あらためて当たり前のことを書くけれど、NSF250Rは純粋なロードレーサーだ。
完全新設計の水冷4ストローク250cc単気筒エンジンを搭載した、新しいカテゴリーのレーシングマシン。いままで「GP125クラス」と呼ばれていた、ロードレースの軽量級が4ストローク化されることに合わせ、HRCが作り上げた、250cc市販ロードレーサー。もちろん、2012年は世界グランプリでも、全日本選手権でも、このマシンが軽量級クラスを走ることになる。
そして断わっておくけれど、僕はミニバイクを除いて、まったくロードレース経験者ではない。今年は榛名モータースポーツランドで2戦、ミニバイクレースに出場しただけ。
サーキットランは、たった今数えてみたら5回ほどで、MFJライセンスは郵送で申し込めるエンジョイクラスのみ保有、昨年までDE耐に毎年出場していたから、ツインリンクもてぎのフルコースライセンスもある。つまり、まったくの、ほとんど街乗りライダーだ。
ロードレーサーは、これまで数回しか乗ったことがない。2ストローク市販レーサーであるRS125、TZ125、そしてRS250を1~2回ずつだけ。その印象は、「普通のライダーじゃちゃんと乗れないな、楽しくはないな」ってことだった。やっぱり特別な人が乗るマシンなんだな、と。
それは、カチカチのサスペンション、パワーバンドにきちんと入れないと使えないエンジン、そして、まっすぐ走ることすら難しい、あまりにも曲がりすぎるハンドリングのせいだった。少しだけロードレーサーをかじったことがある人ならわかってもらえると思うけれど、「選ばれし人が乗る」乗り物なのだ、ロードレーサーってヤツは。
筑波サーキットでRS250に乗った時には、コテンパンにやられた。超窮屈なポジションにたじろぎ、発進の時に3回ほどエンストする神経質さにおののき、ようやく走り出した後も、パワーバンドに入れるのがおっかなくて、裏ストレートでだけ、ほんの一瞬だけ気持ちのいい2ストサウンドを響かせた。
けれど、コーナーは徐行(笑)。まったく安全に、たしか5LAPくらいしたのだと思う。ヒザすりなんて一切ナシ。ただただチェッカーフラッグが待ち遠しかったのが忘れられない。
スポーツランド菅生でTZ125に乗った時には、半日乗って、ようやく慣れたラスト30分くらいだけ「あ!面白い!」と感じたことはある。つまり、ちゃんと乗れたら楽しい…というか、本来の性能を少しだけ感じることが出来るのだろう、それほど僕にとってはニガテ意識しか残らなかった、一般のライダーにとっては未知の乗り物なのだ、きっと。
初めてのロードレーサーから数年――。たかだか250ccの4スト単気筒だろ? 楽勝じゃんか、という気持ちも心のどこかにあるんだけれど、なにせたかだか125ccの2スト単気筒にメタメタにやっつけられた経験を持つだけに、おかしな気持ちは持たないようにしていたのだ。
けれど、新世紀のロードレーサーNSF250Rに、そのニガテ感を持つことは一切なかった。
| このページのトップへ | 次のページへ |