MiniGPは、昨年から日本でも始まった世界統一規格のミニバイク選手権。昨年、王者となった池上聖竜(15)は、2022年11月にスペイン・バレンシアで開催された「MiniGPワールドファイナル」に日本代表として参戦、総合3位に入った。今年は全日本ロードレース選手権J-GP3参戦を開始して、2戦目のスポーツランドSUGOでポールポジションを獲得して決勝2位と大躍進した。池上の活躍は、後輩ライダーたちにも大きな刺激を与えた。第3戦となった今回、池上が来場し、MiniGPで使用しているイタリアのオバーレを駆ってデモンストレーションを行った。
MiniGP開幕戦は雨で中止となり、第2戦目は桶川スポーツランドで開催され、今季から参戦を開始した#10富樫虎太郎(11)がデビュー戦ダブルウインを飾った。第3戦はモビリティリゾートもてぎ北ショートコースで行われた。#10富樫 にとって桶川はホームコースだが、もてぎ北シートコースの経験は少ない。ここを得意としているのが、#15松山遥希(13)。松山は昨年、池上とチャンピオン争いをしてのランキング2位。ワールドファイナルへの参戦権を得たが、直前の練習でケガをしてしまい、参加を断念した。今季に賭ける意気込みは誰よりも強いはずだ。今季のタイトル候補であり、昨年はダブルウィンを飾っている。
レース1決勝、#15松山がポールポジション(PP)を獲得し1番グリッドに着ける。スタートで飛び出したのは#10富樫で、ホールショットを奪う。#08知識隼和(11)、#04国立和玖(11)と続いた。#15松山は3周目には2番手に浮上して#10富樫の背後に迫る。#15松山は1コーナーで前に出るが、3コーナーで#10富樫が前に出る。再び#15松山は1コーナーで仕掛けトップに浮上し、3コーナーを抑えるが、翌周の3コーナーで#10富樫が前に出る。激しいトップ争いが終盤まで続き、更に#08の知識が加わり、3台のバトルが続いた。そこに#04の国立も追いつく。結果、#10富樫が#15松山を抑えきって優勝、2位#15松山、3位#04国立でチェッカー。#08知識は4位となった。
レース2もPPグリッドに#15の松山。ホールショットは#04国立、それを#08知識、#10富樫、#15松山、#07吉原寅之介、#03知識可穏が追った。#15松山は3周目にトップ浮上しレースを引っ張る。#10富樫、#04国立が松山を追う展開となり3台がトップ争いを展開する。#10富樫は3コーナーで前に出るが、#15松山はへアピンで抜き返す。#10富樫は再び3コーナーで仕掛けるが、#15松山は4コーナーで抑える。#04国立はふたりをマークし接近戦が続いた。最終ラップの攻防で#15松山が4コーナーで失速、#10富樫が逃げ勝利。#15松山は3番手に落ちるが、2番手を奪回。3位に#04国立となった。4位に#08知識。5位に#02土井陽希。6位に#07原。7位に#03知識可穏となった。
#10富樫は「アドバイザーさんのおかげで、勝てたと思います。松山選手が速かったので、抜く場所も迷ったのですが、うまく抑えることが出来ました」と4連勝を飾った。富樫の師匠は、元MotoGPライダーの中野真矢で「前戦の桶川はホームコースだが、ここは勝つのが難しいと思っていたが、ダブルウィン出来た」と富樫の力を再確認していた。
2位の#15松山は「勝てるレースだった…。作戦ミスです」と悔しさを滲ませた。昨年は負けると大泣きしていた松山だが、今回は涙がなく「泣かないと決めた」と語っていた。
アドバイザーの長島哲太は「速くなりたいなら、なんでも聞きに来てほしい。上位の子たちは、よく相談に来ている。その差が結果にも表れる」とエールを送った。アドバイザーには全日本ロードST1000・V2の渡辺一馬、J-GP3・V2の尾野弘樹、世界選手権の経験もある藤井謙太らをはじめ、全日本ライダーたちが、手伝いに訪れている。
次戦は6月25日に雨で中止となった代替えレースが、筑波サーキットで開催される。
(レポート:佐藤洋美)
動画
第2戦桶川スポーツランド
https://www.youtube.com/watch?v=CSkfk0NSTwA&t=304s
第3戦モビリティリゾートもてぎ、北ショートコース
https://www.youtube.com/watch?v=R7klxtG9ZCc
FIM MiniGP
『FIM MiniGP』とは、10歳~14歳までのヤングライダーを対象に世界各地で開催され、マシンや競技規則、技術規則などを統一することで、世界中のヤングライダーたちに平等なプラットフォームを提供し、スキルアップとチャンスを与えることを目的としています。FIM MiniGP JAPAN Seriesは、5大会10戦に渡って行なわれるシリーズ戦。 年間ランキング上位の選手には、『MiniGP World Final』に参加する権利が与えられ、MiniGP World Finalの勝者には、次のステップとなる『Road to MotoGP』のプログラム選考会参加または、直接の参戦が提供されます。