Facebookページ
Twitter
Youtube

レース・イベント






「一度はバイクでヨーロッパを走ってみたい」「アウトバーンを走ってみたい!」──多くのライダーから耳にするこの言葉。特にその声が多くなってきたように感じる今日この頃。“それでは一緒に走っちゃいましょう!”ということで『川崎由美子とヨーロッパ・アルプスをバイクで旅しよう!』が、2024年の初秋に無事開催されました。その旅の模様を3回(ツアーの前半・ツアー後半・海外ツアーの準備から出発、ツアー中の楽しみ方)に渡ってお届けします。
■文・写真:川崎由美子
■写真提供: MOTO TOURS JAPAN、Rubin Kostov/EDELWEISS Bike Travel、たかさん、きょうこさん、はじめさん、浅野さん
■主催:EDELWEISS Bike Travel  https://www.edelweissbike.com/en/
■ツアー総代理店:MOTO TOURS JAPAN https://www.mototoursjapan.com/ja/

 旅のナビゲーターは、二輪ジャーナリストの川崎由美子。もともと2006年~2013年末までドイツに8年間生活していた時、ヨーロッパ各国をバイクで走ったのですが、感動の連続だったのです。そしていつしか「ヨーロッパの文化を肌で感じながらバイクで走るという醍醐味を自分だけが感じるのはもったいない、日本のライダーの皆さんにもヨーロッパツーリングを楽しんでいただきたいなあ」という強い想いを抱き、その強い想いから始まったヨーロッパツーリング企画。
 この私の想いに賛同してくださった方々が背中を押してくださり、様々な形でヨーロッパツーリングが実現しました。その1回目は、2017年9月に開催したのですが、その模様はこのWEBミスター・バイクにて掲載中ですので、お時間がありましたらそちらもぜひご覧ください!

……と、いうことで今回はがらりと内容も変わってのツアーになりました。
 今回の主催は、オーストリアに拠点を置くEDELWEISS BIKE TRAVELと、日本の総代理店としてMOTO TOURS JAPANがコラボして開催されました。EDELWEISS BIKE TRAVELは、40年以上の経験を持つガイド付きバイクツアーの老舗です。「エーデルワイス」は二輪車で夢を実現するという理念があり、品質・信頼性・経験・専門知識を持ち世界中で高い評価を得ている旅行代理店です。
 一方、MOTO TOURS JAPANは、株式会社キズキのグループ会社であり、国内でのオートバイツーリング旅行の企画・販売・アテンドを積極的に行っています。2016年度には39か国(2,966名)の訪日客とともに日本国内のツーリングを提供し、現在では50か国にも及ぶインバウンドツーリングの受け入れを実施し好評を得ているのです。いずれも海外ライダーたちの夢の実現、その地でしか味わえないバイクツーリングの醍醐味を提供しているのです。
 そんな2社がタッグを組んだのだから最強のバイクツーリングになることは間違いない! と言っていいほど楽しいだけでなく、常に両社ともに安全面をも留意してツアーを行っているため、ツアー全般的にも不安なく参加ができるというこの上ないツアーになったのです。

●ツアー日程は、2024年9月8日(日)~9月14日(土)
●今回の開催地は、ドイツ・オーストリア周遊
●大まかなスケジュール
1日目/9月8日(日):ドイツ・エルディング市内ホテル集合 ①ブリーフィング ②ウエルカムカムパーティ
2日目/9月9日(月):ドイツ・エルディング→オーストリア・ヘレンキームゼー城→ザルツブルク
3日目/9月10日(火):オーストリア・ザルツブルク・ハライン岩塩鉱山~ケールシュタット~ザルツブルク
4日目/9月11日(水):ザルツブルク→レッドブル本社→ハルシュタット湖→ミルシュタット湖
5日目/9月12日(木):ミルシュタット湖→カプルーン
6日目/9月13日(金):カプルーン→エルディング
7日目/9月14日(土) 朝食後・解散

 このツアーの特徴は「ドイツのホテルで集合、解散」というちょっとドキドキしてしまう集合形態。つまり集合日の前後は、自分で自由に行きたい日に好きな航空会社を選ぶことができての現地入りスタイル。だから今回も他国を回ってきてからドイツ入りしたり、ツアーの後にドイツを回ったりと自由に旅をアレンジできたのです。
 ツアー代金には一体何が含まれているの? と気になってしまうのですが、ツアー中はほとんどお財布を開けることがなく、強いて言えばお土産を買う時くらいしかお財布を触らなかったほど、ほとんどすべてが含まれていたので、気持ちもお財布も楽でした。
 おっと〜、前置きが長くなってしまいました。早くツアーに行きたいですよね! それではヨーロッパツーリングの模様を皆様と一緒に覗いてみましょう!

