全日本ロードレース選手権
第2戦・鈴鹿2&4レース
今シーズンはJSBクラスと四輪のスーパーフォーミュラのコラボレーションが4戦予定されていて、なかでも鈴鹿2&4レースはシーズン前半の恒例イベントとなっています。JSBクラスのみの開催ですが、四輪ファンも併せて多くの観客が見守るなか、土曜、日曜で2レースを開催しました。今シーズン一の名勝負! どうやらこの2人が主役になりそうです。
土曜日は午前に予選が行われ、午後には14ラップの決勝レース
ポールポジションはヤマハファクトリーの中須賀克行(#1)。ホールショットを奪った鈴鹿レーシングの亀井雄大(#6)に桜井ホンダの濱原颯道(#2)が続き、駆け引きが行われますが、2ラップ目に入ったホームストレートでヨシムラの渡辺一樹(#15)が2台を一気に抜き去り首位に。渡辺の背後には亀井をパスした中須賀がピタリとつけましたが、後半のタイヤ消耗を考えペースを上げない渡辺に中須賀も続き、濱原、岡本裕生(#29)、作本輝介(#27)、スポット参戦の日浦大治朗(#10)までが集団となって周回を続けます。
レースが動いたのは9周目、ヘアピンでオーバーランしかけた渡辺のインに中須賀が入り、トップが入れ替わります。中須賀はペースを上げ、渡辺が追う展開で残り4周。中須賀が制して今季3勝目。
レース2は朝から雨模様。朝のウォームアップ走行でウェットの状況確認、そして雨により決勝レースは16周から14周に短縮されました。フルウェットのスタートで前に出たのは渡辺。オープニングから後続との距離を引き離しにかかります。慎重なスタートを切った中須賀はすぐさま追い上げ1ラップを終えてホームストレートに戻ってくるころには渡辺を筆頭に隊列は中須賀、亀井雄大、岩田悟(#8)、南本宗一郎(#43)。逃げる渡辺を中須賀が追う展開に3位以下は大きく引き離され、亀井、濱原、岩田、柳川を交わした岡本が続きます。
レースは7周目、転倒車によりセーフティーカーが導入されます。一度は2位キープを考えたという中須賀ですが、渡辺の築いたアドバンテージは消え、トップグループは隊列を作ったままラップを消化、残り5周でレースは再開。ここから、トップでリスタートした渡辺とチャンピオン中須賀の、近年まれにみる超スプリントのマッチレースになりました。
残り4ラップのホームストレートで前に出た中須賀に渡辺が食らいつき大接近戦。ラスト2周、スプーンカーブで中須賀のインを差す渡辺にクロスラインを掛ける中須賀、バックストレートで横並びになり、暴れるバイクを抑え込んで渡辺が130Rに飛び込みましたが、続くシケインでインのインをつく中須賀。場内は歓声が響き渡り、2台はテール・トゥ・ノーズでラスト1周。ヘアピンで並びかける渡辺に、深いブレーキングとブロックでインを絶対にわたさない中須賀。バックストレートでわずかに振られる渡辺、シケインを得意とする中須賀が先に立ち上がり、わずか0.013差でのチェッカー、中須賀が今季4勝目をマーク。
優勝:中須賀選手のコメント
「渡辺選手のタイムも速く、正直なところついて行くのがやっとでした。セーフティーカー(SC)のあとは自分が出来る限りのことをやって、みんなのタイヤが温まる前に前に出ていこうと思っていました。そのあとは自分もブロックラインを通りながら、残りの周回数を消化しました。渡辺選手のスピードも速かったですが、そのなかでもしっかり自分も抑えきることが出来てホッとしています。久しぶりの、接戦のいいバトルができ、アドレナリンが全開に出ましたし、お互いレベルの高い抜きつ抜かれつのいいレースを魅せることができたのが良かったです」
2位:渡辺選手のコメント
「また2位か~という気持ちは正直ありますが、やっとレースらしいレースができました。中須賀さんに抜かれた後、もう一度トライ出来たのは大きなステップです。木曜の雨の走行で、チームがいい車両を用意してくれていて、雨ならもしかしたらチャンスがあるかもしれないという手ごたえがありました。SCでリズムが崩れてしまったのもありますが、これもレース。見ていて楽しいレースが出来たのではないかと思います。次以降も、皆さんに喜んでもらえるよう、歓声をあげられるようなレースが出来ればと思います」
(撮影&レポート:楠堂亜希)