SUZUKI 2011 GSR750/GSX-R600/750試乗タイトル SUZUKI 2011model

SUZUKI 2011 GSR750試乗見出し

2011 SUZUKI GSR750
Moto Mapから発売されるGSR750のカラーは3色。イメージカラーといえる白(YWW:Pearl Glacier White)、そして黒(YVB:Glass Sparkle Black)、赤(JSP:Glass Sparkle Black/Pearl Mira Red)のラインナップに。
こちらの動画が見られない方はYOUTUBEのサイトhttp://www.youtube.com/watch?v=n5EqWNYtoJ4で直接ご覧ください。
「満を持す」という言葉がとても似合う、スズキからやっと本格的なストリートファイターが登場した。

アップハンドルのネイキッドモデルに高出力のエンジンを積んで仕立て上げるのが、いわゆるストリートファイターカテゴリー。過去に辿っていけば、スズキは創生期のストリートファイターと言うべきGSF1200を誕生させた先駆者であった。しかしながら、それから欧州を中心に人気が出てライバル各社から意欲的なモデルが登場する中で、この分野に積極的ではなかったと思う。

実車を目の当たりにすると、写真で受けた印象よりグラマラスで前後が短くコンパクト。特徴的なフロントマスクや各部のデザインは、見るまではアニメ的な印象があったけれど、実際は面の仕上げも丁寧で、陰影がはっきりとして、アグレッシブさを持ちながら子供っぽい感じはない。

跨ると、角を落としたシートのおかげで、身長170cmのボクでも両足はちゃんと接地する。ハンドルを掴んで左右に揺すってみると軽い。ドシっとした重さはない。ポジションはネイキッドらしいもの。ステップはそれほど高くなく、適度に絞られたパイプアップハンドルのグリップ位置も近い。きつくないけど、ゆったりもしすぎず、といったもの。

2005年型、GSX-R750(K5)をベースに各部を見なおし低中速を重視したエンジンは、発進から淀みなくレッドゾーンまで回る。外見が攻撃的だから、ライダーを振り落としてまで進む暴れ馬、触るとはぜるみたいなものを想像してしまう(しないって!?)けれど、そんなことはない、いたってコントロールしやすい。

普段はいい人なんだけど底意地を悪くして、走りながらにスロットルをグイグイと瞬間的な開け閉めをしてみても過度な性格は見せない。試乗は全開が多い高速コースだったからストリートで重要となる低中速域での使い勝手はあまりよく判らなかったが、とにかくスムーズさが印象的だった。

ハンドリングに関してもエンジンと同じで、唐突なところはなく、かといって重々しいところもない。ひょいっと自然にフルバンクまでもっていけ、安定して旋回できる。200km/h以上で飛び込むコーナーもあるこのコースでも気にせず行けて、終始恐い思いをせずに走れた。回り込んでから脱出する時のトラクション性も良好。

ブレーキの効き、タッチ、コントロール性は好ましく、このカテゴリーのバイクとして不満はない。アップハンドルはその名の通りアップしているので(当たり前)、ハンドルバーに顔を隠すようなコーナーリングフォームになる。

乗り味はとても従順で、ハンドルポスト、ステップにはラバーの緩衝材が入っていることなどもあって振動は少なく、乗り心地は快適。さらに燃料タンクは17.5Lとたっぷり容量なので「ツーリングもどんとこい」だろう。

今回はコースの試乗だったが、走る場所を選ばない汎用的に使えるスポーツネイキッドとしてのポテンシャルがうかがえた。

(試乗:濱矢文夫)
SUZUKI GSR750
フロントフェンダーに設けられた巧みなデザインのエアインテークと同様、ヘッドライトカウルにも小ぶりなエアインテークが配置される。エッジの効いた全く新しいデザインが施されたバックミラーなど、個性的なフロントビューに。ヘッドライトはマルチリフレクターハロゲンヘッドライト(ハイ/ロービームデュアルフィラメント)を採用。ヘッドライト両サイドには、パターンの入ったブルーポジションランプを装備。高い被視認性と配光特性を誇る。
SUZUKI GSR750
インストルメントパネルには視認性の高いアナログ式タコメーターを採用。大型の液晶パネルには、スピードメーター、ギアポジションインジケーター、水温計、燃料計、時計、燃費計、オドメーター・ツイントリップメーターが表示される多機能メーターとなっている。バックライトには、ホワイトLEDを採用、輝度調整機能も備える。LEDインジケーターランプは、ニュートラル、ターンシグナル、ハイビーム、油圧、FI (フューエルインジェクション)、イモビライザー作動を表示。
SUZUKI GSR750
アグレッシブなライディングを考慮したシート形状。
SUZUKI GSR750
エッジの効いたテールセクションにはLEDテールライトがビルトインされている。そしてデザインを引き立たせるコンパクトなターンシグナル。
■SUZUKI GSR750 車両概要

GSR750のネーミングからも分かるとおり、このマシンはGSR600の後継モデルというポジションだ。欧州でのミドルクラスであり、国内仕様の400との兼ね合いなどもあって600となった従来のGSR600だが、やはりパンチ不足感はいなめなかったことから“お手の物”のナナハン・エンジンを完全新設計のフレームに搭載しての登場となった。