#EU-Touring1

★初日:9月8日(日)15:00 ホテル集合

 ドイツ・ミュンヘン空港からバスで30分ほどのエルディング市内のHOTEL HENRYにて集合。ここまでのルートは参加者各々のスケジュールに合わせて自由に集合なので、前日(7日)に到着している人もいれば、当日の朝、お昼頃に到着する人もいました。そしてホテルにチェックインするのですが、みなそれぞれ広々としたシングル部屋でゆったりと過ごせるという設定。

#EU-Touring1
#EU-Touring1

★17:00より会議室にてブリーフィング開始

 ブリーフィングの進行は、MOTO TOURS JAPAN (以降MTJ)の松崎氏から、エーデルワイスのスタッフ・総合チーフ兼先導のルビンさん(Mr.Rubin)、トランスポーター運転手のビクターさん(Mr.Viktor)、そしてMTJヨーロッパ支部の浅野氏、私・川崎の紹介がありました。そしてツアー中のルートや諸注意などはルビンさんから詳しく説明。
 その後は参加者の皆さんの自己紹介、質疑応答があり、説明会のしめくくりは翌日から始まるツーリングのために用意され各人が乗るバイクの確認のため、地下駐車場へ。

#EU-Touring1
#EU-Touring1

★バイクの車種が沢山あって嬉しい!

 今回乗るバイクは、多数のメーカーのバイクがずらり。機種も豊富で選ぶのに困ってしまうくらい。ツアー申込時にBMW、Ducati、KTM、Harley-Davidsson、Honda、Yamah、Suzukiなどメーカーの数種類あるバイクの中から各自好きな車種を選ぶことができ、なんと新車も用意されていたり。ほとんどの車両の走行距離が少なく驚きと喜びの声で各自のバイクとのご対面。
 さらに嬉しいおもてなしが用意されていたのですが、各車のフロントスクリーンなどの部分に「ファーストネーム」が貼られていて、嬉しさ倍増で興奮度マックス状態。実際に走るとなると、いろんな場所に駐輪するので、他車と間違わないためのサインでもあるんですよね。Good idea!
 各自旅の友となるバイクを確認し、備品の確認やら日本から持ち込んだスマホホルダーなどを装着し、翌日から始まるツーリングに備えて準備万端な様子でした。

★ちょこっとヨーロッパ情報

 ヨーロッパの建物は地下(独語・ケラー)が充実しているため、集合住宅以外にも一般の一軒家でも地下があり、貯蔵庫だったり駐車場や部屋として使用したりと各々様々な使い方をしているのです。建物の構造がしっかりしているから、ホテルなどは地下駐車場にしている場合が多く、施錠等のセキュリティも厳しくしてあるため安心して駐車・駐輪ができるので、ツーリング中の盗難やいたずらの心配も軽減されるのです。

★ウエルカムパーティー

 いよいよお待ちかね、ホテルレストラン内の個室にてウエルカムパーティーの始まりです。ドイツと言えばビールが有名ですが、バイエルン地方で1886年に創業した世界でもトップクラスのERDINGER(エルディンガ-)ビールで乾杯!
 美味しいドイツ料理に舌鼓をしながら初めて会う参加者同士でも話が弾み、翌日から始まるツーリングへの話題で盛り上がったのでした。

#EU-Touring1

★ツーリング1日目・9月9日(月) エルディング~へレムキームゼー城~ザルツブルク

 いよいよツーリン開始です! 毎朝、ツーリングに出発する前の基本的なタイムスケジュールはこんな感じでした。
① 7:00 朝食
② 8:15 この時間までにチェックアウトとツーリング時に携帯しないスーツケース等をトランポで運ぶため、ロビーにまとめて置く。
③ 8:30~・出発前のミーティング(ルート説明等)
 ミーティング後に出発となります。
 ツーリングの全体像は、というと──、先導ライダー:ルビンさん トランスポーター用バン1台:ビクターさん スタッフ:松崎・浅野・川崎がそれぞれ隊列の中に入る 参加者の皆様:列の前後は自由、といった感じです。
 毎日、下の写真のように走行前にきちんとしたルートや諸注意などがチーフのルビンさんから説明されます。

