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試乗・解説

歴史あるCBブランド、CB1300シリーズ 電子技術搭載でさらに操る楽しみを追求
プロジェクトBIG-1のコンセプトで最初のCB1000SFが登場したのが1992年。大排気量ネイキッドCBはもうすっかりベテランであり、ホンダのラインナップでは老舗というか、流行り廃りを飛び越えて、既になくてはならない大切なポジションとなっている。完全なスタンダードになっているこのCB1300シリーズ、「大排気量モデルを操る楽しみの最大化」をキーワードにさらに進化した。
■解説:ノア セレン ■協力:ホンダモーターサイクルジャパン https://www.honda.co.jp/motor/




ベテランのあのコが、とうとうスマホにしたってさ?

 CB1300シリーズは、弟分のCB400シリーズ同様熟成に熟成を重ね、もはや独自の世界を築くほどに昇華されたバイクである。これまでの1300は、ABS、PGM-FIなどは当然としてもその他の電子制御は一切搭載せず、それでいて「プロジェクトBIG-1」のコンセプトであった「セクシー&ワイルド」「乗る者の心を魅了する感動性能」を、各時代に合わせてブラッシュアップし続けてきた。目新しい機能を搭載することなく、ある意味ガラパゴス的なモデルチェンジをしてきたかもしれないが、「突き詰めるとはこういうことだ」と言わんばかりにファンを魅了し続け、安定して売れ続けてきた。
 そんなCB1300が、どうやらスマホを入手したらしい。スタイリングはそのままに、先進の電子制御デバイスを搭載したのだ! しかし怖がることはない。採用されたのはパワーモード3種と、ホンダでは「トルクコントロール」と呼ぶいわゆるトラクションコントロール機能、それとクルーズコントロールであり、その内容は複雑なものではなく、電子制御アレルギーの人にも寄り添う「簡単スマホ」といえるだろう。
 CB1300シリーズの魅力はそのままに、電子制御に助けられた更なる安心や感動、使いやすさ、「操る楽しみの最大化」を更に押し進めているのである。
 

スタンダード仕様のスーパーフォア(SF)とカウル付スーパーボルドール(SB)、SP仕様のSFとSBの4機種展開。スタンダード仕様は赤フレーム&ゴールドクランクケースカバーのパールサンビームホワイトと、フレームとクランクケースをブラックとしたベータシルバーメタリックの2色展開。SPは従来同様のカラーリングのパールホークスアイブルーとキャンディークロモスフィアレッドの2色。新たにシートにレッドのステッチを配してスポーティさを演出している。

 

電子制御スロットルの搭載

 搭載された各機能の肝となるのは電子制御スロットルの採用だ。従来のケーブルではなく電気的にアクセルの操作を拾い、より緻密なスロットルバルブ制御を可能としている。これによりライディングモードも走行状況やライダーの好みに合わせてSPORT、STANDARD、RAINから選択できるようになり、CBの巨躯をより多くの場面にて安全に楽しく操りやすくなっているわけだ。
 もう一つの新搭載はセレクタブルトルクコントロール。いわゆるトラコン的な機能で、リアタイヤがスライドを始めた際にそれを制御して、コントロール不能な状況を未然に防ぐといったもの。もちろんこういった機能は万能ではないし、そもそもとても優秀なトラクション感を持っているCBにおいてはそんなに顕著に介入してくるものでもないだろうが、しかし冷たい路面や濡れたガソリンスタンドでの発進、苔むした舗装林道などでCBの強大なトルクが思わぬスリップを引き起こすことだってなくはないだろう。安全のためにも大歓迎な新機能である。
 そして特にボルドールの方で長距離高速ツーリングなどを楽しむ人には、クルーズコントロールもありがたい新機能。淡々と距離を稼ぐような場面では疲労軽減に一役買ってくれることだろう。
 

SPモデルにはオーリンズのフロントフォークとブレンボのキャリパーを、リアにもオーリンズのサスペンションを装備し、よりスポーティになっている。

 

オプションも新設定

 クラッチを使わずともギアチェンジができる「クイックシフター」も近年では一般的になってきているが、CB1300シリーズには搭載されずにここまで来た。今回のモデルチェンジではオプションの設定ではあるが、このクイックシフターも用意された。詳細はまだだが、どうやらアップもダウンも対応してくれる型のようだからこれも楽しみである。
 もう一つ搭載されたのは、四輪などでも一般化した「エマージェンシーストップシグナル」。急ブレーキをかけた際に自動で両側ウインカーを高速点滅させ、後続車へと急減速を伝える安全機能だ。こちらはオプションではなく標準装備だ。
 

