1986年4月23日発売 シリーズ最強の43馬力
1986 VT250F(G)
●撮影─鈴木広一郎 シャスタホワイト
1986年4月、4気筒スポーツモデルのCBR250Fの発売(4月25日)と前後しVTもフルモデルチェンジを敢行した。
エンジンは全面的に見直しが行なわれ、ストロークの0.1mm延長により排気量は1ccアップした他、吸排気効率の見直し、フリクションロスの低減、VTシリーズでは初の2 into1集合マフラーの採用などにより、VTシリーズ中最も高出力となる43馬力を発揮。エンジン型式もMC08からMC15へと変更される大改革となった。
フレームも72×25mm角パイプのツインチューブダイヤモンドに変更された。
エンジンパワーの増強とは相反するようだが、デザインはFEのエッジの効いたものから、どことなく優しさがただよう曲線主体の大人しいデザインへと一新、CBRとの棲み分けを強調した。
しかしレーサーレプリカ黄金時代へ一直線という当時、ハイメカにズム、ハイパワーを前面に押し出した新機種CBRに喰われてしまい発売初年度の登録台数は7114台と先代、2代目とは比べようのない結果であった。
逆に言えば、幅広い支持層のあるVTだからこそ、この情勢ながら出せた数字とも言えるのではないだろうか。
●エンジン型式:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ●総排気量(内径×行程):249cm3(60×44.1mm)●最高出力:43ps/12500rpm●最大トルク:2.5kg-m/10500rpm●圧縮比:11.0●変速機:6段リターン●全長×全幅×全高:2030×715×1140mm●軸距離:1370mm●車両重量:161kg●燃料タンク容量:13L●タイヤ前・後:100/90-16 54S・120/80-17 61S●発売当時価格: 479,000円
1986年5月17日発売 パステルカラーのスペシャルモデル
VT250F(G)
当時大流行した、淡いパステルカラーをまとったパールエクセランスブルーのVT250Fスペシャルエディションを5月17日に限定発売(2000台)。
5月31日にはパールカラー仕様として、パールエクセレントホワイトがラインナップに追加された。共にカラー変更のみ。489000円。
1987年1月29日発売 最後の“VT250F”
VT250F(H)
FGのバリエーションモデルとしてフロントブレーキがインボードディスクからアウトボードのダブルディスクブレーキに変更されたVT250F(ダブルディスクブレーキ)をラインアップに追加。
初代から続いた“VT250F”という名称はこのモデルが最後となった
それを惜しむかのようにカウルに大きく書かれた筆文字のVTグラフィックも特徴的。
諸元は車両重量が1kg増の162kgになった。価格は変更なく479000円。
なお、VTシリーズの国内登録累計は、1986年11月に14万台を突破した。