#EU-Touring1

#EU-Touring1
#EU-Touring1
オーストリアではこのファーストエイドキットを携帯しなければならない。

 前日の夕方から降り始めた雨が朝になっても降りやまず、空はどんよりとして厚い雲に覆われ小雨ではあるものの一向に止む気配はないため、全員レインウエアを着て8:50にホテルを出発。市街地を抜けると田園が広がります。牧草のきれいな草原などを抜けプリーンへ。このプリーンでは、ヘレンインゼル島に建つ「ヘレンキームゼー城」(Schloss Herrenchiemsee)にてランチタイム。ツーリングが始まって初めての食事です!
 ランチタイムの後は、森の中を20分ほど歩いて移動したキームゼー城へ。

#EU-Touring1
#EU-Touring1

#EU-Touring1

 この宮殿を造るために、ルードヴィッヒ2世は国家財産を使いきるほどの建築費をかけたということです。そもそも彼の名前はフランス語で「ルイ」と言い、ドイツ語だと「ルードヴィッヒ」となるため、同じ姓のルイ14世に心酔していたようです。その影響もありフランス式の庭園を取り入れ、ヴェルサイユ宮殿を模したヘレンキーム城を建てたのです。内部には豪華絢爛な装飾が施され、実際のヴェルサイユ宮殿の鏡の間より25mも長い廊下にしたりと贅沢なお城を建立したのですが、当の本人は9日間しか滞在できず謎の死を遂げ、未完成のまま残されているというミステリアスさが残ります。それでも建物と庭園に圧倒されてしまいました。
 ゆったりと庭園を散策した後は、再び船着場からプリーン市内に戻り、ドイツから国境を越えてオーストリアへ入国。途中休憩しながら語りい合う、こんなまったり感がいいんですよねえ。

#EU-Touring1
#EU-Touring1

★目指すは宿泊先のザルツブルクへ

 16:30にホテルに到着。素敵な部屋に入るとそこには、朝トランポに預けた自分のスーツケースが2個並べられいるではありませんか! 感動、感動!
 ホテルにチェックインしても、ヘルメットやウエストポーチ、ジャケットと何かとライダーは荷物が多いのです。海外旅行ならなおさらで、普通ならさらに自分もスーツケースも運ばなくてはならないところ、ホテルにチェックイン後はそのまま部屋に直行できるという、このツアーのライダーに寄せる配慮に嬉しくなりました。

#EU-Touring1
#EU-Touring1

#EU-Touring1

 夕食は、ホテル近くのビアガーデンレストランへ。天候も雨が降ったりやんだりの天候だったのですが、そんな疲れも吹っ飛ぶくらい夕食は、楽しく美味しいお料理とビールを堪能。夕食後は、ザルツブルクの街をみんなでぶらぶらと歩いて散策。石畳が続く街並みを一日の疲れもどこへやら。作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルトの生家を観たり(夜なので入ることはできず外観を観るだけ)、ゆっくりまったり歩きながらの散歩も非常に楽しく、会話も弾んでいました。

#EU-Touring1

#EU-Touring1
#EU-Touring1

★ツーリング2日目・9月10日(火) ザルツブルク~ハライン・岩塩抗~ケールシュタイン~ザルツブルク

 9:00に地下ガレージ集合の後、いよいよツーリング2日目出発。「お昼頃から晴れる!」という予報でしたが、朝は怪しい雲行ということもあり一応カッパを着て出発。当初2パターン用意されていたルートも天候なども考慮して、先に雨が降っても見学可能なハライン岩塩抗に行きました。
 この日のツーリングは、宿泊先のホテルから2か所の目的地をまわり同じホテルに戻ってくる行程なので、チェックアウトはせずにツーリングのみの日ということで、ドライバーのビクターさんもあらかじめトランポに積んであったバイクにて一緒にツーリングに参加。
 2パターンの行程案というのは、そもそもヨーロッパは一日の中で天候がぐるぐる変わりやすいこともあり、その天候に合わせてホテルから出発して右回り左回りの2パターンが用意されていたのです。この日は、先に雨が降っても見学可能なハライン岩塩抗に行くというルートに決定。

