さらなる走りの余裕を確保しつつ環境規制に対応させるため“再開発”されたエンジンは、ボアをW650(675cm3)の72mmから77mmへと5mm拡大し、ストローク83mmはそのままで773cm3へと排気量をアップしている。
力強いトルクと360度クランクならではの味わい深く独特なパルス感を生み出す、空冷SOHC4バルブ並列2気筒の基本レイアウトが引き継がれた。ベベルギア採用のカムシャフト駆動も当然ながら引き継がれ、W800でも個性を主張している。より分厚くなったトルクは特に低中回転域へ振り向けられたという。
排気量の拡大以外に最大の変更点と言えるのが燃料供給方式の変更だ。環境時代にふさわしいフューエルインジェクションがいよいよ採用された。
サブスロットル・タイプのフューエルインジェクションを採用した事で理想的なスロットルフィールを実現している。環境対応ばかりではなく、優れた始動性ももたらされた。そのためというわけではないがキックは廃止された。それにより右側のステップ位置が最適化されている。
造形の美しさを誇るエンジン外観は、バフ研磨後にクリアコート仕上げ、と従来からの特徴を引き継いでいる。
同時発売のW800 Special Editionではエンジンのブラックアウト化が施され、シリンダーヘッドの一部フィンのみアルミ地肌仕上げとしてスペシャル感を強調している。フューエルインジェクションのカバーはクロームメッキが施されている。
- こちらで動画が見られない方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。試乗記は次のページへ!
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ブラケットやガセットを最小限に押さえ、美しい外観を強調しているフレームは、W650から共通の角断面のメインと丸パイプのダウンチューブで構成されるもので、軽量化にも貢献している。
ヴィンテージ感漂うルックスと独特のエキゾーストノートを演出するキャブトンタイプのマフラーは後半部分で絞られないストレート形状となった。内部の構造は低中速域で最大のパフォーマンスが得られるよう設計されている。
高品質な塗装が施されたフューエルタンクはグラフィックに水転写デカールを採用し、繊細なグラデーションと凹凸のない美しい仕上がりを実現。
W650時代のブラック塗装から変更されたのはエンジンと、リアハブ周りだけでなく、フロントフォークボトムケースも同様にアルミの地肌を生かしたものとなった。ヘッドライトマウントステーもクロームメッキ仕上げに。ブラックのリアサスカバーも廃止となった。
F.I.化により採用された燃料ポンプはフューエルタンク外付けのタイプで、フューエルタンクの美しい外観と十分なタンク容量を両立させている。
前後のフェンダーはクロームメッキ仕上げのスチール製(W800 Special Editionではブラック塗装)とし、耐久性とルックスを両立している。
- こちらは2月1日に同時発売される“W800 Special Edition”。ブラックの燃料タンクを始め、ブラックアウトされたエンジン(シンダーヘッドの一部のみアルミ地)、エキゾーストパイプにマフラー、フロントフォークのアウターチューブ、前後フェンダー、前後ホイールハブ、ハンドルパイプなどをブラックアウト。そしてホイールはゴールドに変更されている。詳細は新車プロファイルのW800 Special Editionのページで。
ヘッドライトボディはフューエルタンク、サイドカバーと同色の塗装が施され、ヘッドライトリングはクロームメッキ仕上げ。ライトレンズもクラシカルなイメージを強調する、カットガラスレンズが採用されている。
ヘッドライトステー、ミラー、シフトレバー、ブレーキペダル、チェーンガード、スロットルケーブルガイドなど、車体各部にクロームメッキを施している。
フロントフォークにはフォークカバーを装着、アウターチューブはあらたにバフ研磨を施してアルミ地肌の美しさをそのまま表現している。(W800 Special Editionはブラック塗装)
クラシカルな2本リアショックはプリロード調整式を採用。マシン全体の雰囲気と合わせるため、あえてカバーを付けずシンプルなデザインとした(W650ではブラックのカバーが付いていた)。
フロント19インチ、リア18インチの大径ホイールはクラシカルな外観だけでなく、軽快な旋回性と直進安定性の理想的なバランスを実現している。(W800 Special Editionはゴールドホイールに)
フロントブレーキには外径300mm、フローティングタイプのシングルディスクを採用。リアブレーキはドラム式とし、シンプルでクラシックなスタイリングと変わらず。
メーターはトラディショナルな2眼タイプを継続。スピードメーター内の液晶スクリーンにはオドメーター、トリップメーター、時計を表示し、タコメーター内には各種インジケーターランプを見やすく表示。
適度な厚みを持たせたシートは前部を絞った形状として良好な足つき性を確保。シート端のパイピングはライダー、パッセンジャーの足にあたらないよう配慮した設計となっている。
クラッチレバーは5段階、ブレーキレバーは4段階に調整が可能。メンテナンス時などに便利なセンタースタンドを標準で装備。
シート下にU字ロック(カワサキ純正)を積載可能なスペースを確保。また、ETC車載器本体も搭載可能としている。(シートベース側にETCケースの逃げを追加して搭載可能に。U字ロックとETC車載器本体の同時装着は不可)。
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