3年ぶりに開催されたWheels And Waves(ホイールス・アンド・ウェーブス/以下WW)。僕自身は4年ぶり、通算5回目の参加となりました。
WEBミスター・バイクでは、これまで何度かWWの参加レポートを展開してきました。それを見て、ヨーロッパではこんなイベントが開催されているんだなとか、行ってみたいなとか、そんな風にしてWWを少し知っててくれるんじゃないかなぁ、と勝手に想像しています。
レース・イベント
実は2020年、そして2021年と、例の感染症の影響によってWWは開催ができなくて、主催者も参加者も、もうずっとウズウズしてたんです。感染症なんてなかったら、2020年がイベント開催10回目のアニバーサリーだったのですから……しかも2021年は開催に向けて直前まで準備を進めていたのですが、開催2週間前にフランス保険省から、たとえ屋外であっても大規模イベントの開催は許可しない、と通達があり、やむを得ず開催を断念。チケットも既に発売されていたし、各メーカーとのコラボアイテムなんかも発表&販売が開始されていましたから……。
というわけで、ようやく開催された2022年のWW第10回記念回。それはもう、盛大でした。実は僕が最後に訪れた2018年も、イベント開始2日前の搬入日に、地元住人も過去の例がないと言うほどの嵐によって準備を進めていたメイン会場が破壊され、急遽屋内施設を借りてイベント開催したために、急場しのぎのメイン会場運営となった。だから盛大に開催された僕の過去の記憶は2017年開催回。今年はそれとは比べものにならないほど規模が大きく、イベントとして洗練されていました。
メインスポンサーはインディアンモーターサイクルと、時計ブランドのブライトリング。加えてさまざまな二輪車メーカー、オイルメーカー、サングラスブランド、ヘルメットやライディングウエアといった用品ブランドがサポートブランドとして名を連ねています。それにイベントのメイン会場があるフランス・ビリアリッツ市が後援というカタチで加わっています。
欧州中から大勢のバイカーたちが押し寄せるこのイベントは、街中を騒々しく走る彼らを問題視する一方、本格的なバケーションシーズン前の閑散期に、ホテルやレストランが連日満室&満席になるほどの経済効果を生み、地元住民および自治体との対立や協力が入り乱れている状態。それでもビアリッツ市の協力を取り付けたのは、ひとえに主催者の努力のたまものです。しかし街の中心部には、以前は存在しなかった、昼前くらいから深夜まで、自動車やバイクの通行を制限するためのゲートが造られ、そこには常にセキュリティが立ち、地元住民やタクシーにはそのゲートを開けるリモコンが配布されていて、それ以外のクルマやバイクは通行できないようになっていました。そもそもビアリッツは避暑地であり、ヨーロッパに初めてサーフィンカルチャーが上陸した場所で、バケーションシーズンには観光客で賑わう場所。そこで地元住民の生活や、静かにバケーションを楽しみたい人々のために、市がゲート導入を決めたようです。とはいえ、集まったバイカーたちはゲート外のあらゆる場所にバイクを停め、ゲート内にあるレストランやバーで、夜中までどんちゃん騒ぎをしていましたが……。
イベントは6月29日(水)にスタートして、その週末7月3日(日)までの5日間。ビアリッツ市の南にある、広場のようなイベント会場をイベントのメイン会場とするほか、近隣にあるモトクロスコースを借り切ったり、国境を越えたスペインのワインディングを封鎖したりして(メイン会場から30分も走ればスペイン国境なのです)、さまざまなレースアクティビティを展開。そのレースアクティビティも、趣向を凝らし、さまざまな年代やスタイルのバイクが参加できるように工夫されています。
そんな盛り上がる各会場を見ながら、WWの10回開催を振り返り、その変化も感じました。言葉では表現しづらいのですが……彼らは、トレンドとは関係なく、ビンテージバイク、カスタムバイク、ファッション、アート、サーフィン、スケートボードなどなど、自分たちの好きな世界を突き進んできました。それを紹介するブログがWWの起源で、そのブログの3周年記念が、仲間たちだけが集まったWWのゼロ回開催回だったのです。その後本格的なバイクイベントとしてスタートするのですが、まだ小規模だったそのシーンをいち早くキャッチアップしたヤマハ欧州やBMWがイベントをサポートし、自分たちのプロモーションに活用。カスタムバイクシーンを二輪車メーカーが支えるという、新しいカタチを造り上げました。そのカタチはいまも継続されていますが、メーカーとシーンの連携の仕方は徐々に変わりつつあると感じました。それはメーカーと、イベントと、ユーザーの距離感と言い換えることができるかもしれません。その三者が形成する三角形が、徐々にカタチを変えてきているのです。
このシーンが盛り上がりを見せ始めて約10年が経ち、その間にバイクを取り巻く環境は劇的に変化し、それによってシーンを取り巻く人々も変化しているから、それは当然のことです。そして、今後このシーンがどんな風に変化して行くのか、見続けていきたい。そんなふうに感じました。
なんて難しいことを書きましたが、沢山の懐かしい仲間たちと久しぶりに再会できて本当に楽しかった。ただそれだけでイベントに参加できて良かったし、また来たいと思うのです。主催者や仲間たちは、日本の様子はどう? 日本からも沢山のブランドや参加者がWWに来てくれると良いなぁ、と言ってます。来年は是非、沢山の日本からの参加者と、ビアリッツの会場でお目に掛かることができたらなぁ、なんて思っています。
●Art Ride/アートライド
ビンテージバイク、カスタムバイク、コンセプトバイク、ストリートアート、写真、絵画などのアート作品をひとまとめに鑑賞できるコミュニティスペース。会場はビアリッツ郊外にある屋内スケートボードパーク。
●Punk’s Peak/パンクスピーク
ビアリッツからバイクで30分ほど走ると、そこはもうスペイン。旅行先として日本でも人気のサンセバスチャンの街もすぐそこです。そのサンセバスチャンの隣町/オンダリビア近くのハイスキベル山の一部道路を封鎖して行う公道ドラッグレースです。1対1の勝ち上がり式で、距離は約400 m、途中にS字があり、テクニックやセッティングも勝負に大きく影響します。レース後は、麓の街オンダリビアで表彰式を行います。
●Vintage Rally/ビンテージラリー
ビアリッツからバイクで約1時間(高速道路を使えば約30分)の隣町/マジェスクにあるオフロードコースで行われるエンデューロのタイムアタックレース。1975年以前、 1985年以前、1995年以前の3つのクラスに分けられています。
●The Race of the Loads/レース・オブ・ザ・ローズ
マジェスクにあるオフロードコースの一角の、サンドコースを使った直線レース。
スタートして150m先でUターンし、100m戻ってゴールするトータル250mコースで争われます。1950年以前のハンドシフトのマシンのみが参加が可能。勝ち上がりで優勝者を決めることなく、1対1の対戦を楽しむエキシビションレース。
●El Rollo/エル・ロロ
マジェスクのオフロードコースの一部に、El Rolloのための一周約180mオーバルコースを製作。ビンテージからモダンバイクまで5カテゴリーを用意し、さまざまなマシンがエントリーしていました。
●Village/ビレッジ
メイン会場。音楽ライブ、映画上映会、出展社ブース、バイク&クルマの展示、カスタムバイクコンテスト、サーフィン&スケートのコンテスト、理髪店、バー&レストランなどさまざまな出展があり、イベントが行われています。
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