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Part3 ビッグスクーター新時代 マジェスティ250誕生

「日本では大型スクーターはヒットしない」という定説を覆すべく果敢に挑んだ先兵たちを研究し、スクーター新時代への重い扉を開いたのは、またしてもヤマハであった。

3度目の正直、飽くなき挑戦がマジェスティで開花


第一次スクーターブームの終焉後、日本では大型スクーターは売れないということが定説となっていた。

しかし、それは1950年代から’60年代にかけスクーターブームを担ったラビットやシルバーピジョンが、時代の要求する高級志向豪華指向と共に大きく重く高くなっていき、結局は急速に台頭してきた四輪車にあっさりとシフトされたことが大型スクーター衰退の主因であった。

一家に一台四輪車が当たり前となった1970年代後半都市部では渋滞が慢性化したこともあり、今度は機動性が高く維持費も安い原付スクーターが大いに脚光を浴びた。

ブームの拡大と共に原付だけではなく、先に紹介したヤマハシグナス180(1982年)を始めとし、ホンダスペイシー250(1984年)、ホンダフュージョン(1986年)、ホンダスペイシー250フリーウエイ(1989年)と、高速スクーター時代の先兵となるべくニューモデルが果敢に登場し、ビジネスユースを中心に毎年8千〜9千台弱の市場を形成したが、爆発的なヒットにまでは至らなかった。

1995年8月20日、ヤマハからマジェスティ250が登場した。

「長距離を走っても疲れない」「ヘルメット1個よりも大きな収納」「よく効くブレーキ」「乗り心地のよいシート」「振動が少ないこと」などユーザーが望む大型スクーターを具現化すべく、開発のキーワードは「スポーツ性と快適性を兼ね備えた250ccスクーター」。

その結果生み出されたマジェスティ250は、クラス最強の21psエンジンに、優れた安定性を実現するクラス初の前後12インチホイール、体格に合わせて調整可能なバックレスト付きシート、ボディと一体となったスクリーンとハンドル部の造形は空力フォルムに優れ風の巻き込みを減少させた。収納面でもB4アタッシェケース(またはフルフェイス)が収納可能なシート下の大容量スペースはもちろん、フロントトランクはレインウエアが2個入る17Lの大容量を確保、さらに床下にも盗難防止ロックなどが入るトランクをクラスで初採用した。

マジェスティが大ヒットとなった要因は、簡単と言えば簡単。市街地では四輪を楽にリード出来る機動性と操縦性、高速道路の長距離クルージングもこなせる快適性、日常ユースで十分な収納性、そして所有欲を満たす高級感あるデザイン。ユーザーが求めていたものを形にしたのだ。とはいえ形にするのが言うほど簡単ではないことは当たり前だ。

その結果、当初年間の販売計画は4000台であったが、発売から4ヶ月で5千台を突破、翌’96年は9785台と250クラス登録台数のトップ(ちなみにこの年は401cc以上がXJ1200、400ccクラスはドラッグスターがトップでヤマハ一色の年であった)を記録、以後’90年代ベスト5から落ちることなく、大型スクーター市場をけん引し、マジェスティは250スクーター不動のブランドへ成長した。

マジェスティ250(YP250 1995.8)

マジェスティ250(YP250 1995.8)
●エンジン型式:水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ●総排気量(内径×行程):249cc(69×66.8mm)●最高出力:21ps/6500rpm●最大トルク:2.4kg-m/5500rpm●全長×全幅×全高:2110×765×1330mm●軸距離:1500mm●車両重量:147kg●タイヤ前・後:110/90-12・130/70-12●発売当時価格:479,000円
マジェスティ250(YP250 1995.8)
シート下、フロントトランク、床下と収納は3ヶ所用意された。
マジェスティ250(YP250 1995.8)

マジェスティ250東京モーターショースペシャル(YP250 1995.10)

マジェスティ250東京モーターショースペシャル(YP250 1995.10)
1995年の東京モーターショーに参考出品されたTVやFMも受信できる6インチモニターのGPSナビシステムを搭載のスペシャルモデル。

マジェスティ250(YP250 1996.7)

マジェスティ250(YP250 1996.7)
タンデムステップにラバーを設置し、新色のニューシルバーダストを追加し全4色のラインナップとなった。479,000円。

マジェスティ250SV(YP250S 1997.11)

マジェスティ250SV(YP250S 1997.11)
リアブレーキに230mmディスクブレーキを新たに採用したバリエーションモデル。529,000円。

マジェスティ250ABS(YP250S 1998.6)

マジェスティ250ABS(YP250S 1998.6)
リアディスクのSVに前後独立2系統制御方式のアンチロックブレーキシステムを搭載したバリエーションモデル。559,000円。

マジェスティ250(YP250S 1999.10)

マジェスティ250(YP250S 1999.10)
登場4年でモデルチェンジ。フレームは新設計となりエンジンも22psにパワーアップ。排出ガス規制も対応。アンサーバック付きリモコンキーを標準装備。549,000円。

マジェスティ250ABS(YP250A 2002.5)

マジェスティ250ABS(YP250A 2002.5)
前後独立2系統制御方式のアンチロックブレーキを搭載したバリエーションモデル。599.000円。

マジェスティ250C(YP250C 2002.6)

マジェスティ250C(YP250C 2002.6)
ショートスクリーン、パイプハンドル、ホワイトメーターパネル、パンチング&パイピングシート等専用装備。579.000円。

マジェスティ250Cリミテッドエディション(YP250C 2003.5)

マジェスティ250Cリミテッドエディション(YP250C 2003.5)
スペシャルカラーのビビッドレッドカクテル1と一般モデルと同じブラック2の期間限定生産車。トランク内の照明やメーター、シートパイピングもレッドで統一されている。599,000円。

マジェスティ250(YP250系) 概略史・1(1995-2006)

1995.8 マジェスティ250(YP250)登場。
1996.7 マジェスティ250(YP250)タンデムステップにラバー追加。
1997.4 マジェスティ250(YP250)シート、駆動系等小変更。
1997.11 マジェスティSV(YP250S)登場。リアディスクブレーキ装備、Vベルト変速比変更。
1998.6 マジェスティABS(YP250S)登場。SVにABSを追加。
1999.1 マジェスティ250(YP250)カラー変更。
1999.1 マジェスティSV(YP250S)カラー変更。
1999.1 マジェスティABS(YP250S)カラー変更。
1999.10 マジェスティ(YP250S)。モデルチェンジ。リアディスクブレーキ標準装備。
2000.8 マジェスティ(YP250S)。カラー追加。
2001.3 マジェスティ(YP250S)。ワディングシート、車体同色フロントグリル。
2001.8 マジェスティ(YP250S)。カラー追加。
2002.3 マジェスティ(YP250)。リモコンキー、5連メーター、シート変更等。
2002.5 マジェスティABS(YP250A)登場。ABS装備。
2002.6 マジェスティC(YP250C)登場。ショートスクリーン、パイプハンドル等装備。
2003.3 マジェスティ(YP250)。カラー追加。
2003.3 マジェスティABS(YP250A)カラー追加。
2003.3 マジェスティC(YP250C)カラー追加。
2003.5 マジェスティCリミテッドエディション(YP250C)赤と黒の専用色の受注期間限定。
2004.2 マジェスティC(YP250C)カラー変更。
2004.6 マジェスティCマッドブラックエディション(YP250C)10万台達成記念受注期間限定車。
2005.2 マジェスティC(YP250C)マフラープロテクター等変更。
2006.2 マジェスティC(YP250C)カラー追加。

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