1998年1月16日発売 廉価版ではない万能スポーツ初代VTR
1998 VTR
■撮影─富樫秀明 イタリアンレッド
1997年の東京モーターショーに参考出品されたVTRは、ゼルビス以来ひさびさのVT系列モデルのフルモデルチェンジということもあり話題となった。
コンセプトは「“走り”と“所有する喜び”のエッセンスを兼ね備えた現代のスタンダードバイクとは」というもので、乱暴に言ってしまえば「使い勝手の良い普通のちょっとカッコイイバイク」ということ。
エンジンはもちろん伝統の水冷DOHC4バルブのVツインで、低中速域での使い勝手をさらに重視し、セッティングの見直しや5速化などが行なわれた。
大きく変更されたスタイリングは、特徴的なトラス構造のパイプフレームを採用。
大幅な軽量化と部品点数、コストの削減のためにスイングアームピポットレス構造に代表されるような個々のパーツに複数機能を持たせるという、パーツレスデザイン手法も取り入れた。
販売は翌1998年1月16日から開始。
タコメーターは未装備、別体式ではないヘルメットホルダーなどコストを抑えるところと、トラス構造フレームや専用設計Z字形断面アルミキャストホイールなどかけるところを上手く使い分け、単なる「廉価版バイク」ではないことをアピールし、バイク便や初心者などに厚く支持された。
●エンジン型式:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ●総排気量(内径×行程):249cm3(60×44.1mm)●最高出力:32ps/10500rpm●最大トルク:2.4kg-m/8500rpm●圧縮比:11.0●変速機:5段リターン●全長×全幅×全高:2040×720×1050mm●軸距離:1410mm●車両重量:153kg●燃料タンク容量:13L●タイヤ前・後:110/70-17 54H・140/70-17 66H●発売当時価格: 429,000円
2000年2月2日発売 排出ガス規制に対応
2000 VTR
平成11年度排出ガスに適合させるため、エキゾースト・エアインダクションシステム(二次空気導入装置)を採用するとともに、メッキ加工されたハンドル、エンジンのヘッドカバー、左右クランクケースカバー、フロントフォーク、ボトムケースなどをシルバーに変更しモデルチェンジ。主要諸元では乾燥重量が1kg増加した。
車体色はフォースシルバーメタリックとキャンディグローリーレッドで、他に車体色と、フレーム、スイングアーム、ステップに、ホイールのカラー組み合わせによって、なんと106ものパターンからチョイス可能なカラーオーダープランが、わずか1万5千円高で新たに設定された。
カラーオーダープランの車体色はパールフェイドレスホワイト、パールプリズムブラック、キャンディタヒチアンブルー、サイクロンブルーメタリック、タスマニアングリーンメタリック、イタリアンレッド、パールフラッシュイエローとスタンダード2色。
フレーム、スイングアーム、ステップは、ホワイト、シルバー、ブラックの3色。
ホイールは、ホワイト、ゴールド、シルバー、ブラックの4色を組み合わせて選択が出来た。
2002年12月19日発売 シート高を下げ、装備も充実
2002 VTR
シート形状、サスセッティングの見直しにより、シート高を20mmダウンし足着き性を向上させた他、タコメーターとハザードランプの新設と強化されたコンビロックを採用。バックミラー、メーターケースもクロームメッキが施され、充実装備とともに高級感を醸し出すモデルチェンジ。
スタンダードの車体色はキャンディタヒチアンブルーとフォースシルバーメタリックの2色だが、カラーオーダープランは継承。
ただし車体色は6色(フォースシルバーメタリック、キャンディタヒチアンブルーのスタンダード2色と、イタリアンレッド、パールシャイニングイエロー、キャンディブレイジングレッド、マットガンパウダーブラックメタリックの4色)、フレーム3色(チョークホワイト、テラシルバーメタリック、ブラック)、ホイール(スーパーゴールドメタリック、ブラック、アイアンネイルシルバーメタリック)となり、バリエーションは54パターンと半減している。
その後、2007年1月24日フォースシルバーメタリックに変わり新色のパールコスミックブラックが追加され、。カラーオーダープランは設定されなかったが、カラーオーダープランの中でも特に好評であったイタリアンレッドとパールシャイニングイエローがレギュラー入りし、継続のキャンディタヒチアンブルーと共に4色のラインナップ。継続色も含め、フレーム、スイングアーム、ステップホルダー、フロントフォークのアウターはブラック化されている。キャブレターモデルの旧VTRはこれが最終型となる。