加わって欲しかった」と熱望し、
高橋 巧は「今年のエースライダーはテツ」と断言した。
6月の非公式のテストでスーパーバイク世界選手権(SBK)のホンダワークスライダーのチャビ・ビエルゲ、イケル・レクオーナのふたりが鈴鹿を走った。その後のテストでブリティッシュスーパーバイク(BSB)の高橋 巧、水野 涼が参加、長島哲太も加わってのテストが行われた。この5人がライダー候補だ。Team HRCの監督にはロードレース世界選手権(WGP)の監督経験もある山野一彦が務めることになり「様々なデータを加味して長島、高橋、イケルの3人を選び、水野をリザーブライダーとした」と語った。
長島は高橋の加入を熱望していた。高橋は鈴鹿8耐3度の勝利の実績がある。長島は鈴鹿8耐経験はあるが、プライベートチームからの参戦で、優勝を狙うという野望を抱くことが出来ずにいた。だが、ホンダのテストライダーとなり、2年の間、鈴鹿8耐勝利のために開発テストを繰り返す中で、ホンダの勝利にかける熱を感じ続けて来た。同じように、高橋も全日本時代には、長島同様にテストを重ねて勝利を目指して来た。その思いを知るライダーとして、鈴鹿8耐勝利という重圧を分かつライダーとして高橋の加入を望んだ。
長島は言う。
「実績のある巧さんに加わって欲しかった。今も鈴鹿のコースレコードは巧さんが持っている。その3秒台は、どう分析してもデータを見てもわからないすごいタイム。ライダーとしての力も、安定した力も勝つために必要なものだった」
長島はテストライダーになったことで、より高橋のすごさを知った。高橋がこれまで挙げた鈴鹿8耐での3勝のうち、10年はペアライダーの清成に負うところが大きいが、13年、14年の連勝はチームメイトがケガをしていたり、腕が上がったなど、高橋への負担が増加、その難題をクリアしてもぎ取った勝利で、高橋の力、そのものだった。その後の8耐でも高橋への負担は大きく膨らんでいた。それは裏返せば、鈴鹿8耐優勝に必要で、信頼できるライダーであるということでもある。
高橋は長島からのラブコールに応えた。
「ホンダのエースライダーとしての重圧はものすごく大きいので、すこしでも、それを背負ってくれる人が必要だったのじゃないか」
ホンダのエースライダーとして活躍して来た高橋は「今年のエースライダーはテツ。マシン開発もしているし、タイムも出している。自分はサポートに回る」とラインナップ決定当初から語っていた。そして、それを貫き通した。自分を主張するためにアタックすることはなく、すべての時間を決勝に向けてのマシンの調整に使っている。高橋にとって、初めて乗るマシンであり、鈴鹿も2年間走っていない。BSBとは、タイヤが違い、マシンの仕様が違うという条件の中で、テストを重ねて来た長島と遜色のない速さを示し、そのポテンシャルの高さを示す。
7月のテストには3人が揃い本格的な調整が始まり、SBKのレースを挟みレースウィークを迎えた。初めての8耐となるレクオーナは抱負を語った。
「僕は8耐を知らない。すごく暑くてたいへんだって聞いているけど、頼もしいふたりの先輩がいるし、チームを信頼しているから大丈夫、何も問題はない」
MotoGP参戦経験もある実力を初の鈴鹿8耐でも発揮することになる。
山野監督は、意気込みを語った。
「2019年、宇川監督の組織したチーム編成を元に、宇川にも加わってもらい今年はメカニックもエンジニアもベテランと新人を投入して組織した。今年の鈴鹿8耐はHRCの伝承という意味合いがある」
WGP経験者など、多彩なスタッフに加え新人が加わるHRCのピットは目を引くものになった。マシンへの注目度も高く、ピット前にはテストからライバルチームも含め、人垣ができた。ピットワークの速さはEWCチームを凌ぎ、ナンバー1の速さを誇った。
最大のライバルはKawasaki Racing Team Suzuka 8H(カワサキ8H)で2019年の覇者だ。2019年の日本スタッフが中心の編成ではなく、SBKチームが主体となり、ギム・ロダ監督がSBKの王者、ジョナサン・レイ、そのチームメイトのアレックス・ローズ、BSBのレオン・ハスラムを選んだ。
レイは2回、ローズとハスラムは3回の鈴鹿8耐勝利を飾っている。Team HRCで、優勝経験があるのは高橋のみで、レクオーナは鈴鹿8耐初参戦だ。その実勢では、ホンダを上回っており、レイは「最強のチームメイト」と語るように優勝候補筆頭にいた。
Team HRCもカワサキ8Hもこの鈴鹿8耐のために結成されたチームであり、その力は、EWCを戦うグレッグ・ブラック/渡辺一樹のYoshimura SERT Motul(ヨシムラ)、ジョシュ・フック、ジーノ・リア、マイク・ディメリオのF.C.C. TSR Honda France(TSR)、マービン・フリッツ、ニッコロ・カネパ、カレル・ハニカのYART-YAMAHA OFFICIAL TEAM EWC(YARTヤマハ)が上だと見られていた。全日本レギュラーチームであるSDG Honda Racing(SDG)の名越哲平、榎戸育寛、浦本修充やAstemo Honda Dream SI Racing(アステモ)の作本輝介、渡辺一馬、羽田太河にも注目が集まっていた。
