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試乗・解説

日本エレクトライクの新たなトライクは バイクのようなミニカー『スイング・スポーツ』
日本エレクトライクといえば、2015年6月8日に国土交通省より型式認定を受け、日本で16番目の自動車メーカーとして新規参入をしたベンチャー企業である。その認証を受けたのは、インドのBajaj Auto(バジャージ・オート)の車体の供給を受けて、その三輪自動車をベースに電気駆動にコンバートした「エレクトライク」。そしてその形式認証から5年弱、新たなモデルを発表・発売した。それがミニカー「スイング・スポーツ」だ。
■レポート・撮影:青山義明 ■協力:日本エレクトライク http://www.electrike.co.jp/

三輪にこだわり続ける日本エレクトライクの第2弾モデル

 エレクトライクという名称は、ELECTRIC(電動)とTRIKE(三輪)を掛け合わせた造語で、この日本エレクトライクは、その社名の通り、2輪車と4輪車の長所を併せ持つ電動三輪車にこだわった製品開発を行っている。

 小口の配送などに便利な「エレクトライク」を2015年に発表し、その次に商品化となったのが、このフロント2輪、リア1輪の電気三輪ミニカー「スイング・スポーツ」だ。

 その名の通り、車体は大きく左右に倒すことで自然な旋回もできる乗り物で、すでにこの2020年初めに販売を開始している。生産は中国だが、その中国メーカーのものをそのまま日本へ導入するのではなく、何度も試作を重ね、日本仕様として製作されたものだという。ただ、現在は最初のロッドということで、全数チェックをしており、さらにその本拠である神奈川県川崎市を中心とした首都圏への販売に留めている状態だ。

 

いわゆるトライク車両よりもトレッド幅が広く、2輪車ではなく4輪車側に分類されミニカー登録となるスイング・スポーツ。いわゆるミニカーという車両にしては非常に軽量コンパクトで、まさに2輪と4輪の間の乗り物といった感じだ。ダブルウィッシュボーンのフロントサスペンションシステムで、起伏の多い悪路でもスムーズな走行が可能だ。

 
 車両サイズは全長1811×全幅798×全高1183mm、ホイールベースは1300mm、車両重量は97㎏となる。トレッド幅は610mmとしており、バイクに分類されるように見られがちだが、普通自動車免許で乗れるミニカー(青色ナンバー)に分類される。シートベルトもドアも装備されていないが、ヘルメット不要で運転でき、二段階右折も不要となる。道路交通法上、普通車両と同じ通行帯と制限速度で走行が可能となる。また、税金については軽自動車税(3700円/年)の扱いとなる。

 リアに12インチのインホイールモーターを用意し、ステップ下に搭載するリチウムイオンバッテリーは容量27Ahで最大航続距離は一般市街地で約70km。家庭用AC100Vでの充電時間は約7時間となる。残念ながらバッテリーの取り外しは出来ない。

 走行モードは、ロー(最高速25km/h)/ハイ(最高速45km/h)の2つの走行モードに、ハンドル側にあるSボタンを押すと40秒間だけ55km/hが出せるスーパーチャージャーモードも用意。さらにリバースモード(警告音も鳴る)も用意される。

 使い方は非常に簡単で、キーシリンダーにキーを差し込んでONまでひねれば、即座に液晶パネルが表示される。そこで右ハンドル側にあるセレクターで走行モード(R/L/H)を切り替えて、フロントカウル内側のPレバー(ジャイロをロックしているブレーキ)を解除して、スロットルを回せば発進が可能。

 今回、日本電気自動車レース協会(JEVRA)主催のALL JAPAN EV-GP SERIES第1戦「全日本 袖ケ浦EV 50kmレース大会」が開催された袖ケ浦フォレストレースウェイのパドックに実車が持ち込まれ、日本エレクトライクの松波 登代表自らが説明を行う試乗会が開催された。会場に集まったEVレース関係者らの多くが試乗体験を行った。
 

ポジションライトに取り囲まれたヘッドライト。上にロービーム灯、下にハイビーム灯とヘッドライトは上下に配置されている。
日本エレクトライクのエンブレム。これはバジャージボディの「エレクトライク」と全く同じエンブレムが使われている。

 

駆動モーターは12インチサイズのインホイールモーターで後輪に配置となる。ボディカバーにはステップが収納されているが、ミニカー登録(一人乗り)となる日本仕様では使用しないようになっている。
ボディのスイングを止めるのは、この鎌状のブレードに取り付けられたPレバーのブレーキキャリパーで、車両の傾きを自在にロックできる。ちなみにPレバーを解除しないと走行可能にはならない。

 

メーターはシンプルな反転液晶パネルで、バッテリー残量計、ODOメーター、速度計、そして走行モードが表示される。
バッテリーの持ち運びは出来ないが、充電器は搭載されているので家庭用AC100V電源にケーブルをつなげば充電可能。

 
 実際に乗ってみると、見た目以上にフロントのトレッドの広さを実感でき、そして安心感を与えてくれる。また、車体は大きくバンクさせられるようになっているが、バッテリーが床下に置かれていることもあってそもそも重心が低く、けっこう荒く乗っても車体はしっかり安定している印象でこれまでとは違うドライブ体験が可能と言える。

 走行中のインバータ音も抑えられており、他の電動バイクと比べても静かな印象だ。回生も取っているということだが、アクセルを戻した際の嫌な減速が掛かることはなく乗りやすい。発進加速はしっかりあるが、リバースでも同様なので、バックの操作はちょっと心配だが、場面によってはこのリバースモードが有効だと思うので、あるとうれしい機能と言える。

 積載性という面では少しもの足りない印象だ。コンビニフックを標準装備するが、シート下にはトレイ程度の収納しか存在しない。そのかわりといってはなんだが、別売りのテールボックス(価格は2万5000円)が用意されてはいるが……。車両価格は49万8000円(税別)。ボディカラーは、写真のイエロー以外に、ホワイト、レッド、ブルー、ブラックの全5色で展開中だ。



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2020/06/10掲載