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MBアーカイブス





ミスター・バイク アーカイブス第10回 1977年1月号(第9号)


1976年(昭和51年)4月(月号では5月号)に創刊し、2010年(平成22年)7月号で休刊(書籍コード=ミスター・バイクの場合は08489が生きている限り廃刊とはいわないらしいので)して、現在はWEBでなんとか生き延びているミスター・バイク。長いようで短いのか、短いようで長いのか、35年間で420冊(増刊号は含まず)を発行しました。これも多いのか少ないのかさえ分かりません。創刊号から最終号まで、おもしろそうな内容をピックアップして、一部ではございますがご紹介させていただきます。あと411冊もあるので、不定期更新になりますがお気に召すまま気長にお付き合いくださればとおたのみもうします。

 初代編集長のBOSSから二代目石井編集長に、何事もなかったように代替わりが完了していた12月号の次は当然1月号。新年明けましておめでとうの心機一転ということでしょうか、がらりとイメージチェンジした表紙の写真。10月にFISCOで開催されたF1(もちろん四輪)において撮影されたもので、じっくりと絵作りして撮りましたというスタジオ系から、いい絵を見つけて一発で撮りましたという現場系(そんな言葉はないし、そう見えるけれど、実はちゃんとした作り込み系だったりする)へとイメージが変わっています。モデルはドイツ人ドライバーのヨッヘン・マス選手。F1のパドックにロードレーサーを持ち込み、超有名なレースカメラマンの間瀬 明さんが激写したものです。レースウィークのF1のパドックに怪しげなバイク(ロードレーサーとしか書かれていませんがTZでしょうか?)を持ち込み、著名ドライバーにまたがらせて、間瀬さんが撮る。今時のF1では絶対に不可能でしょうが、当時としてもとんでもない手間暇かけたはず。心機一転新年号に対する石井編集長の執念でしょうか。はたまた、のちに四輪界隈でフィクサーと呼ばれたBOSS渡辺靖彰のチカラが働いたのでしょうか……ただ、車もバイクも興味がない人からすれば「だから?」程度の感想かもしれませんが、これはいずこの世界でも同じです。

#ミスターバイク1977年1月号
#ミスターバイク1977年1月号
モデルはヨッヘン・マス選手。マス選手は知らなくとも、ニキ・ラウダ選手の名前くらいは知っている人も多いのでは(オーナーを務めたラウダ航空のB767が、タイで謎の墜落事故を起こしたことでも有名になってしまいましたから)。1976年シーズンにそのニキ・ラウダ選手とチャンピオン争いをした名選手です(と知ったようなことを書いたら「ラウダとチャンピオン争いをしたのはマスのチームメイトであるジェームス・ハントのほうです」と校正担当さんからさっそくダメが。ウィキを信じちゃいけないよ)。

 巻頭カラーは発売間近のGS400。ナナハン免許が出来て2年、400クラスが主役になっていたのですが、4ストの決定版不在の中で登場したGS400。仕組みすら理解していなくても、DOHCというだけでとんでもなく速い! と小僧達は思ったのです。先月のGS750はモノクロだったのに、カラーに昇格したのは、GS750の記事でなにかやらかしたフォローではないと思います(おそらく、だぶん)。
 モノクログラビアは「そのベールを脱いだ ホンダRCB941」。荒川テストコース(大和工場近くの荒川河川敷にあったホンダのテストコース)で報道向けに公開されたもので、10月号の霧にかかったような、たぬきときつねに化かされたような内容から一転、リリースに書いてあること、取材で見たこと聞いたことをすべて漏らさず詰め込んであるような充実した内容です。しかしメーター写真のキャプションって、この頃から不変なんですね……。さらにレースものが続きます。菅生で開催された第4回全日本トライアル選手権大会。トライアルブームは陰りを見せ始めていたもののエキスパートクラスだけでも110名がエントリーしていたとか。「女」は年が明けてもシリーズ継続中です。

#ミスター・バイク 1977年1月号
あの頃も今もRCBは、バイク少年(=現バイクおじいさん)の琴線をきゅーと掴んで離さないのはなぜでしょう。タミヤから1/6スケールで出ないかなあ。
#ミスター・バイク 1977年1月号
トライアル菅生大会。観戦者と競技者の距離がかなり近く、観客の中には制服の白バイ隊員らしき姿も見えます。