懐かしい赤いフレームとゴールドのケースカバーのスタンダードモデル。

 

カラーも充実、4機種展開

 大排気量CBシリーズももはや30周年が迫っているロングセラー。ホンダは時として見切りをつけるのが早いことがあるメーカーで、絶版となってから人気が出てきた車種も過去にはあった。FTRやフュージョンのようにそういった遅れてきた人気に応えて再販されたモデルもあった。ただCBシリーズについては続けてきたからこそ得られた高みが確かにある。
 ニューCB1300はスタンダードのCB-SFとカウル付のCB-SB、さらにオーリンズサスペンションとブレンボブレーキを奢るCB-SF SP及びCB-SB SPと4機種という贅沢な展開。スタンダード版はかつての名車をオマージュした赤フレームの採用が話題でもある。
 不動のホンダフラッグシップ、全国のホンダドリーム店にて3月18日より発売される。
 

対峙すると驚くほどの巨体に一瞬ひるむが、跨ってみれば足着きは良好、ハンドルのポジションも非常にナチュラルで、誰でも「これなら乗れるかも!」と自信が持てるはずだ。シートの幅も十分で長距離走行の味方だし、全てに無理のないスタンダードマシンだと感じられた。(写真のライダーの身長は185cm)

 

赤いフレームとゴールドのケースカバーは、かつて同じCB1300シリーズにも設定されたもので懐かしく思う人も多いだろう。さらに辿れば、究極のCBとしてレースで活躍したかつてのCB1100Rのカラーリングである。
スタンダード仕様にはSHOWAのサスペンションが付くが、こちらも調整機能は豊富だ。

 

エンジンは変わらずトルクフルな1284cc。新たにライディングモードを搭載したことでSPORT/STANDARD/RAINの3つのモードを選択できる。
SPは今回カラーリングを先代から継承したが、シートには赤いステッチを入れて印象を変えている。

 

SPモデルにはオーリンズのフロントフォークとブレンボのキャリパーが備わり、よりスポーティな設定となっている。
リアにもオーリンズのサスペンションを採用するSP。細かいセッティングが楽しめるほか、高級サスペンションの乗り心地は代えがたいものがある。

 

右スイッチボックスは巨大化しているが、それは新採用された電子制御スロットルのため。スイッチボックス下部にはクルーズコントロール関連のスイッチ類が並ぶ。
左のスイッチボックスは従来通りわかりやすい作り。グリップヒーター及びETC2.0は全車に標準装備される。

 

CB1300 SUPER FOUR SP / CB1300 SUPER BOLD’OR SP

 

CB1300 SUPER FOUR / CB1300 SUPER BOLD’OR

 
●CB1300 SUPER FOUR / CB1300 SUPER BOLD’OR 主要諸元

■型式:ホンダ・8BL-SC54 ■エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ ■総排気量:1,284cm3 ■ボア×ストローク:78.0×67.2mm ■圧縮比:9.6■最高出力:83kw(113PS)/7,750rpm ■最大トルク:112N・m(11.4kgf・m)/6,250rpm ■全長×全幅×全高:2,200×829[825]×1,125<1,135>[1,205<1,215>]mm ■ホイールベース:1,520mm ■最低地上高:140<140>mm ■シート高:800<790>mm ■車両重量:214[272]kg ■燃料タンク容量:21L ■変速機形式:常時噛合式6段リターン ■タイヤ(前・後):120/70ZR17M/C・180/55ZR17M/C ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスク/油圧式ディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■車体色:パールサンビームホワイト、ベータシルバーメタリック ■メーカー希望小売価格(消費税10%込み):1,562,000円<1,936,000円>[1,672,000円<2,046,000円>] ※[ ] はSB、<>はSP

 



| 2018年型CB1300 SUPER FOUR SPの試乗インプレッション記事はコチラ(旧PCサイトに移動します) |


| 2015年型CB1300 SUPER BOLD’ORの試乗インプレッション記事はコチラ(旧PCサイトに移動します) |


| 2014年型CB1300 SUPER BOLD’ORの試乗インプレッション記事はコチラ(旧PCサイトに移動します) |


| 201年型CB1300 SUPER TOURINGで旅する、前編はコチラ(旧PCサイトに移動します) |


| 201年型CB1300 SUPER TOURINGで旅する、後編はコチラ(旧PCサイトに移動します)
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| プロジェクト BIG-1の開発者インタビューはコチラ(旧PCサイトに移動します)
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2021/02/01掲載