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ホンダアクセスの二輪車専用ナビゲーションシステムの第3世代といえるGathers M。今や対応車種は23機種へと拡大し、ほぼ主要車種を網羅した。ルリカミドリさんのツーリングにお伴したCB400SUPER BOR D'OLにも当然装着されていた。ここでは、機械に苦手なルリカミドリさんに代わって、ナビ・マイスターとしてもおなじみ濱矢文夫氏がナビ開発者から聞いた最新ナビの秘密を紹介してもらおう。インタビュー自体はGathers M シリーズの発売直前に行われたものだ。

バイク専用のナビゲーションシステムとして、高機能と完成度を誇っているホンダアクセスの「ギャザズM」。その最新型が「G3」だ。

ぱっと見て判るのは前モデルに比べ液晶画面が大きくなり、約半分の厚みになったこと。これだけでも「おおっ!」と目を見張ってしまうことだけど、当然、それだけの違いでは終わらない。いろんなところが進化している。

この最新ナビの名前の「ギャザズMナビゲーションG3」の「G」は「ジェネレーション」の略。ホンダアクセスのバイク専用ナビとして3世代目という意味だ。

「ギャザズM」は、主軸となる道案内機能の正確さだけでなく、バイクならではの露天という環境で使用されることを考慮した防塵防水性能や、グローブをしたままでも簡単に操作できるインターフェース、ハンドルから手を離さずに操作できるコントローラーなど、多彩な機能でバイク用ナビのフロントラインに立っている製品である。それの最新型なのだから、否応なしに期待せざるを得ない。

『Gathers M ナビゲーションG3』
★4.3インチにサイズアップした液晶を採用しながらも、縦横長さは135×84mmと従来モデルとほぼ同等のサイズで、横長画面とした第3世代の二輪車専用ナビゲーションシステム。二輪専用ナビとしてホンダ独自の耐振、耐水、耐塵性能は従来どおりの大きな特徴に。1mの水中に30分間没してもOKという安心感。目的地検索がさらに強力になり、電池パックが内蔵されたことで単体でも稼働。グラフィックが一般的なクルマ用と同様な表示となり、自然な日本語の音声ガイド、Gathers Mならではの任意ルート設定機能や走行軌跡の保存機能など従来からの優れた特徴は全て引き継いでいる。
●ディスプレイ:4.3インチ、480×272ピクセル、ホワイトバックライト機能付きワイドQVGA、TFT方式タッチスクリーン。ボディ:IPX7防水仕様、充電時間:約4時間、電池稼働時間:約3時間、BLUETOOTH:携帯電話、ハンズフリーヘッドセットとの接続可能(ステレオ)、5月27日発売、83,790円。
http://www.honda.co.jp/ACCESS/motorcycles/gathers_m/navigation_g3/

「大きさは、縦方向の外径サイズはほとんど変わらずに横だけちょっと増やしたようなものですね。ですから車両側のインジケーターを隠すことなく装着することが出来ます。それに薄くなったことで、取り付けたときの見た目の圧迫感が小さくなりました。マウントも小型になっています」

液晶画面のサイズは3.5インチから4.3インチへと大きく見やすくなった。盗難防止のロック機能は、センターの出しにくかったこれまでの専用ネジから突起付トルクスネジになった。

他にハード面での変化は、外部メモリがSDからマイクロSDに(許容する最大容量は8GB)。マウント側だったスピーカーのジャックが本体に移った。さらに防水スピーカーも内蔵したので、そのまま音声が聞ける。ブルートゥースはモノラルから、ステレオで高音質なA2DPプロファイルに。そしてバッテリーも搭載した。

ご存じの方も多いかと思うが、「ギャザズM」の第二世代モデルは星さん達ホンダアクセスの技術者が「二輪専用ナビはこうあるべき」という膨大なリクエストを出してガーミン社と共同開発した記念碑的なモデルだ。

このG3は、その時のノウハウをもとにガーミン社が開発したZUMO660をベースにしたもの。

だけど、ただそれを流用したものではない。そこには二輪メーカーの純正ナビとして安全性に強くこだわったG3だけにしかない部分がちゃんとある。

「今までのようにハンドルから手を離さないで操作できるコントローラーを付けました。これは安全のため絶対に譲れない部分ですよ。そのためZUMO660とはケーブルが違うんです。ヘルメットの内側に入れるステレオスピーカーも標準装備してます。シルバーカラーのZUMO660に対し、G3のボディをガンメタにしたのは、カウルスクリーンなどに映りこまないためです」