#EU-Touring1

★目的地1・ハライン岩塩抗 11:00

 ザルツブルクの街中から山道を通り周りは高くそびえたつ山々に囲まれた「ハライン岩塩抗」の駐車場に到着。
 世界最古の岩塩抗と言われるこのハライン岩塩抗、2,600年前にケルト人によってこの岩塩の発掘が始まり1989年まで塩水と塩の生産が行われていた歴史をたどる事が出来るのです。
「ザルツブルク」は、ドイツ語では「塩(Salz)の城(Burg)」という意味で、紀元前から岩塩の交易によって栄えたのです。この辺り一帯には岩塩を採掘する鉱山が多数あり、その一つでもあるハライン鉱跡では、かつて岩塩を運び出すために用いられたトロッコに乗って、坑内の歴史を見学することができます。
 入場後にその歴史探訪ツアーが始まります。まず当時の鉱山労働者が着ていた白い作業服に着替え(とはいっても洋服の上から着る感じ)トロッコで鉱山の中を移動します。もうそれだけでキャーキャー子供も大人も大はしゃぎの移動。
 鉱山の中は迷路のようになっていて、坑道の全長は65km、そのうち見学できるのは12km。途中トロッコでオーストリアからドイツへと国境を渡りながら発掘現場を見たり、さらに地下約3000m下まで2回ほど長いスロープを滑りながら下がるという、まるで遊園地に来ているかのような滑り台に大興奮。
 その昔、オーストリアもドイツも塩湖に覆われていたころから今日までの歴史をボートに乗って見るのです。塩が出来るまで、そうして今日まで大切にされている塩の歴史を知ることが出来るのです。個人やグループ見学などその見学形態はさまざまで、ちょうど私たちと一緒に移動していたグループは、現地の中学生達だったので、ワイワイガヤガヤと明るく楽しく見学でき、多くのことを学びました。

#EU-Touring1
#EU-Touring1

★第2目的地・ケールシュタインハウス(Kehlsteinhaus)15:10~

 さて楽しいアトラクション、いやいや岩塩抗の大人の社会科見学が終り、お土産売り場にてお土産を購入した後は、オーバーザルツベルクへ移動。ハライン岩塩抗での見学に時間を要したため14時という少し遅いランチタイムをオーバーザルツベルクにて済ませました。バイクはそのまま駐輪場に駐輪し、ここからケールシュタインハウスの下まで岩山を爆破して作ったヘアピンが続く道をバスで移動。ここからは、アドルフ・ヒトラー(1889.4.20~1945,4,30)のために作ったといわれる黄金のエレベーターで124m一挙に上がる。
 ヒトラーの山荘とよばれているこのケールシュタインハウスは、ドイツやオーストリアの山や自然を望む絶景の山頂に佇み、「鷲の巣=Eagle Nest」とも呼ばれている山荘で、ヒトラーの財宝なども隠されていたとのことです。またムッソリーニがヒトラーの50歳の誕生日に送った大理石の暖炉があったり、ヒトラーの愛人エバ・ブラウンも滞在したこの山荘。いろんな国から大勢の観光客の方が来ていて賑やかでした。
 この山荘からの息をのむほどの絶景にしばし言葉を忘れてしまい、何枚も同じような風景の写真を撮ってしまうのでした。見学した後はエレベーター、バスと乗り継いでバイクの駐輪場へ。ランチをした駐輪場から、途中休憩を挟みながら田園風景、ちょっとした峠道を走りながらザルツブルクのホテル目差しました。
 この日の夕食は、昨晩とは異なるホテルに程近いレストランで、美味しいピザやイタリアンを堪能し、ザルツブルクでの素敵なディナーをみんなで楽しんだのでありました。
 さて、次回はどんなお楽しみが待っているのでしょうか?(続く)

#EU-Touring1
#EU-Touring1


[『川崎由美子と行くドイツ・ロマンティック街道ツーリング vol.1』へ]

[『川崎由美子と行くドイツ・ロマンティック街道ツーリング vol.2』へ]

[『川崎由美子と行くドイツ・ロマンティック街道ツーリング vol.3』へ]

2025/04/25掲載