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レース・イベント





■開催日:2025年10月12日(日) ■場所:モビリティリゾートもてぎ オーバルコース
■主催:本田技研工業(株)
■レポート・写真:高山正之

 今年の大会は、大きな変化がありました。地球環境の保全という大きな目標のもと、ハイオクガソリンのクラスが最後になったのです。2026年からは、カーボンニュートラル(CN)燃料のみとなります。そして、50ccエンジンで競う大会としても最後になりました。背景は、国内での50ccモデルの生産終了に伴い、エンジンの供給が出来なくなったことなどによるものです。
 2026年は、全クラスが150cc未満のHondaエンジンを使用することになります。もちろん50ccエンジンも使用できますから、より選択肢が広がったと言えます。そして、新たに電動二輪車クラスが導入されることも正式にアナウンスされました。従って、全チームともに今年の大会に賭ける意気込みは強いものがありました。

開会式では二つのサプライズが用意された

 開会式では、サプライズが二つありました。
 ひとつは、トライアルライダーの紹介です。2025年シーズン、電動トライアルマシンで戦い、世界戦のTrial2クラスで2位を獲得した、ミケール・ジェラベルト選手。そして全日本の最高峰クラスに参戦している武田呼人選手です。なんと、会場でデモ走行を披露してくれるという、嬉しい紹介でした。
 そして、もうひとつのサプライズは、100歳で二輪車クラスに挑む菅原文雄さんの表彰でした。毎年、多くの人たちから激励されていましたが、今年は晴れての表彰となりました。開会式に参加した中学生や高校生もからも万雷の拍手がおくられました。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
左から、Honda Montesa監督のBarnedaさん、ジェラベルト選手、武田選手。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
生涯現役を称えて、菅原さんに大会会長の加藤稔さん(左)から表彰状が贈られました。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
開会式後の集合写真 全222チームがエントリーしました。

一番身近な二輪車クラス

 二輪車クラスは、50ccの市販車で戦われます。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
C100で参加した横浜仲サイクル保土谷本店。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
空力ゼッケンのホンダテクニカルカレッジ関西。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
ドリーム50で挑戦 チームffドリームズその2。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
白で決めた向の岡工業高校 mth-003。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
エコラン乗りの静岡工科自動車大学校B。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
チームがんばる100才の菅原文雄さん。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
ひと際鋭いライディングで3連覇したLittle Cubs。記録はCN燃料で242.352km/ℓ。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
二輪車クラスでは、ゴール後に記念撮影が行われ、健闘を称え合いました。

CN燃料の中学生クラスはあきる野市立東中学校が2連覇

 中学生クラスは、常勝校と言ってもメンバーが毎年変わりますから、いつもチャレンジャーです。しかしながら、先輩たちが造り上げたマシンや蓄積したデータは使えますからありがたいことです。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
スタート前の待機エリア 緊迫した雰囲気です。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
フラッグによって順次スタートしていきます。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
CN燃料クラスは、奥の#1 あきる野市立東中学校Aが721.091km/ℓで優勝。手前のBチームは3位でした。同じ学校でも車体の造り方が違います。

ユニークなマシンが楽しい高校生クラス

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
スタートシーン 左の#108は、浜松城北工業高校 省エネ研究部A。右の#119は、宇都宮工業高校 科学技術研究部A。どちらも空力に優れたボディ形状のマシンです。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
前2輪、後1輪のGIFU TECH A。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
前1輪、後2輪の石巻工業高等学校 ニコイチ。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
都立田無工科高等学校 自動車部A。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
渋川工業高校 SpaEvo。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
F1カーをイメージした足利大学附属高校 自動車科。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
Honda F1 RA272 初優勝マシン。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
高校生クラスの走行シーン。オーバルコースを7周走ります。

大学・短大・高専・専門学校クラス

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
静岡工科自動車大学校Aは、43回目の出場。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
ホンダ学園 CN-Project。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
日産横浜自動車大学校Aは、20回目の出場。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
津山高専 内燃機関部Ⅱ。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
鹿児島高専REDチーム。最も遠くから参加したチームと思われます。

最高記録を狙う一般クラス

 強豪がひしめく一般クラスでは、それぞれ自己記録更新を目指した戦いが展開されました。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
42回の出場を誇るチームベイント。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
富士エコラン・チーム白糸。

 今大会、最高記録のチームに授与される本田宗一郎杯は、一般クラスの2チームが獲得しました。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
CN燃料クラスのチームファイアボール。記録は2,118.599km/ℓでした。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
ハイオク燃料クラスの水曜クラブ。記録は2,565.786km/ℓ。

 この大会は、他にもニューチャレンジクラス(このクラスのみ、50cc以上150cc以下のHonda製4ストロークエンジンを使用)と、二人乗りクラスがあります。各クラスの詳細な成績表は、Hondaのホームページで見られます。ぜひご覧ください。

大会アラカルト

 2026年大会から新たに導入される電動二輪車クラスの公式車両となる、EM1e:のエキシビションが行われました。
 そして、2027年から計画されている電動クラスに向けて、Hondaが造り上げた車両の展示とエキシビション走行も行われました。モバイルパワーパック1個を搭載し、インホイールモーターで駆動する仕組みです。今後、計測方法などのレギュレーションを詰めていく作業が行われていくものと思います。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
電動スクーターEM1e:の走行シーン。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
バッテリーの搭載状態。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
スタート前のカウルを外した状態。
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
音もなくスタートし抜群の加速力を見せました。

#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
倒れない二輪車を目指して開発中のライディングアシスト搭載車(NM4)。開発者が両手を離してバランス制御について解説してくれました。※Hondaライディングアシスト2.0の動画はコチラ→ https://www.youtube.com/watch?v=c8GHeiQl-pk&t=147s
#Hondaエコ マイレッジ チャレンジ
会場内の特設セクションで行われたトライアルのデモンストレーション。左が電動トライアルマシンRTLエレクトリックを操るジェラベルト選手、右がガソリンエンジンのRTL301RRを操る武田選手。トライアル競技でも、電動マシンの普及が進みそうです。

 この大会は、1981年2月に燃費に優れたエコノパワーエンジンを搭載したスーパーカブ50が発売されたのを機に、このモデルのPR活動も兼ねて同年6月に第1回大会を鈴鹿サーキットで開催したのが始まりです。以来45年にわたり、時代の変化に対応しながら、中学生や高校生など若い人たちのものづくりと挑戦する夢を支えてきました。
 1滴のガソリンも無駄にしないという環境保全を目的に、創意工夫を凝らしたマシンで競う“科学のモータースポーツ”とも言われてきました。
 今後、電動クラスが導入されることで、新たなものづくりへの挑戦の扉が開きます。
(レポート・写真:高山正之)

2025/11/05掲載