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試乗・解説

新しくなった人気者 ロイヤルエンフィールドのClassic 350が生まれ変わって登場
イメージの面でも販売台数の面でもロイヤルエンフィールドを代表してきた機種「Classic 350」の新型が登場し、日本国内でもこの春から発売するとアナウンスされた。実車の試乗はまだ先になるが、現時点で分かっている何が、どこがどう変わって、どんなモデルバリエーションがあるのかなど新型の詳細を解説する。
■解説:濱矢文夫 ■写真:ROYALENFIELD ■協力:ロイヤルエンフィールド東京ショールーム http://www.royalenfield-tokyoshowroom.jp/




似ているけれど違っている

 旧型Classic 350は世界の市場において、2009年の発売から10年間で300万台以上を売り上げたというロイヤルエンフィールドを代表するモデルだった。日本でもロイヤルエンフィールドというブランドからイメージする機種としてClassicが思い浮かぶ人は多い。その人気機種が新型にモデルチェンジ。新Classic350は一見するとほとんど変わっていないように見える。そこは開発の重要なテーマであった。好評の大きな要素であった1950年代、60年代のロイヤルエンフィールド車を彷彿とさせるビンテージスタイルから大きく路線を変更しないで、全てを新しくした。
 

 

 
 ロイヤルエンフィールド アジア太平洋地域責任者、ビマル・サムブリー氏はネットローンチで、「残すべき良い点と改善すべきところをリストアップすることからはじまりました。ロイヤルエンフィールドブランドがここまで成長する原動力となったClassicの良いところ、低いシートも含めたポジションとスタイルは残したい。過去のものを踏襲しながら機関をモダナイズすることはデザイナーにとって簡単ではなかった」と説明した。
 

 

 
 燃料タンクの形状、クラシカルな前後フェンダー、特徴的なサドルシート、トライアングル形状をしたサイドカバーと、それを囲むようなフレーム、ヘッドライトナセルが付いたフェイスなど、旧型と似たディテール。しかし、燃料タンクも含め外装はすべて新形状。それだけでなくエンジンとフレームも以前とはまったく違うものである。空冷4ストローク単気筒エンジンは旧型に手を入れたものではない。このエンジンはすでに日本でも同ブランドから発売されているクルーザーのメテオ350のものを使う。2000年に導入された、ロイヤルエンフィールドのお膝元のインドの排出ガス規制BS4(バーラト・ステージ4)は旧型でも2017年モデルでクリアしていた。それを新エンジンでは、窒素酸化物の基準値を大幅に下げた、ユーロ5、ユーロ6ステージ1相当となる規制、BS6をクリアしている。
 

らしさをキープしながら新しいカタチになった燃料タンク。Classic Chromeのクロームレッド、Classic Signalsのマーシュグレー。カラーグラフィックの違いにより印象がかなり変わる。容量は13L(内4Lのリザーブがある)。

 
 ロングストローク(72mmのボアに対しストロークは85.8mm)なのはロイヤルエンフィールドの伝統ともいえる。以前のClassic 350はOHVでこれとはボア・ストロークが異なり、排気量は新作の349ccより少し小さい346ccのユニットだった。新型エンジンはOHVではなくチェーン駆動のSOHC。吸排気バルブは2つ。振動低減のために、クランクシャフトの前方にバランサーシャフトが設けられている。電子制御式フューエルインジェクションを採用して、最高出力 20.2bhp、最大トルク 27Nmの数値はメテオ350と同じ。トランスミッションは5段で2、3、4がクロスして5速がオーバードライブ。エミッション規制に適合させたエキゾーストマフラーも形状が変わった。
 
 

以前の空冷4ストロークOHVエンジンはツインスパークだったが、新エンジンのプラグは1本。フューエルインジェクションを楕円のカバーで隠してクラシックらしさを上手に出している。ブレーキペダルにもラバーが付く。シフトチェンジペダルはシーソータイプ。左サイドカバーに寄ったかたちでエアクリーナーボックスがあり、その裏にECU。右サイドカバー側にはバッテリー。フレームのステム部分の下にEVAPキャニスターが備わる。エキゾーストのフランジ近くに排出ガスに含まれる酸素を検知し空燃比を維持するためのラムダセンサーを取り付けている。

