Revoエンジンで更に進化
400クラスのベストセラースポーツ、CB400スーパーフォアシリーズがSPEC3からRevoへと進化したのは2007年の12月だから、早いものでもう2年半が経過した。
その後、2008年12月、2010年2月とカラーリングを変更し、現行モデルは2010年2月の変更モデルということになる。
スーパーフォアシリーズはこれまでもスポーツネイキッドとして、速さ、扱いやすさ、壊れにくさ、どれも高いレベルでバランスしてきた。
2007年暮れのフルモデルチェンジも、「え、まだやるところがあるの?」というのが当時の正直な感想だった。
一新されたパワーユニットは、たしかに見た目も変わった。変わったのだが、よっぽどのCB400スーパーフォア好きじゃなければ気づかないだろう。
2バルブと4バルブが切り替わるVTECが新しくなったこと。そして排出ガス規制対応と環境対策として、マフラーにキャタライザーが入り、PGM-FIを採用したことがこのフルモデルチェンジの最大の変更点である。
外装デザインはキープコンセプト。よくみればいろいろ変わっているのだが、ぱっと見で大きく変わった気はしなかった。 これも完成度の高さゆえ。
ちなみに、このCB400スーパーフォアの好敵手はそれまでのCB400スーパーフォアという意気込みで開発された。
新型のコンセプトは、「ユーザーと環境に優しい魅力溢れるジャパニーズスタンダード」。
今回試乗したモデルは、スーパフォアのABS仕様。前後輪連動のコンビブレーキシステムとABSを組み合わせたコンバインドABSは、400スポーツで初採用であったことを覚えているだろうか?
走り出してすぐに気づいたのは低中速の扱いやすさの向上だ。旧モデルに比べてひとまわり太くなったように感じた。
ここからガバっと意地悪にスロットルを開け、急激に加速。エンジン特性とハブダンパーなどの駆動系のセッティングを煮詰めたおかげか、ガツンというショックがなく、スーっとスピードが乗って行った。
これは高回転域で飛ばしていても感じることができた。
高速切り返しや、追い越しの時などスロットルを積極的に開けても挙動は穏やかで確実に加速する。スロットル操作をスイッチ的に扱いがちなビギナーでも気持ちよく乗れるだろう。
タイヤの接地感は素晴らしくて、よく言われる「手に取るように判る」という表現がピッタリ。倒し込みの軽さに磨きがかかった。
それにしても速い。SPEC3で味付けされたVTECの切り替わりがはっきりしたソリッドな乗り味は影を潜めたが、だからといって遅くなったということではない。
厳しくなる一方の環境対応してもスポイルされていない速さは、確実にクラストップであろう。
400スポーツでは初採用のABSだが、スポーツ走行時はあまり介入して欲しくない場面や好みもあるだろう。
しかし幅広いユーザーのことを考えるとこれで問題はない。実際にワインディングで気持ちの良いスポーツ走りをこなせた。
新型はちゃんと進化していた。
昔、CB400スーパーフォアのことを、ホンダらしい悪いところもないが個性もないバイクだと思ったことがあった。
しかしCB400スーパーフォアはスタンダードモデルなのだ。
厳しくなる一方の環境対応してもスポイルされていない速さは、確実にクラストップであろう。
クセのある個性よりも、高い次元のバランスが大切。ここまで完成度が高いと、逆に、このクセのないところが強い個性だと感じるほどだ。
一番最初に書いたが、フルモデルチェンジからすでに2年半。ちょっと昔ならば、そろそろモデルチェンジの噂が出てもおかしくない頃だが、ものが売れない昨今、モデルチェンジのスパンは確実に延びている。
しかし、これだけ完成度が高いと、逆にそうそう手を入れる必要もない。
それよりも次はどこをどうやって進化させるのか、次の開発陣はたいへんだろうなあ。
- CB400SUPER FOUR