 活版特集はものすごくまじめな「魅力のエキサイティング・メカをさぐる」というメカ特集。いよいよ高性能時代を迎えるに相応しい好企画です。「エアロダイナミックスなカウリング」「キャスティングホイール」「カンチレバーサスペンション」「スクエア4」「タンデムツイン」「DOHC4バルブ」など今では当たり前のメカニズムが、レーサーや市販車で芽吹いた頃で、さらっと解説しています。特につっこむところはありません。
 次が「心理テストで分かるキミのライダー度!」。著名な心理学者の監修ということなのですが、この先生も信じていいのやらという、しょっぱなからツッコミどころ満載企画。いちいちつっこむのもめんどくさいのでスルーします。「東京ガイドマップ」という有名なバイクショップや雑誌編集部などを羅列したマップが続きます。東京ツーリングのご案内みたいな趣旨でしょうこのマップ、おおざっぱすぎて初めて東京に来た人に役に立つのかどうかはともかく、地方から東京に来るライダーに対して「東京の超過密交通事情を知ってほしい。地方の感覚で走ることは危険であるし、十分注意して走ることです。もちろん集団で走ることは、他の交通の迷惑になるし、まあ、やめてほしいですね」と、田舎ものはバイクで東京を走るなといわんばかりの警視庁交通安全指導課のコメントを取っているのはミスター・バイクらしいです。都内には二輪通行禁止の陸橋やアンダーパスもたくさんあって、出口で必ず白バイが待ち構えていました。捕まっているのは、そんなこととはつゆ知らず、幹線の流れに乗って進んでしまった他府県ナンバーばかりでした。

#ミスター・バイク 1977年1月号
大きなマップの使い勝手はともかく、暴走族以前のカミナリ族対策で新宿、渋谷、原宿、六本木、銀座といった繁華街となぜか錦糸町あたりに設定されていた深夜自動二輪通行禁止区域マップも今ではなつかしい?
#ミスター・バイク 1977年1月号
前半活版特集のラストは「キミのためのバイク免許取得オールガイド」。今回から始まったビギナーズスクールの第1回です。バイクの免許は4種類ある(原付、小型2輪免許、中型2輪免許、大型2輪免許)という記述は、現実的ではありますが、バイク雑誌としてはいかがなものでしょう(と、ケチをつけるくらいしかない真面目な企画)。

 センターには綴じ込み付録のオリジナルアイロンプリントが付いています。70年代半ばは、簡単に(上手くいけばですが)プリント出来る(耐久性はかなり怪しいです)アイロンプリントが大流行したようで、ミスター・バイクでも、11月号(スズキミニクロ)に続き二回目の登場です。今回は外国車メーカーのロゴが主体ですが、果たして正式な許可を得ているかどうかは……。当時は日本法人もない時代ですし、よほどのことがなければそれほど問題がなかったのでしょう(たぶん)。
 ところでアイロンプリントはご存じでしょうか? 後半の活版特集のチャレンジ教室ではそんな疑問に答えるかの如く「シルクスクリーン印刷にチャレンジ」なんてやってます。「簡単に言ってしまえば、シルクスクリーン印刷はガリ版印刷のアニキ分と思っていいだろう」なんて書き出しで始まっています。ガリ版が当たり前という時代です。今やインクジェットの家庭用プリンターすら時代遅れになりつつある時代ですから、もう死語のオンパレードですね。印刷の話なんて興味ないでしょうからつっこみません。 
 情報コーナーでは映画「激走5000キロ」が紹介されています。原題は「THE GUMBALL RALLY」。後に有志で行われた皇居前から北海道を目指すツーリング企画(ということにしておきます)の元ネタともいわれる、NY→LAの公道レースをおもしろおかしく描いたカーアクション映画です。基本は四輪ですが、確かKHも出てきます。テレビで見て「アメリカってすげえ!」と驚いた思い出があります。
 久々に読者ページも紹介しましょう。ペンネームもぼちぼちありますが、ほとんどがフルネーム&フル住所。「ブ男だから恋人がいない。女は見る目がない」「免許を取るために教習所に通っているが、まわりは四輪ばっかり」「アニキがナナハンで逝った」「現在夫婦で浮気中。私はシャリーに、ダンナはモトクロッサーに」「彼はバイクに夢中で私なんててんでおかまいなし」「キミはなぜ暴走するのか、キミの青春の1ページなのに死神のように」などなど。どうです! どれも読んでみたくなる名作揃いではありませんか。ミスター・バイクの読者さんはレベル高いと思います(なにかの)。そうだ! 昭和の読者投稿を一冊の本にしたら……売れませんね。道義的にもグレーでしょう。

#ミスター・バイク 1977年1月号
内容の濃さとはうらはらに、読者ページはわずか2ページとは。他に企画に押されてページが取れなかったのでしょう。アイロンプリントは今でも使えそうでした。もちろんやろうとは思いません。
#ミスター・バイク 1977年1月号
簡単に年賀状を印刷できる「プリントゴッコ」って覚えていますか? 流行りましたよね。大まかにいえばあれもシルクスクリーン印刷です。私は買ってもらえずもっぱら芋版でしたが、今なら食べ物を粗末にするな! と怒られます。


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2026/02/14掲載