 
 このエンジンに合わせてフレームも旧型とは違う。メテオ350が採用した、1本の角パイプの背骨がリアメンバーまで繋がり、ステムパイプから丸断面のダウンチューブを2本伸ばしているダイヤモンドタイプながら別体でアンダーパイプもある独特なフレーム形状と基本構造は同じ。メテオ350はミッドコントロールでエンジン中央にペグがあったが、Classic 350はそれよりやや後方だ。ステムパイプから1本だけ下におりていた旧型とは異なる部分が多い。以前より5mmだけ高くなっても805mmと低いサドルシートは前のように底からコイルスプリングが伸びていない。
 

Darkモデル(ガングレー)のハンドル周り。新型メーターに合わせてナセルも形状変更されている。メテオ350で採用されたターンバイターンのナビゲーションシステム“トリッパー”は装着されていない。USBポートも備わる。

 
 フロントフォークはよりインナーチューブ径を拡大(φ41mm)。前後のタイヤもひとまわりワイドになった。フロントは90/90-19→100/90-19、リアは110/80-18→120/80-18。フロントのシングルディスクブレーキは車体の左側にあったが、右側となりローターを大型化(φ300mm)。ピンスライドの片押し2ポッドのキャリパーにはバイブレの名が入る。リアもディスクブレーキ(φ270mmローター)。ABSは前後ブレーキについたデュアルチャンネル。

Halcyonモデルのグレーカラー。フレームも新しい。サドルシートから以前のようなコイルスプリングが消えた。ヘッドライトとテールランプは新デザイン。スイングアームも以前とは違うものでホイールベースが20mm延長されている。太くなったタイヤとフォークなど走行安定性を高めたことがうかがえる。

 
 新型はモデル展開も豊富だ。4つのエディション(Classic Chrome、Classic Dark、Classic Signals、Halcyon)があって全9カラー。選択肢が豊富なのはうれしいことだ。国内では2022年3月下旬の発売予定としている。気になる車両価格は税込でHalcyonの57万7,500円からClassic Chromeの60万3,900円までの幅である。
(解説:濱矢文夫)
 

 

■レトロなHalcyon (ハルシオン)3色/販売価格:577,500 円(税込)

Green(グリーン)
Grey(グレー)
Black(ブラック)
Black(ブラック)

 

■アーミー風のClassic Signals(クラシックシグナルズ)2色/販売価格:583,000 円(税込)

Marsh Grey(マーシュグレー)
Desert Sand(デザートサンド)

 

■キャストホイールにチューブレスタイヤのClassic Dark (クラシックダーク)2色/販売価格:600,600 円(税込)

Gunmetal Grey(ガンメタルグレー)
Stealth Black (ステルスブラック)

 

■50年代英国風Classic Chrome (クラシッククローム)2色/販売価格:603,900 円(税込)

Chrome Red(クロームレッド)
Chrome Bronze(クロームブロンズ)

 

●CLASSIC 350 主要諸元
■エンジン種類:空油冷4ストローク単気筒SOHC 2バルブ■総排気量:349cm3 ■ボア× ストローク:72.0× 85.8mm ■圧縮比:9.5 ■最高出力:14.87 kW(20.2 PS)/6,100rpm ■最大トルク:27N・m/4,000 rpm ■全長×全幅× 全高:2,145 × 785 × 1,090 ■軸距離:1,390mm ■シート高:805mm ■車両重量:195kg ■燃料タンク容量:13L ■変速機:5段リターン■タイヤ(前・後):100/90- 1975P・120/80-62P ■ブレーキ(前・後):油圧式シングルディスク・油圧シングルディスク ■懸架方式(前・後):テレスコピック式・スイングアーム式 ■メーカー希望小売価格(消費税込み):577,500円~603,900円

 



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2022/02/21掲載