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未来のMotoGPを目指す若き才能、ワールドファイナル参戦選手が決定!

 ロードレース世界選手権(WGP)への登竜門として、今年初開催された「MiniGP」は、全5戦10レースでシリーズチャンピオンを決定する。ワンメーク(オーバレ、ピレリ、モチュール)で10歳~14歳のライダーたちが戦う。ランキング上位者にはバレンシアで開催される「MiniGP World Final」に参戦の権利が与えられる。その結果しだいで、WGP参戦の可能性を掴むことが出来る。


 第4戦はテルル桶川スポーツランド ミドルコースで行われた(8月23日)。黒い雲が広がり、小雨が落ちていたが、フリー走行が始まるころには雨が止み、藤井謙汰アドバイザーがスリックタイヤで走行してコンディションを確認してからフリー走行が始まった。予選1では⑮松山遥希が42秒318をマークしレース1のポールポジション(PP)を獲得。2番手に②池上聖竜が42秒349で続き、3番手には42秒620で④国立和玖が続いた。予選2では、②池上が42秒318でPPとなる。

 レース1決勝。好スタートを切ったのは②池上。これに④国立が続き、⑮松山は3番手、2コーナーでは⑮松山がトップを奪うが、3コーナーで②池上が抜き返し再びトップへ。3コーナーで⑮松山が②池上をかわしてリードを広げる。中盤戦で、その②池上を追う⑮松山が転倒してしまう。②池上は独走でチェッカーを受け3連勝を飾った。⑮松山は再スタートするが14位となりノーポイント。②池上が逆転してポイントリーダーとなった。2位に④国立、3位には⑨中谷健心が入った。

 レース2は、⑮松山がホールショットを奪い、②池上は、最終コーナー手前で⑮松山をかわしトップに立つとオープニングラップを制す。2台のトップ争いが続き、最終ラップ、⑮松山は1コーナーでしかけトップに立つが、②池上は、5コーナーから6コーナーの進入で前に出ると、そのままトップの座を守り4連勝を達成した。⑮松山は2位。3位⑨中谷が入り連続で表彰台に上がった。桶川の走行経験が豊富で、ここでの速さは、誰もが認める②池上がきっちりとダブルウィンを飾った、その池上に果敢に挑んだ⑮松山は痛恨の転倒でポイントを失う。


 この日、長島哲太ディレクターから「MiniGP World Final」には、ランキング上位2名が参戦できることになったと報告があった。第4戦を終え123ポイント(P)で②池上がトップ、2番手に114の⑮松山、3番手は103Pの⑦齊藤太陽。4番手は86Pの⑨中谷、5番手に83Pの④国立と続いた。




 第5戦(最終戦)は筑波サーキット コース1000で開催された(9月4日)。レース1のグリッドを決める予選1ではフリー走行から速さを見せていた④国立が37秒605。2番手に⑳土井陽希が37秒648、3番手に⑮松山が37秒696と続きフロントロー。ランキングトップの②池上が38秒399で8番手となる。予選2でも④国立が37秒593とタイム更新でダブルPP。2番手に⑳土井が37秒658で付け、3番手に⑮松山。②池上は7番手となる。

 タイムの上がらない②池上の順位次第では、ランキング争いに変動が起きることになる。波乱の予感を込めレース1スタートが切られた。PPグリッドの④国立はフロントを浮かせ、あわや転倒かと思われたが回避する。ホールショットは⑳土井、⑮松山が続く。オープニングラップを⑳土井、⑨中谷、⑮松山、⑧知識隼和、②池上、⑦斎藤が僅差で続く。3周目に⑨中谷が首位に立ち、⑳土井、②池上、⑮松山となり。②池上、⑮松山の熾烈な争いが続いた。トップグループに④国立が追いつき、7台の熾烈な攻防が繰り広げられる。④国立は13周目には首位に躍り出て、そのまま初優勝を飾り、2位に⑨中谷、3位に最終ラップにファーステストを記録した⑮松山が②池上との争いを制して表彰台をゲットした。②池上が4位となる。

