FIMトライアル世界選手権において日本人で初めてチャンピオンを獲得(2004年)、“フジガス”の愛称で知られるレプソル・ホンダ・チームの藤波貴久が、26年に及んだ世界選手権キャリアに終止符を打つこととなった。
1980年三重県生まれ・41歳の藤波は自転車トライアルなどを経て、1993年に13歳で全日本トライアル選手権にデビュー、1995年には最年少でチャンピオンを獲得(通算5回)。翌1996年からはトライアル世界選手権に参戦、1997年のドイツ大会で史上最年少17歳237日で初優勝を果たし、2004年にはシリーズ・チャンピオンを獲得、世界の頂点に立つ。
2017年まで21年連続でランキングトップ5入りという大記録も樹立。今シーズンは開幕戦イタリア大会2日目、自身5年ぶりの優勝を41歳151日という最年長優勝記録で飾った。
毎大会用意された「フジガス応援カツカレー」でお馴染み、ツインリンクもてぎで開催される日本大会でも奮闘。2013年に8年振りの優勝含め6勝を挙げ、近年では負傷の癒えない身体で3位表彰台に立ち、地元ファンを沸かせた(2018年)。また、日本のトップライダーである小川友幸、黒山健一らと共に日本代表としてトライアルの国別対抗世界選手権(トライアル・デ・ナシオン) にも参戦。2016年と2019年に2位を獲得している。
(WEB Mr.Bike 2014年4月公開、トライアル世界選手権 日本GP開幕目前藤波貴久選手インタビュー「来たるFUJIGAS!!! なるか!!!もてぎLEGEND」はコチラから)
藤波貴久のコメント
「26年間、トライアル世界選手権で戦い続け、今こそキャリアに幕を閉じる時が来たと確信しています。長きに渡り応援してくださった人たちのおかげで、トライアルのプロとして戦うことができ、25年以上にわたって想像を超える戦績を残すことができました。ありがとうございます。
とても幸せな26年間でした。最初からサポートしてくれた家族、チームスタッフ、HondaならびにHRC、そしてスポンサーの皆様にも感謝しております。また、ずっと応援してくれたファンの一人一人にありがとう、と伝えたいと思います。
16歳の時にHRCとMontesa-Hondaが世界選手権に参戦するバイクを提供してくれて以来、最後までプライドを持ってチームとともに戦うことができました。世界選手権にデビューした時の観客の応援と拍手を今でも鮮明に覚えています。初優勝のドイツ戦、その後の苦しく難しい数年間、そして2004年にチャンピオンシップを獲得した時の喜び、どれも昔のことですが、自分にとっては一生の宝です。特に思い出深いのは2000年から始まったツインリンクもてぎでの大会で、毎年とても情熱的なファンの皆さんが応援に来てくれました。本当にありがとうございました。
これからどうするかは、まだ分かりません。ライダーを引退してからどうするかまだ決めていませんが、何らかの形でトライアルに関わり続けようと思います。新たな人生も、きっと全てうまくいくと信じています」
トライアル世界選手権での記録
出場数:354戦(歴代1位)
優勝回数:34勝(歴代5位)
累計獲得ポイント:4,722ポイント(歴代1位)
最年少優勝記録:17歳237日
最年長優勝記録:41歳151日(2021年9月15日現在)