ROUND 5 – Petronas Sepang International Circuit – Malaysia
アジアロードレース選手権 第5戦(マレーシア・セパン・インターナショナル・サーキット)
ASB1000
ASB1000クラスは、マレーシア出身のJDT RACING TEAM所属ハフィジ・シャフリン・アブドラがポールポジションを獲得。チームメイトとして全日本JSB1000参戦中の水野 涼がワイルドカード参戦したが、転倒してしまい、大事をとり決勝を走ることなく参戦を断念した。
2番手はIDEMITSU HONDA RACING MALAYSIAのムハンマド・ザクワン・ザイディ、3番手にSDG HARC-PROの阿部恵斗。Team TATARA apriliaの綿貫舞空は10番手につけた。
●RACE1
ハフィジが好スタートを切り、IDEMITSU HONDA RACING MALAYSIAのアズロイ・ハキーム・アヌアル、ザクワンを抑えてトップに立つ。阿部、HONDA RACING THAILANDのナカリン・アティラトプヴァパットもトップ争いに加わった。ハフィジが逃げ、アズロイ、ザクワンが追う展開。阿部は3周目に2分06秒015のファステストラップを記録し、ザクワンに迫る。
5周目にはハフィジがアズロイに0.746秒差をつけて首位をキープ。6周目、アズロイがクラッシュし、ハフィジはさらにリードを広げる。阿部はザクワンを捉えて2番手に浮上し、ハフィジを追うが、8周目に転倒。10周目にはASTRA HONDA RACING TEAMのアンディ・ファリド・イズディハールも転倒した。
そのままハフィジが独走し、12周を走り切って優勝。2位にザクワン、3位にナカリン。綿貫は5位でチェッカーを受けた。アズロイはコース復帰して8位。
ハフィジは「最後の4周は本当に大変でした。特にフロントタイヤの管理が難しく、何度もグリップを失いそうになりました。ケイト(阿部)が脱落するのを見て、落ち着こうと自分に言い聞かせ、ペースを維持することに集中しました。気温41℃、アスファルト温度60℃という暑いコンディションでのレースを走り切るのはチームのサポートなしでは不可能でした」と語った。
阿部は「タイヤのライフが想像以上に厳しく、気をつけなければと思っていました。ランキングを争っているハフィジがトップを走っていたので、追いつこうとほんの少しプッシュした瞬間に転倒してしまいました。ハフィジは地元ライダーで、このコースを熟知しています。無理をする必要はなかったと、今は思いますが、あの時は冷静になれませんでした」と振り返った。
●RACE2
レース2でもハフィジが好スタートを切り、アズロイとのトップ争い。そこにザクワン、阿部、ナカリンが続く。3周目にはザクワンがハフィジを抜いて首位に立ち、アズロイと阿部が3番手争いを展開。
11周目、再びハフィジが首位を奪うが、最終ラップでザクワンが仕掛け、2台は接触。そのままコースアウトしてしまう。
アズロイ、ナカリン、アンディ、阿部が自動的にトップ争いになり、最終的にアンディが逃げきり優勝。最終コーナーの攻防となり、2位にナカリン、3位アンディ、4位に阿部となった。綿貫は7位でフィニッシュ。再スタートしてザクワンは9位、ハフィジは10位となった。
この結果、ランキングはナカリンが152ポイントで首位。2位ハフィジ148P、3位阿部141P、4位ザクワン141P(同点)となった。
阿部は「レース1の転倒を受け、レース2ではセッティングをほんの少し変更しました。その確認をしたかったのですが、朝のウォームアップで雨が降り、路面が変わったため最終的な確認ができないままスタートしました。良い方向になると思って変えたのですが、結果的には裏目に出てしまい、立ち上がりでスピードをのせられず苦戦しました。今回はノーポイントもあり厳しい状況ですが、タイトル争いは諦めていません。逆転できる差なので、強い気持ちで最終戦に挑みます」と語った。
TVS ASIA One Make Championship
尾野弘樹がポールポジションを獲得。
レース1はスペインのルイス・ミゲルが飛び出したが、尾野がこれを捉えて首位に立つ。マレーシアのラムダン・ロスリ、インドのサルタク・チャバン、同じくインドのチランス・ヴィシュワナートが続く。
尾野、ルイス、チランス、ラムダン、サルタクの5台によるトップ争いは、後続を引き離す。3周目に尾野がファステストラップを記録し、2番手以下を突き放すが、ラムダンが2番手に浮上して再び迫る。
最終ラップではラムダンがトップに浮上するも、尾野が最終コーナーでインに飛び込み逆転優勝。0.047秒差でラムダンが2位、3位にサルタク。
レース2はサルタクが好スタートを切り、ミゲル、尾野、ラムダンが続く。4周目に尾野が首位を奪い、ラムダンが追う。ルイスとサルタクが3番手争いを繰り広げながら前を追った。
尾野は最終ラップまで続いた激しいトップ争いを制し、2連勝を飾った。2位ミゲルとの差はわずか0.060秒、3位サルタクが0.105秒、4位ラムダンが0.643秒差で続いた。
尾野は「レースウィーク初日は車体セッティングが決まらず総合3番手でした。予選ではサスペンションを大きく変更し、攻め込める車体になってコースレコードを更新、ポールポジションを獲得しました。レース1はラムダンとの一騎打ちで、最終ラップの最終コーナーで前に出て優勝。レース2は終始4台によるトップ争いでしたが、落ち着いてレースをコントロールし、最後のブレーキング勝負を制して2連勝することができました」と語った。
尾野はこの大会でダブルウィンを達成し、50ポイントを加算。ランキングトップの201Pとし、2位に21P差をつけた。
最終戦は12月7日(日)、タイ・チャーン・インターナショナル・サーキットで開催される。
(文:佐藤洋美)