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試乗・解説

Benelli TNT249S
イタリアの名門ベネリの正規輸入が復活した。ラインナップの中で、最もスポーティーな250ccクラスのネイキッド、TNT249Sに試乗。その魅力はどこにあるのかを探った。
■試乗・文:濱矢文夫 ■撮影:渕本智信 ■協力:Benelli https://www.plotonline.com/benellimotorcycle/index.html 、JAIA 日本自動車輸入組合 http://www.jaia-jp.org/






 シリンダーが前傾した水冷並列2気筒エンジン、トレリスフレーム、への字型をしたスイングアーム、ブレーキ、ショートマフラー、スタイリングなど、日本メーカーのバッジがついた最新モデルだと言われても疑いをもたない質感。それでいて、このTNT249Sは他社のモデルをベースにしたOEM車ではない。エンジンも余所から買ってきたものではなく自社で開発したものだ。

 真っ先に興味をそそられたのがフューエルインジェクションと組み合わされたパラツインエンジン。61.0×42.7mmとショートストロークのDOHCで2気筒4バルブ。並んだ2つのピストンが同時に上下する360度クランクというのがおもしろいところ。走らせてみると、同排気量クラスのパラツインエンジンと違った低音が下から響くビートのきいた爆ぜるような排気音が特徴で、最高出力が出る1万1千回転までスムーズに回り、気になる振動はほとんど感じられないところが昔の360度クランクパラツインエンジンとは違うところ。
 

 
 低回転域からちゃんとトルクがあって、トルクの出方はあくまでもフラット。高回転に入ると加速が増していくけれど、唐突なところがまったくなく、なだらかにつながっていく。体感した印象をひとことで表現すると、“やさしい”になる。ビュン、ビュンと鋭いスロットルレスポンスとは違い、実際のところは知らないけれどフライホイールがやや重いフィールと似ている。でも、これは悪いところではない。高いギアを選択して、低い回転数で流していてもよどみなく滑るように進んで、右手の動きに対してセンシティブなところが顔を出さない。

 250ccはそれを超える排気量クラスよりお手軽に乗れるので、エントリーユーザーやリターンライダーが多いクラス。そういうライダーにとって乗りやすいと感じさせるエンジン特性だ。市街地や、タイトなワインディングなど加減速が多くなる場面や、Uターンなどでもギクシャクしにくい。トルクと良い意味でのゆるさが味方になってくれる。それでいて回すと適度にスポーティーなところがミソ。ベテランライダーなら回転を落としすぎない速度の高いラインを選んで走ると楽しいと思う。何よりそうやって走ることを受け止める車体とサスペンションを持っている。
 

 

 260mmのペータルディスクをダブルで使っているフロントブレーキは効きもタッチもスポーツバイクと呼べる水準のもので、トレリスフレームに倒立フォークとリンクレスシングルショックのクッションユニットを使ったハンドリングは、ネガティブに感じさせることが見当たらない。120/70ZR17、160/60ZR17サイズの前後タイヤと路面とのコンタクトを常に感じられて、スピードをのせたコーナーリングもしっかりこなせる。動きにクセがなく深いリーンアングルに持ち込んでも安心感がある。各部がきっちり働いてトリッキーなところもない。よくいわれるエンジンパワーに対してシャシーが勝っているパターンだ。

 

 
 気持ち良く自由自在に操れ、コーナーをクリアしていけるけど、250ccより大きな排気量に乗っているような安定感。実際のところ、1410mmのホイールベースは、ホンダのCB400 SUPER FOURやカワサキのNinja650/Z650と同じ。タイヤサイズも同じ。その車格ゆえに車両整備重量204kgで軽い方ではないのは確かだが、走っている限りコントローラブルでそれを強く意識させる場面は少なかった。逆に取れば、そのゆとりと存在感は見劣りさせない部分である。
 

 
 アップライトなポジションで、ステップはお尻の真下になるスポーツネイキッドとしては定番の位置でも高すぎないから膝にもゆとりがあり、私(170cm)より身長がある人でも窮屈な思いはしないと思う。高さが795mmのシートは、私がまたがってももう少しで両足のかかとまで届くから、足着きも悪くない。細身できゅっと挟んでニーグリップのしやすい形状なのもあって、手に余る感覚がまったく出てこなかった。わがままを言うなら、もう少しハンドルが切れたらさらに扱いやすく思えただろう。
 

 
 カラー液晶を使ったメーター、テーパーハンドルバーなども含めた装備とこの走りは魅力的である。耐久性だけはわからないけれど、乗ったあとに強く思ったのは、そろそろ日本メーカーも枕を高くして寝られないのではないか、ということだった。
(試乗・文:濱矢文夫)
 

φ260mmのペータルディスクをダブルで使ったフロントブレーキ。ABSは標準。キャリパーには“Benelli”の文字が入る。17インチ外径のキャストホイールはスポークが細い今風のデザイン。ホイールトラベルは135mm。
パイプを2本曲げてへの字にしているスイングアームの下から出る今風のショートマフラー。このスイングアームとリンクレスのショックレイアウトなど少し前のカワサキにあったモデルを彷彿とさせる。リアブレーキもペータルディスクで外径φ240mm。

 

360度クランクの自社製水冷DOHC4バルブパラツインエンジン。2本のエキゾーストパイプにチャンバーが設けられている。最高出力は1万1千回転で22kw(約30PS)を発揮。最大トルクは9千回転で21.0Nm。電子制御燃料噴射装置を装備する。点火方式はトランジスタ(TLI)。変速は6段。
ペダルの操作部分は偏心カム形状になっていて、ペグからの距離をアジャストできる。LEDの灯火類や、テーパーバーハンドル、日中と夜間で表示が切り替わるギアポジションも表示するカラーTFTメーターなど装備は充実。

 

●Benelli TNT 249S 主要諸元
■エンジン種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ■総排気量:250cm3 ■ボア×ストローク:61.0×42.7mm ■圧縮比:12.0 ■最高出力:22kw/11, 00rpm ■最大トルク:21N・m/11,000rpm ■全長×全幅×全高:2,130×800×1,120mm ■ホイールベース:1,410mm ■最低地上高:140mm ■シート高:795mm ■車両重量:204kg ■燃料タンク容量:16L ■変速機形式:常時噛合式6段リターン■タイヤ(前・後):120/70ZR17・160/60ZR17 ■ブレーキ(前/後):油圧式デュアルディスク・260mmABS/油圧式シングルディスク・240mmABS ■懸架方式(前・後):倒立テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:レッド、ホワイト、ブラック、グリーン ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):636,900円 /特別色グリーン 647,900円

 



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2021/04/16掲載