1991年10月28日発売 5代目は最高の友人
1991 XELVIS
■撮影─鈴木広一郎 キャンディグリーリーレッド
垢抜けたデザインと市販車初のキャスティックフレームで話題となったスパーダだが、1989年ゼファーの登場によるネイキッドブームの大嵐に巻き込まれてしまう。
個性的であったはずのデザインがごく普通のデザインに見えてしまい、懐古風味が求められるようになると、キャスティックフレームの存在もかえって仇になるような逆風にさらされてしまう。
世が世ならネイキッド路線を先取りしていたかもしれないスパーダだが、生まれた時代に恵まれなかったのかもしれない。
そんな中、親友のようにつきあうことの出来るスポーツバイク=気楽にいつでもどこでも安心して楽しむことが出来るバイクを基本コンセプトに、新たな路線を模索しフルモデルチェンジを行なう。
エンジンはもちろんスパーダから受け継いだVツイン。馬力ダウン、ピーク回転数ダウンとマイルド化と、吸排気系の見直しをメインに手直しが行なわれ、中低速での出力特性とレスポンスの向上と、シフト系の改良によりシフトフィーリングの向上が施された。
フレームはメイン部分に45×30mmの角パイプ、ダウンチューブに丸パイプを組み合わせたダブルクレードルタイプで、キャスティックのような目新しさはないが、雨の日や二人乗りでも安心して楽しく走れるディメンジョンに設定された。
他にも、シート下に7L容量、カウル右側にフタ付き小物入れ、計10個所の荷掛フックなどユーティリティーも考慮されていた。
最大の特徴ともいえるデザインは、スポーツモデルでもツーリングモデルでもない、よく言えばオールマイティ、悪く言えばどっちつかずに見えるが、初代FC、二代目FE、そして三代目FGの歴代VTをイメージさせる不思議なデザインであった。
エンジン特性はマイルドになり、ギンギンに回してパワーを得る初代のイメージとは異なり、名前もついにVTが付かなくなったが、このデザインは紛れもなくVTのDNAを色濃く反映している。
発売当初はキャンディグリーリーレッド、グラニットブルーメタリックの2色であったが、1992年2月25日にカラコルムグレーメタリックとヴォーテクスパープルメタリックを追加して、カラーバリエーションが広がった。
ちなみにゼルビス(XELVIS)とは、特別の(Xtra)、元気づける(Elate)、訪問者(Visitor)を合わせた造語で、「最高の友人」を意味する。
●エンジン型式:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ●総排気量(内径×行程):249cm3(60×44.1mm)●最高出力:36ps/11500rpm●最大トルク:2.6kg-m/8500rpm●圧縮比:11.0●変速機:6段リターン●全長×全幅×全高:2095×720×1160mm●軸距離:1430mm●車両重量:172kg●燃料タンク容量:16L●タイヤ前・後:110/80-17 57S・130/80-17 65S●発売当時価格: 489,000円