極端に短い前後のオーバーハング。アグレッシブなストリートファイターを思わせるコンパクトな車体は、フロントからリアへと力強いラインを形成している。そのスタイリングは「ライダーが乗車し、マシンと一体となって完成する」という。

大きく開口したラジエターサイドパネルとアグレッシブなフロントサイドピース。17.5リットルの容量を確保するフューエルタンクには、タンクと質感の対比が鮮やかなタンクサイドパネルが装着されている。

エンジンは2005年のGSX-R750のエンジンをベースに、ストリートでの扱いやすさを追求。徹底したフリクションロスの低減と燃焼効率のアップが図られ、低中速のパワーをアップさせている。GSX-R750が本来持っている高回転域までストレスなく回るエンジンの魅力も併せ持ち、ワインディングでライダーを夢中にさせるフィーリングを生み出している。また、燃焼効率を大幅にアップ。高い環境性能を備えている。

気筒ごとに2枚のスロットルバルブを装備し、インテークバルブ側に取り付けられたメインスロットルバルブはライダーのスロットル操作によって開閉され、エアクリーナー側に取り付けられたサブスロットルバルブはエンジン回転数、ギアポジション、メインスロットル開度によってエンジンコントロールモジュール(ECM) が最適開度を判断し、トルクモーター駆動によって開閉されるスズキデュアルスロットルバルブ(SDTV)も採用。

このSDTVにより、混合気流速が各回転域で適正化され、低回転域から高回転域まで効率的な燃焼を実現。出力特性のアップと、ほぼリニアでスムーズなスロットルレスポンス、排出ガス中の有害物質の低減を可能とした。各気筒には、8穴の高微粒子タイプマルチホールインジェクターを採用。

アイドルスピードコントロール(ISC)も採用されている。寒冷時の始動においては、水温センサーの情報に基づき吸入空気流量を増加しファストアイドル制御を行う。始動直後の排出ガスを低減しつつ安定したアイドリングを実現。

エンジンコントロールモジュール(ECM)では最新式のトランジスタ点火制御回路を採用。イリジウムスパークプラグの採用と合わせてより高い点火性能と耐久性を誇る。

二次エア導入システム(PAIR=Pulsed-AIRシステムは、スロットルポジションとエンジン回転数に従ってECMで制御されるPAIRソレノイドバルブを介して、エアクリーナーボックスからシリンダーヘッドエキゾーストポートに新鮮な空気を直接噴射、未燃焼の炭化水素HCと反応させ、一酸化炭素CO排出量を低減する)も採用された。

エキゾーストシステムのミッドパイプにはO2センサーを備え、排出ガスを監視。フィードバック制御を行うことにより、燃焼効率を最大限に高め、排出ガス低域にも貢献している。

また、ミッドパイプに設けられたバタフライバルブは、サーボモーターにより開閉を制御。エンジン回転数、スロットルポジション、ギアポジションなどの走行条件に基づいて背圧を最適化することで、低中速回転域でのトルク、レスポンス、加速性を高めるのに貢献するスズキエキゾーストチューニング(SET)も採用。

触媒はエキゾーストシステムに組み込まれ、制御システムと連動して、炭化水素HC 、一酸化炭素CO 、窒素酸化物NOxを削減し、欧州排出ガス基準をクリアしている。

フレームはスチール製だ。D字断面を持つツインスパー部分と、丸型断面のチューブラーフレームが組み合わされ、コンパクトにまとめられたもので、剛性としなやかさがエンジンキャラクターにマッチし、ストリートからワインディングまで、あらゆるシーンでダイナミックな走りを楽しめるという。

フレームのミッドセクション(シートとフューエルタンクが接する部分)では、フレームがスリムに絞り込まれ、足着き性に貢献している。

キャスター角は25°20’、トレールは104mm。ホイールベース1,450mmとともに、軽快な走りを実現するディメンションとなっている。

フロントサスにはカヤバ製の倒立フロントフォークが装備される。φ41mmのインナーチューブと、ゴールドカラーのアウターチューブを採用。スプリングプリロードはフルアジャスタブルタイプだ。

リアには長方形断面のスイングアームを採用。プログレッシブリンケージを介してカヤバ製モノショックを作動させる。ホイールのストロークに応じてプログレッシブに減衰力が変化し、高い路面追従性を実現する。スプリングプリロードは、7段階に調整可能。

フロントブレーキは、φ310mmフルフローティング式のデュアルディスクに、トキコ製デュアルピストンキャリパーを組み合わせている。リアブレーキは、φ240mmシングルディスクに、NISSIN製シングルピストンキャリパーを装着。ホイールは軽量な3本スポークアルミキャストホイール。

ハンドルバーはアグレッシブなライディングスタイルを生む形状のパイプハンドルで、フロントブレーキレバーとクラッチレバーの握りしろは、ライダーの好みで5段階に調整が可能。

ゴムパッド付きのアルミ製ライダーフットレストを、アルミプレートにマウント。アルミ製のタンデムフットレストをマウントするブラケットには、便利な荷掛けフックを装備。取り外し可能なタンデムシート下には、U字ロックや小物が収納できるスペースを確保。シート下荷掛け用ループも装備している。

SUZUKI GSR750

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