ZRXマニアックス ZRX1100/1200~DAEGのすべて

ZRX1100から最新ZRX1200DAEGまでのちょっとマニアックなトリビアネタと、全カラーバリエーションをご紹介。

イヤーモデルにおけるカラーリング術

イヤーモデルごとに変化するカラーリングの妙をZRX1200DAEGのカラー&グラフィックを担当したモーターサイクル&エンジンカンパニー技術本部 デザイン部C&G課 相川真吾さんに聞いた。

「私にとって思い入れのある仕事であり難しいテーマでもあります。ZRXはカワサキのトップモデルであり、ローソンレプリカとの血縁を感じさせるイメージが確立しています。そのイメージを大切にしながら、冒険ではなく、変化を付け新しいモデルを見たお客様の心をくすぐるもの。そのサジ加減を大切にしています。

幸い、開発スタッフの誰もがハードコアなカワサキファンでもあり、彼らと机を並べて仕事することは何よりの市場調査(笑)でもあります。

例えばZRX1100の後期に採用したキャンディーライトニングブルーですが、その後、同じキャンディーブルーながら、色調を微妙に変化させ、キャンディーサンダーブルー、キャンディープラズマブルーと変化をさせて行きました。

同時に、タンクのデカールでもあるツインストライプに関しても、その太さ、色の配置換えなどをしたり、ホイール、スイングアーム等の機能部品のカラーについても、色々と拘って見直し、変化にトライを続けています。

お気づきの方もいるかと思いますが、実は2005年モデルからライムグリーンがややブルー寄りに鮮やかさを増したものになっています。これは国内や輸出する各国で「ライムグリーン」の意識調査を行った結果で、カワサキファンを始めレースに参加する様々なチームにとっても、カワサキのライムグリーンはこの色、という基準見直しでもありました。

ZRX1200Rの中で個人的に「マイベスト」をあげるとすれば、2007年モデルで追加したメタリックディアブロブラック、そして2008年モデルのキャンディーライムグリーンの2台は、伝統を保ちつつ、男らしさ、カワサキらしさを打ち出せたと思っています。これからもZRX1200DAEGでお客様の心に共鳴するカラーリングを提供し続けていきますので期待してください!」

  • ※写真をクリックすると大きなサイズの写真を見ることができます。

カタログにみるカワサキ流こだわり。

ZRX1100から1200Rと歴代ZRXのカタログを眺めると、まず気が付くのがカワサキのワークスライダーによるアグレッシブなサーキット走行シーンが、節目の年に必ず登場することだ。

もちろん、実際の使われ方に近いGパンにライディングジャケットで休日のワインディングを切り取ったカタログや、スタジオ撮影でたっぷりバイクを見せる年もある。なによりそのどれもが永久保存したくなるような所有感を満たす作品が多いのも特徴なのだ。

中でも2007年モデルのカタログは印象的。表紙をめくるとそこから4ページに渡ってエディー・ローソンがAMAスーパーバイクで走らせたZ1000Rの写真とその解説が展開される。その次をめくると、ワインディングを切り取るように走るZRXとライダーの写真が見開きで展開される。美しいフォルムのライダーが纏う革ジャンがベイツ製。そう、AMA時代のエディーのツナギと同じブランドなのだ。

「カタログ造りは新型モデルが完成してから始まりますから、実はいつも時間の工面に苦労します。ZRX1200Rの走りはスパ直入で撮影しました。サーキットです。しかし、ワインディングを切り取る鋭さを表現すべくスタッフが苦心して撮影した写真です。すでに霜が降りた寒い朝でした。

我々がカタログにこだわるのは、トップモデルとしての価値観をお伝えするのにカタログは絶好のツールだからです。欲しいな、とお考えのお客様にはカタログの段階から納得していただきたい。実際にお買いあげになったあとでも読み返せるような充実したものにしたい。そんな風に考えています。

その点でカタログの充実を図るべく、鋭意努力をしています。2007年モデルのカタログはZRX1200R、ZRX(400)を同時に収録する手法を採用した後のものです。お客様の声を聞いてもZRXからZRX1200Rにステップアップしたい、した、という声が多く、イメージの統一と内容の充実を図る目的での構成です。

事実、あの年は、通常2万部ほど印刷すれば間に合うのですが、途中で1万部追加したほど好評をいただきました。」

カワサキモータースジャパンの原康裕さんはそう語った。それだけカワサキの情熱に触れた人が多かった、ということだろう。実際にZRXオーナー予備軍がそれだけ増えた事であり、間違いなくカワサキはファンの深層心理を掴んだに違いない。

ZRXシリーズは

ZRX1100、1200シリーズは、どれだけ売れた?1997年の1100シリーズのデビューから2008年の国内仕様モデルの総販売台数(登録台数)は以下の通りだ。

  • ●ZRX1100=約10000台
  • ●ZRX1100II=約1000台
  • ●ZRX1200R=約8000台
  • ●ZRX1200S=約1000台。
  • ●ZRX1200DAEG=約2000台以上(2010年4月まで)

2004年モデル、スペックの謎

2001年に登場したZRX1200Rは、騒音、排出ガス規制への対応のため、2004年に大がかりなマイナーチェンジを受けている。気になる変更箇所を検証する。

1・フロントのインナーディスクローターのデザインが変更されている。
開発担当者の梅谷一郎さんによると、バネ下重量軽減のため、アルミのインナーを拡大し、鉄の摺動部分の体積を減少させたとのこと。ちなみにその重量は863グラム→632グラムと大幅なもの。
2・燃料タンク容量が19Lから18Lに変更になったワケとは?
梅谷さんによるとこうだ。「この年、リアスイングアームピボットの位置を5mm上方に動かし、サスセッティングを変更しています。スイングアームのタレ角を変えたのです。その完成車の状態で燃料タンク容量を計測すると、車体姿勢が僅かに変わったことで、従来モデルの19Lに届かず、カタログの届け出値が1L単位のために18Lとなっています。タンクの外観、底板に変更は無く、事実上2003年モデルまでと同じタンクを使用しています」
3・エンジンスペックの変更でトルク発生回転数が一気にドロップしたワケとは。DAEGの開発リーダーでもあり、同エンジン担当の山本日出彦さんに聞いた。
「2004年モデルで行った改良は、排出ガス、騒音の規制に合致させることも含まれています。排出ガス規制への対応は、主に吸排気系の仕様変更で達成したわけですが、2003年モデルまでが102Nm/6000rpm、2004年モデルでは101Nm/3500rpmとなっています。一見、大きな変更に見えますが、実は従来モデルと同様、台形のトルクカーブを持つエンジンであることに変わりがありません。乗った印象も同等です。たまたま、最大値を3500rpmで迎えた、とお考え下さい。乗り味も従来どおりのZRXらしさが確保されています」

       | 特集トップページへ | 次のページへ