星さん達の要望がたくさん活きているソフトウェアもさらに使い勝手が向上した。

お気に入りのポイント数が200から500になり、検索しやすいようにフォルダ分けが可能になった。案内中に道路標識看板が出るようにもなった。

「要望が多かった」という高速道路のPA、SA、ジャンクションまでの距離や位置を表示する高速モードが加わったのは嬉しい。片言の日本語のようだった案内音声がちゃんと流ちょうな発音になったのは大きな変化だ。

最初のメニュー画面。横に広くなったのが判るだろう。アイコンはこれまでと同じデザイン。下段の項目が増えた。
最初のメニュー画面。横に広くなったのが判るだろう。アイコンはこれまでと同じデザイン。下段の項目が増えた。
それまで下側に表示していた、「時計」と「曲がるまでの距離」を画面の上隅に配置。下は好みの項目を選べるようになった。
それまで下側に表示していた、「時計」と「曲がるまでの距離」を画面の上隅に配置。下は好みの項目を選べるようになった。
新たに加わった高速道路モード。料金所、ジャンクション、インターチェンジ、PA、SAまでの距離と位置関係が判る。
新たに加わった高速道路モード。料金所、ジャンクション、インターチェンジ、PA、SAまでの距離と位置関係が判る。
地図表示はより鮮明になり見やすくなった。第二世代のギャザズMを使ったことがある人ならすぐに使えるインターフェイス。
地図表示はより鮮明になり見やすくなった。第二世代のギャザズMを使ったことがある人ならすぐに使えるインターフェイス。
このように道路案内看板を表示して、より道が判りやすい案内になった。さらにレーンアシスト機能も加わる。
このように道路案内看板を表示して、より道が判りやすい案内になった。さらにレーンアシスト機能も加わる。
目的地検索のメニュー画面。名前検索が「名前周辺」と「名前入力」の2つに分かれ、検索項目が1つ多くなった。
目的地検索のメニュー画面。名前検索が「名前周辺」と「名前入力」の2つに分かれ、検索項目が1つ多くなった。
スタンバイ画面。さてどこへ? これからの旅は二輪車専用ナビを使って走りをフルに楽しもう!
スタンバイ画面。さてどこへ? これからの旅は二輪車専用ナビを使って走りをフルに楽しもう!
いろいろな情報を数値やグラフィックで知らせるメーター画面。液晶画面の大型により同時に表示できる項目が豊富に。
いろいろな情報を数値やグラフィックで知らせるメーター画面。液晶画面の大型により同時に表示できる項目が豊富に。

「これまでは防塵防水性能や、グローブしたままでの使い勝手、安全性など、4輪のナビとこれだけ違う2輪車専用ナビですよと言ってきた。ところが道案内や使い方は4輪のナビになれた人には判りづらいところがあったんです。このG3は二輪専用ナビに必要な要項を内包しながら、慣れ親しんでいる4輪用ナビの使いやすさをプラスした。まさに正常進化ですよ」

そして何より驚かされたのが、これだけ進化したのに89,700円とグンと価格が安くなったことだ。

「私たちは『普及』というテーマをずっと持ってきたんですね。安くすると、今まで大きな利益があったのかと言われそうですが、とんでもない。利益はギリギリですよ。コストダウンもしていません。ただ円が高くなって輸入するコストが下がった。その分だけそのまま安くしたんです。とにかくかなりがんばった価格にしました」

使いやすくなり、普及を目指し価格を下げた「三世代目」という名の戦略的なナビは、その名の通りバイク用ナビを一歩踏み込んだ新しい時代に突入させるかもしれない。その資質は充分ある。

※このページはミスター・バイク2010年4月号を再構成してお届けしました。

星 智弘さん
プロフィール
星 智弘さん
(株)ホンダアクセス 二輪開発ブロック
ホンダアクセスの二輪車専用ナビゲーションシステム「Gathers M」の開発プロジェクトリーダー。電子系が専門で、スノボ大好きのスポーツマンでもある。「二輪専用ナビでやりたいことが次から次へと出てくるんですよね…」。今まさに国内の二輪車専用ナビの開発では第一人者といえる。

※さらに詳しい情報はホンダのG3専用ページhttp://www.honda.co.jp/ACCESS/motorcycles/gathers_m/navigation_g3/をご覧ください。

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