クルマにしろバイクにしろ、レーシングマシンを身近に「感じる」ことができるのは、ほぼサーキットに限られます。もちろん、ショールームやイベントでレーシングマシンを目の前に見ることはできるけれど、それは「見る」であって「感じる」ではないことは、レースファンはハッキリ体感していることですよね。そこが、レース好きとそうでない人の、誇らしげな高い壁でしょう。
そこで、突拍子もないイベントを仕掛けることでおなじみのRed Bullが、明治神宮外苑で、またまたやってくれました。Red Bullとは「翼を授ける~♫」でおなじみの世界一のシェアを誇るエナジードリンク。
2006年かな、セブンイレブンやENEOSで販売が始まりましたよね。街中にデカレッドブル缶を載せたミニが走り回ってたり、イベントや駅でサンプリングしてくれたり。今では、きっと日本でも一番有名なエナジードリンクです。
そのレッドブル、スポーツイベントや音楽イベント、レーシングチームのスポンサーをはじめ、突発的にいろんなイベントを仕掛けてきました。2019年3月には、ところも同じ神宮外苑、この時は青山通りから神宮へ向かういちょう並木でレッドブルF1がデモランしましたよね。あれは、すぐ近くのホンダ本社で19年のホンダF1チーム結成発表会があって、その流れでいちょう並木デモランがあったんでした。
あれから2年半。今度は神宮のいちょう並木につながる外周路で「Red Bull Race Day」は行なわれました。今度はF1マシンではなく、SUPER GTからRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、スーパーフォーミュラからTEAM MUGEN ダラーラSF19が参加。そしてMotoGPからRC213Vが!と思ったら、マシンはRC213V-S。そうです、2200万円の市販車213V-Sが、LCRホンダIDEMITSUカラーにフルペイントされての登場です。クルマはレーシングカーだったのに残念……でも、参加した213V-S、あのサウンドは215PSキットパーツの入った公道不可バージョンですね。それでもホンモノのMotoGPマシン、みんなに見せてあげたかったなぁ。
デモランは、4人の「レッドブルファミリー」によって行われた。スーパーGTからは笹原右京選手、大湯都史樹選手、スーパーフォーミュラの大津弘樹選手、そしてMotoGPからは中上貴晶選手です。タカ中上は日本に数人しかいない「レッドブルアスリート」ですからね、でもこういうイベントは初参加だったそうです。その中上、11月末に日本に帰ってきて、それからは「ちょっとだけのんびりして、あとはトレーニング始めてます」(中上)という毎日だそう。
そしてデモランは公道を封鎖した特別コースで行なわれました。神宮の軟式野球場噴水を囲む周回路をU字型に往復、片道500m、往復1kmほどのコースで、もちろん路面は一般のアスファルト舗装、いちょうの落ち葉も多い、12月中旬の冷えた路面温度のコンディションです。もちろん、コース試走も出来ませんから、イッパツのぶっつけ本番走行。ライダー、ドライバーとも、ここ一番気になったでしょうね。
「路面温度は低いし、路面はダスティでしたからね、すごく気をつけて走りました。先に走った笹原選手からコンディションとか聞いて、おそるおそるコースインしましたもんね。途中、マンホールあってびっくりしましたけど、そりゃありますよね(笑)。市販タイヤで走ったから、フルバンクとまではいかないけど、まぁまぁグリップしましたよ」(タカ)
ミシュランの市販公道用タイヤ、パイロットCUPを履いたRC213V-Sは、周回コースを3回に分けて往復。1回の走行で3往復とかしてたのかな、さすがにスーパーGTとかスーパーフォーミュランにくらべるとボディが小さいから、ちょっと迫力伝わらないかなぁ、って心配してたんですが、そこはタカ、頑張りました。
「ヒザするほどじゃなかったけど、体インに入れて、イン側のフェンスにヒジこすりつけてやろうかなと思って(笑)」ってことは、フェンス際で見ているお客さんにとっては、目の前ギリギリを轟音213V-Sがスッ飛んでいく、ってこと。これ、普段はレーシングマシン見たことない人、見たことがあってもクルマのレースしか見たことがない人が度肝抜かれたでしょうね! Twitterとかでも、そんな声多かったです!
時間としては数時間しかありませんでしたが、東京のド真ん中でレーシングマシンをこんなに「感じる」ことができることなんかありませんからね。すごくいいイベントだったと思います! 特に音、匂い、目の前の疾走感って、普通の人にとっては完全な「非日常」。もちろん、いろんなところに開催許可が必要で、公道を封鎖して行なうこういうイベント、やっぱレッドブルしかできないなぁ、って感じでした! またやってほしい! 次はタカのチャンピオンマシンRC213Vでね!
(文・撮影:中村浩史)
※イベントの模様はレッドブルTVで視聴できます→Red Bull Race Day