長島は8耐テストからレースウィークの各セッションでトップタイムを叩き出し、その存在感でライバルを圧倒していた。長島は「決勝に向けてのテスト優先で、アタックのタイミングがない」と語っていた。すべての調整が終わり、その時が来た。計時予選で2分4秒台を叩き出しレイの残したレコードを更新する。さらにトップ10トライアル(最終予選)は天候不順で単独アタックから計時予選へと変更された。
長島は走行開始と同時にコースイン、全セクター最速タイムを記録しながらホームストレートを駆け抜け2分04秒934という、自己ベストを更新する圧倒的なタイムを記録してリーダーボードのトップに躍り出る。長島は「トップ10がないなら、ひとりでやってやろうと思った」と、その思惑通りに実行。彼のライディングを映像が追いかけ、8耐ファンの脳裏に焼き付けることに成功した。
計測終盤になりレイが動く、ニュータイヤを装着したレイがアタックに飛び出した。長島の記録を塗り替えようと渾身のアタックを見せるが、2分05秒149でTeam HRCのPPが決定する。レイのアタックを見ていた長島は「超えられるかとドキドキしていた」と振り返った。
山野監督は「基本、ライダーは自己主張するものだが、ライダーたちのコミュニケーションがしっかりと取れ、自己主張するライダーがいない。限られた時間ではあるが、こんなに順調にテストを含めて進むことは、あまりない。だからこそ、緊張感を持たなけば」と語り決勝へと向かって行った。
Team HRCは圧倒的に速く、終わってみれば全車をラップしていた。
台風の接近で雨が心配されていたが、進路が逸れたお陰で、鈴鹿サーキットの天候は晴れ、ドライコンディションとなった。テスト時の酷暑に比べれば、気温も路面温度も下がったが、蒸し暑さは変わらなかった。ル・マン式スタートで11時30分にレースが切られる。カネパはスタート出遅れ、グレッグが素晴らしいスタートを見せ、ホールショットはフックが奪う。それを高橋、ハスラムが追う。最終コーナー立ち上がりはフック、ハスラム、高橋とだった。
2周目のヘアピンでは高橋がフックのインに飛び込むも若干のオーバーランで順位は変わらず。その直後のスプーンひとつめで作本がマシンコントロールを失い、トップ争いの浦本に突っ込む。このアクシデントで2台はアウト側のスポンジバリアに飛ばされた。高橋がフックをオーバーテイクしトップを奪還していく。
その直後に車両回収、バリア修復のためセーフティカー(SC)が入る。約20分のSC導入後、ブラックが3番手に浮上、その勢いのままトップに浮上する。それを追う高橋はハスラムをかわし、グレッグも捉え首位に出た。ハスラムが続き、カネパも追い上げをみせ4番手に浮上。勢いの止まらないカネパはブラックも捉え3番手まで浮上してくる。スタートから1時間経過時点ではトップの高橋は2番手ハスラムに9秒差をつけ、カネパが3番手を走行する。
「前に出てペースを上げたら、誰もついて来なかった」と高橋は言う。冷静なコントロールで、戦いの流れを、このスティントで決めた。鈴鹿8耐は最初の1時間で決まると言われるが、高橋は、その意味において、しっかりと役割を果たした。
独走状態の高橋から長島にライダー交代、長島は2番手ローズとの差を保ち周回を重ねた。長島からレクオーナへと交代する。2時間18分経過、60周目に、デグナーふたつ目の立ち上がりで転倒車があり、マシンから出火したため2度目のSCが導入される。鈴鹿8耐では2台のSCがコース上に入る。1台目はトップ、レクオーナの前、もう一台はカワサキ8Hの前に入り、ここで、コース半周の差がついてしまう。SCは64周目に解除されレースが再開されるが、SC導入前には30秒ほどだったTeam HRCとカワサキ8Hのギャップは1分34秒にまで広がった。
86周目にはレイがこの日2回目のスティントに出ていく。コースに出たレイはトップとの差を縮めるべくタイムを上げていく、2分07秒のタイムを連発し、さらにチームベストとなる2分07秒521を記録する。首位の高橋が安定して2分08秒台アベレージに周回を重ねていた。レイは猛攻を続け、89周目には2分07秒177にタイムを更新。高橋も2分07秒519へとタイムアップ、3番手のカネパが2分09秒台、この9秒台も決して遅いペースではなく、上位2台の速さが際立つ戦が繰り広げられる。
