誕生から8年が経過し生産累計台数は400万台を突破という好調なセールスを続けていたスーパーカブだが、現状にとどまることなく将来を見据えてより静かでより耐久性を高めたSOHCのニューエンジンへのモデルチェンジが敢行された。
SOHCのニューエンジンは、元祖スーパーカブの50ではなく、まずは'64年12月C65に搭載された。
ボディは初代C100系のままエンジンのみリニューアルされるという異例の手法が取られた。
そして新型エンジンの生産が軌道に乗った'66年、いよいよスーパーカブ50もSOHCエンジンでフルモデルチェンジを行なった。
50は灯火類の大型化、各部材質、工法の変更などが行なわれイメージを一新した新設計のニューボディで登場、OHVの旧エンジンに比べ最高出力0.3ps、最大トルク0.04kg-m、最高速度5km/hの向上も果たし、新世代のスーパーカブを強くアピールした。
先行していたC65も同時に車体を一新、9月にはC90もニューデザインボディとなり、第二世代のスーパーカブが出揃った。
生産ラインを極力変更することなく大量生産が出来るようSOHCのニューエンジンとOHVの旧エンジンはマウント位置などが同寸で設計されていた。C65とC90が行なったエンジンのみ先行し車体は後に新型にスイッチするという方法は一見二度手間にも見えるが、一番需要の大きな50の為の予行の意味合いもあった。
大ヒット商品であり、絶対に失敗できないリニューアルを当時の生産キャパを最大公約数で生かしつつ無事完了したのは、技術屋ホンダらしい根回しの賜であった。
余談だが、この新型スーパーカブは、スポーツカーS600と同形状のウインカーで、先が尖った形状から「おっぱいカブ」の愛称でも呼ばれている。