今の大排気量クラス、何が一番人気だろう。やっぱりバイクは速くなきゃ! と、スーパースポーツに乗る人もいれば、ゆったりどこまでも行きたいとクルーザーに乗る人も多いけれど、販売面から行けばやっぱりビッグネイキッドが人気の様子。
いいですよ、ビッグネイキッドは! デカイでしょ、ちょっと懐かしいデザインでしょ、そこそこ速いでしょ、タンデムも快適でしょ、カスタムし甲斐があるでしょ、そして「やっぱり間違いないよね」感がある。
しかし今言った「イイトコロ」は本当に貴方にとってのイイトコロですかぁ? いやらしい話ですみませんね、でもニンジャ1000は、こんな疑問を投げかけてくるマシンなのです。「オマエはそれでいいのか」と。「ストリートバイクは次の次元に進化してるんだぞ」と。「俺に惚れただろう」と。
超先鋭的なデザインで250~400から続く ニンジャシリーズの頂点を主張。軽い。速い。カスタム心芽生えず。ってかする必要もない。何よりも他と違って個性的。こんなマシンなのに快適ときてるから、僕は心から「公道向けマシンは次のステージへと進んだな」と感じたわけです。(FZ-1の時にもちょっと思ったけどそれ以上にね)
そんなことを考えながら技術説明を聞くと「スポーツマインドを持っている」「SSモデルではさすがにスポーツに振りすぎていて公道では使い難い」といったライダーに向けているそう。そうか、既存のネイキッドからの脱皮ではなく、ネイキッドとSSの中間モデルを作ったのね。全く新しいカテゴリーというわけだ。
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何はともあれ乗ってみましょうか。うわなにこれ、スリムでアップハンですんごい楽じゃん。
ステッププレートはラバーマウントでステップにもラバーが張ってあって快適じゃん。シートもフカフカじゃん。そのシートがけっこう高くて、足つきの面ではちょっと厳しいかもしれないけれど、それ以外ではコンパクトに感じてかなりいいファーストコンタクト。これだったら日常でも使えそう。
エンジンをかけると様子は一変。ズヴァア~ズヴァア~とフケるビッグネイキッドのような感じではなく、ギュンギュンとフケるSS的フィーリングを持ったもので、いかにも高性能でパワフルな印象。この硬質なエンジンなら、なるほどステップのラバーマウントなど必要だろうな。
すっかりその気になって走り出す。暖機したらイキナリ高回転に放り込んでギャンギャン回す。速い速い!
136馬力は伊達じゃない。1速レッドからクラッチを握らずアクセルチョイ戻しで、2速にカチャリと入れてまた全開。伏せてるのにフロントがススッと持ち上がり猛突進。コーナー。ガッツーンとブレーキをかけてバカッと寝かせて。なんという楽しさ!
特にブレーキングから寝かしこみがタマラナイ。SSより上半身が立ってる分、先が見えて怖さは無いし、フルブレーキングでネック辺りを後ろから押されるような、時としてビッグネイキッドに見られる現象もない。SSに近い性能に、公道で必要なマージンを保ちやすいポジションを組み合わせたことで、より安全にハイペースワインディングを楽しめる。しかもその「イイトコ取り」が高レベルで、中途半端さがないからスゴイ。
「スーパースポーツがアップハンだったらな」と思ってきた人は多いでしょうけど、まさにそんな感じ。だけどそれだけでなく、振動をライダーに伝えない工夫やウィンドプロテクションも真面目に取り組んだというわけ。まぁ、ベースはZX-10Rではなく新型Z1000なわけだから厳密にはちょっと違うんだけど。
ギャンギャンに攻めるばかりでそのバイクがわかった気になっちゃ大間違い。わざと高いギアでブラブラ流し、路面の悪いところも走ってみたりする。これが意外と3000回転付近でも力があって、4速・5速で峠を流しても気持ちがいい。低い回転を使っているうちは鋭さも影を潜め、扱いやすいといえる。しかしそこから「なぁんとなく」ペースを上げた時は、エンジンフィールや高剛性のフレームから伝わる全体的な硬質さのせいか、ちょっと神経質かなと感じる場面もあった。
フラッと流していればどんな外乱にも影響されない強さがあるし、ガンガン攻めればスポーツマインドが満たされるのだけど、その中間ゾーンだけはちょっと気をつけたい。要はツーリングモードと、攻めモードのスイッチ切り替えをしっかりしたほうがいいという、メリハリのあるバイクだと感じたわけ。
自分だったらどういうふうに使いたいか。そうだな、北海道に1ヶ月行くんならニンジャ1000は選ばないだろう。日曜日に早起きして、一張羅のウェアを着て、150キロぐらいの「いつもの」コースを走って陽の高いうちに帰ってくる。そんな使い方をしたい。
高速はズバっ。峠もグリグリ。帰りはスクリーンを高くして疲れ知らず。こんな使い方のライダー(けっこう多いはずだよ!)にはブッチギリでオススメ。うん、なんとも欲張りなマシンであり、次世代の「やっぱり間違いないよね」が登場したと思うのだ。
★主要諸元
車名型式 | ZX1000GBF/HBF | |
---|---|---|
Ninja 1000 | ||
発売日 | 海外モデル | |
全長×全幅×全高(m) | 2.105×0.790×1.170(1.230※ハイポジション時) | |
軸距(m) | 1.445 | |
最低地上高(m) | 0.135 | |
シート高(m) | 0.790 | |
車両重量(kg) | 228〔231〕 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費(km/L) | - | |
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転小半径(m) | - | |
エンジン型式 | - | |
水冷4ストローク並列4気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 1,043 | |
内径×行程(mm) | 77.0×56.0 | |
圧縮比 | 11.8 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 101.5[138]/9,600(EUR/USA/AUS) 100[136]/9,000(SE ASIA) 78.2[106]/9,100(FRA) | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 110[11.2]/7,800(EUR/USA/AUS/SE ASIA) 95[9.7]/7,500(FRA) | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション KEIHINφ38mmx4/楕円サブスロットル付 | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | デジタル | |
潤滑油方式 | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | - | |
燃料タンク容量(L) | 19 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.600 |
2速 | 1.950 | |
3速 | 1.600 | |
4速 | 1.389 | |
5速 | 1.238 | |
6速 | 1.136 | |
減速比1次/2次 | 1.627/2.733 | |
キャスター(度) | 24°5′ | |
トレール(mm) | 102 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C 58W |
後 | 190/50ZR17M/C 73W | |
ブレーキ形式 | 前 | φ300mm油圧式ダブル ペタルディスク |
後 | φ240mm油圧式シングル ペタルディスク | |
懸架方式 | 前 | 倒立・φ41mmテレスコピック式 圧側/伸側無段階調整 |
後 | ホリゾンタルバックリンク式 伸側無段階 スプリングプリロード無段階調整 | |
フレーム形式 | ツインチューブ |
※〔 〕の数値はZX1000H
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