そして、200Rシケインでレイは周回遅れをパスするときに接触し転倒してしまう。すぐにマシンを起こしてコース復帰するが、この転倒で、1分10秒まで詰まった差が、1分40秒と広がる。4時間50分経過時点で、Team HRCはついに全車をラップする。6時間が経過し夕闇が迫り始める。
トップのTeam HRCは安定した周回を重ねる。2番手争いはKawasaki 8Hとヤート。4番手にヨシムラ。3番手フリッツが2分7秒台で追い上げている最中にスプーンカーブで遅いペースのマシンのインに入り接触転倒、2台の転倒で、セーフティカーが入る。約10分後に解除される。その直後、高橋は最後のライダー交代で長島がコースイン。2番手にKawasaki 8H。3番手ヨシムラが続いた。
最後の走行に出た長島はペースを落とすことなく暗闇を周回する。魔物が住む鈴鹿8耐の、その魔物の手をすり抜け、長島がコントロールラインを通過した後ろで8時間が経過チェッカーが降られた。長島は最後の1周を走り抜け、自身に降られた優勝のチェッカーフラッグを潜り抜けた。ピットでは安堵と喜びの笑顔であふれた。
グランドスタンドは、それぞれの応援するバイクメーカーの色が点っていたが、Team HRCの勝利をたたえるために、赤へと切り替わって行く。
表彰台の真ん中には長島哲太、高橋巧、イケル・レクオーナのライダー3人にHRC渡辺康治社長が並んだ。打ち上げられた花火が鮮やかにTeam HRCの勝利を祝福していた。
「強いホンダ復活」と見せつけるに相応しい戦い。
ホンダワークスとしては14年ぶりの優勝だった。09年にワークス参戦を休止、19年に復活し、2年の休止を挟み、勝利を飾った。ライダー、チームが願った「強いホンダ復活」と見せつけるに相応しい戦いだった。計時予選、最終予選、決勝とすべてでトップとなり、全車ラップという完璧さで、ホンダとしては28勝目の記念すべき勝利を飾った。
「表彰台に上がり、やっと、勝ったと思えた。自分の後ろでチェッカーが降られていたことも知らなかったし、最後まで集中してペースを落とすことなく走り続けた。強いホンダを見せることができたと思う。嬉しい。それしか、今の感情を表す言葉がない」
長島が歓びを語った。現役ライダーでありながら、テストライダーとして陽の当たらないポジションを選び、切磋琢磨して栄誉ある勝利にたどり着いたのだ。
「鈴鹿8耐の優勝は、特別のものだが、テツや開発陣の喜びのほうが自分よりも大きいと思う。苦労した分だけ、その感激が大きいと思うから……」
高橋が仲間を思いやる。この勝利で高橋は鈴鹿8耐勝利を4勝として、歴代2位に並んだ。1位はホンダの先輩である宇川徹の5勝だ。高橋は「機会があれば目指したい。宇川さんも後輩の僕に抜かれることを望んでいると思う」と語った。
「長島選手がチェッカーを受けた瞬間が最高だった。最高のチームとチームメイトに感謝している。来年もチャンスをもらえたら、ここに帰って来たい」
レクオーナが飛び切りの笑顔を見せた。
そしてカワサキ8Hの3人は会見でTeam HRCの勝利を讃え、リベンジを誓っていた。
ユーロスポーツがEWCの放映権を手に入れたのは、鈴鹿8耐の華やかさが決めてだった。世界中からカテゴリーを超え、速いライダーが集まり、ワークスが激突する唯一無二の大会を見て、ここをEWCの最終戦としようとライブ中継を決めたのだ。その最初のシーズンが、2015年の鈴鹿8耐だった。ユーロスポーツにより欧州にライブ中継され、時差があるにも関わらずに最高視聴率を樹立。その関心の高さを証明した。この年はヤマハファクトリーが参戦を開始した。ハリウッドから、キアヌ・リーブスが来場し華やかさが増した大会だった。ここからシーズンまたぎのシリーズ戦が始まり、TSRやヨシムラが本格的にEWC参戦へと舵を切った。ルールのもとに行われるのがスポーツであり、今回の正式リザルトの遅れが、その権威を高めるためであったと受け止めたい。
HRCのHPには、
『モータースポーツの感動。
それは、勝つ喜び、目的を達成する喜び、
参加する喜びであり、
それらをHondaファンの皆様と共有する喜びが
ホンダ・レーシングの原動力だと考えております。
HRCはレースの厳しい世界から得られる
走る実験室としての
ハードウエアの進化・向上のみでなく、
ライダー、 運営チームと一体になった
トータルなレース・マネジメントを通じて、
我々のDNAの根幹である
レーシング・スピリッツの醸成に努めています。
今後もモーターサイクルレースを通じて
Hondaユーザーの皆様へ
情熱や感動を提供するとともに、
レースで培われた確かな技術を載せた市販車を
お客様の元へお届けできるよう、
Hondaと共に努力して参ります。
HRCのトリコロールカラーに
込められた想い』
と記されている。
鈴鹿8耐で証明されたHondaの精神を、全日本ロードレース後半戦に投入してほしいというレースファンの熱望が、高まっている。
(取材・文:佐藤洋美)