1980年8月、ヤマハから登場した軽量コンパクトハイパワーな2ストのRZ250は250スポーツの勢力図を一気に塗り替えた。
それから1年後の1981年夏。
楕円ピストン8バルブのワークスレーサーNRが血のにじむような努力で蓄積したノウハウを惜しみなくつぎ込み、NRのエンジンレイアウトの半分を使うという発想で、打倒RZの秘密兵器の開発がスタートした。
当時使える新しい技術はすべて投入したと言われたVT250Fは、わずか1年ほどで完成。
1982年6月の発売開始と同時に空前の大ヒットを飛ばす。
4ストで2ストに勝つというNRが成し遂げられなかった夢を、血統を受け継いだ孫がきっちりと実現したのである。