1988年12月8日発売 イタリアンテイストでVTが帰ってきた
1988 VT250SPADA
■撮影─鈴木広一郎 イタリアンレッド
実用的な普通のバイクというスタンスで地道に歩んでいたVTシリーズだったが、1988年再びスポーツ性を身にまとい復活する(VTZ250も併売)。
ただし、初代のように「打倒RZ」というようなカリカリではなく、イタリアンテイストあふれるファッショナブルなVツインスポーツというスタンスでの復活であった。
カラーもソリッドで明るいイタリアンレッド、マーキュリーブルー、ブラック、トスカーナグリーン(グリーンのみ1989年2月発売)を採用。シンプルながらスリムなデザインに小気味よくフィットしていた。
エンジンは不等長エアファンネル、大径バルブの採用、2次減速比の変更等により、最高出力は3馬力ダウンしたが、トルクは0.1kg-mアップ。より中低速域でのレスポンスと使いやすさを向上させた。
もっとも注目されるのは専用設計のアルミキャスティックフレーム(CASTEC)。ほとんど溶接なしの一体成形構造で、市販量産車では世界で初めての採用となった。
1994年サンマリノGPで早逝してしまった音速の貴公子、F-1レーサのアイルトン・セナがスパーダの雑誌広告に出演し、話題にもなった。
DOHC4バルブのVツインエンジンという基本構造はまぎれもなくVTの血統だが、それ以外はまったく別物といってもいいが、正式車名はVT250SPADAでり、ホンダがVTブランドを大切にしている証でもある。
●エンジン型式:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ●総排気量(内径×行程):249cm3(60×44.1mm)●最高出力:40ps/12500rpm●最大トルク:2.6kg-m/9000rpm●圧縮比:11.0●変速機:6段リターン●全長×全幅×全高:2010×715×1020mm●軸距離:1380mm●車両重量:153kg●燃料タンク容量:11L●タイヤ前・後:100/80-17 52S・140/70-17 66S●発売当時価格: 498,000円