(2010/11.2公開)
1985 VMAX(北米仕様)
※写真をクリックすると大きくなるものもあります。
パワー&マッチョスタイルを具現化し、新ジャンルを確立
1980年代初頭、オイルショックから脱却したアメリカでは、再び力強くポジティブなマシンを求める声が高まりつつあった。
そんな声に応え開発されたマシンが「ゼロヨン10秒を目標にする」「単純明快にパワー&マッチョスタイルを具現化する」「アメリカ人が根源的に求めてるアメリカン」を、というコンセプトで開発されたVMAXだ。
エンジンは長距離ツアラーベンチャーロイヤルのV4エンジンをベースに、強大なパワーに耐えうるよう各部を改良強化すると共に、VMAXの目玉ともいえるVブースト機構を組み込んだ。
これにより当時世界最強の最高出力145㎰、最大トルク12・4㎏-mを叩き出す(メインマーケットの北米で最高出力は一応未発表であったが、日本向けのプレスリリースには、しっかりと明記されていた)強烈な加速感と力強いマッチョなデザインは、「剥き出しのエンジンが走っている」と言われるような、新しいひとつのジャンルを確立したのである。
初期モデルは、リアホイールやリアシート形状が以降のモデルと異なる。車体色は、ディープスカーレットとダークアメジストの2色。カナダ向けはダークアメジストのみ。
●エンジン型式:水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ●総排気量(内径×行程):1198cm3(76×66mm)●最高出力:145ps/9000rpm●最大トルク:12.4kg-m/7500rpm●圧縮比:10.5●変速機:5段リターン●全長×全幅×全高:2300×795×1160mm●軸距離:1590mm●車両重量:274kg●燃料タンク容量:15L●タイヤ前・後:110/90 V18・150/90 V15
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1985年、最初に発行されたVMAXのカタログはドラッグレースをイメージしたペラ1枚の質素なもの。表面にディープスカーレットのVMAX。右の裏面のVMAX車体色は、ディープスカーレットとダークアメジストの二種類のカタログが存在する。北米向けはディープスカーレットとダークアメジスト。
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右下に小さくに“This model sold in california is equipped with evaporative emission control device.”(カリフォルニア州は独自のエミッションを導入していたためブローバイを装着したカリフォルニア仕様を用意)と注釈の入るこのカタログの写真はダークアメジスト。
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“This model sold in california is equipped with evaporative emission control device.”の記述がないものは表と同じダークアメジストのVMAXの写真が使われているカナダ向け。カナダ向けはディープスカーレットのみ。
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各気筒に付いているキャブの隣同士、1番と2番、3番と4番を通路で結び真ん中にはエンジン回転数によりコンピュータ制御されたサーボモーターで駆動するバタフライ(バルブ)がある。6000rpm未満ではバルブは閉じ6000rpmを越えるとバルブが開き始め8000rpmで全開。1番が吸気中なら2番は爆発中なので休んでいるキャブを活用し、1つのシリンダーに2個のキャブから混合気を送り低速域を犠牲にすることなく高速域ではφ35㎜×2のビッグボアのキャブと同様の充填効率効果が得られるのがVブーストシステム。
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輸出専用モデルでありながら、ヤマハの袋井テストコースで、国内プレス向けの試乗発表会がおこなわれた。そのときに配布されたプレスリリースには「最高出力145㎰」と明記されている。VMAXのキャラクターに最高出力は必要不可欠であり、北米は発表できないのであえて国内で発表したのだろう。もちろん北米で発表されたリリースに最高出力は書かれていない。
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