 レース2のスタートで④国立が首位で飛び出し、⑨中谷、⑮松山、⑧知識、②池上が続く。オープニングラップを制した④国立はレースをリードする。2番手争いは激しいバトルとなる。②池上と⑮松山との争いは、チャンピオンを賭けた戦いとなり、緊迫の度を増して行く。その2台を抑え⑨中谷が前に出て2番手浮上する。トップ独走の④国立はダブルウィンを決め、大量ポイントを獲得。2位に⑨中谷が入り、3位には最終ラップに②池上を交わした⑮松山が入った。②池上は僅差の4位となる。


 ダブルウィンの④国立、連続2位の⑨中谷が表彰台に登るが、⑮松山は号泣していて、なかなかマシンから離れられずにいた。最終的に②松山が149Pを獲得してMiniGPジャパンシリーズの初代チャンピオンに輝いた。144Pの⑮松山がランキング2位となり、3位に④国立が入った。②池上と⑮松山が11月にスペイン・バレンシアで行われる「FIM MiniGP World Final」に参戦することになった。

 池上は「今度はファイナルで優勝を狙います」と語った。松山は「レースにも勝てなくて………、チャンピオンにもなれなかったので悔しくて……。でもファイナルでは負けないようにする」と語った。国立は「来年はチャンピオンを狙います」と誓っていた。


 当初はランキング3位までがワールドファイナルに参加予定だったため、主催の中込正典氏が渡欧の費用にと、1位100万円、2位50万円、3位30万円の賞金を授与した。

 長島ディレクターは「開幕戦では、トップ集団と下位のライダーとのレベル差、タイム差が大きかったのが、今回は皆のレベルがアップし、実力が拮抗しているバトルを見ることができました。代表のふたりには頑張ってほしい。世界に飛び出すことが出来るように力を尽くしてほしい」と語った。

 尾野弘樹アドバイザーは「開幕戦に比べての成長はとても大きいと思います。ワンメークレースはライダーの技量を上げてくれます。学んだことは、とても多いと思うので、それを大切にしてほしい。バレンシアに出かけるふたりには、しっかりと優勝を目指してほしい」とエールを送った。

 昼休みに長島ディレクターの「みんなマシンへの伏せ方が下手過ぎる」の声掛けで急遽開催された尾野弘樹の「伏せ講座」は大人気で、世界一流の伏せ方の流儀を実戦付き参加ライダーたちは学んでいた。

 渡辺一馬アドバイザーは「みなさんの成長が頼もしく、嬉しく過ごさせてもらいました。代表のふたりには、参戦できないみんなのためにも頑張ってほしい。そして、参戦を逃したみんなは、負けた悔しさを、今後のレース人生に生かしてほしい。世界を目指す気持ちをしっかりと持って進んでほしい」と語った。


 ランキング上位3名は、長島哲太がワイルドカード参戦する日本GPに招待された。また、ファイナルに進む2名には強化合宿も用意されている。

 毎戦、入賞した上位6人にはサプライズギフトが用意されていた。グルメカードや、モビリティリゾートもてぎのホテルに家族で泊まれる宿泊券。携帯電話、グローブやブーツ、お米券、最終戦ではアップルウォッチがプレゼントされていた。

 主催の中込氏は「レース活動は長くやって来ましたが、シリーズ戦を開催するのは初めてで、至らないところもあったと思います。その反省を含め、来季は、更に充実したシリーズになるように努力したい」と挨拶した。中込氏の夢は「日本人のMotoGPチャンピオン」。その願いのために様々なライダーをサポートし続けて来た。その夢を、このMitiGPに込めた。

 未来のMotoGPライダーを目指す若き才能は、可能性という名の輝きを放ちながらシーズンを戦い抜いた。閉塞感の漂うレース界に希望の光を灯す戦いでもあった。

https://www.minigp.jp/

(レポート:佐藤洋美)







2022/09/12掲載