初代スーパーカブ誕生の逸話は今や伝説や神話と同列なほど話題に満ちあふれている。時間の経過とともに誇張されたり想像で付け加えられた部分もあるかもしれないが、企画から販売までドラマチックかつセンセーショナルな出来事の連続であったことは間違いない。
4ストロークエンジンと手動操作不要の自動遠心クラッチ、Uボーン型のフレームとカバーされたボディは当時の常識にはない、まさに近未来からやってきた新しいコミューターであった。
2ストに比べ静かでクリーン、混合給油の手間も不要で好燃費で、乗り降りしやすく運転操作も簡単、メンテナンスも従来のモデルに比較すればほぼフリー感覚となれば爆発的にヒットするのは自明の理。需要は生産計画を大きく上回り、生産しながら材質や生産性などの改良、改善が次々に加えられたため初代C100は生産ロットにより各部に違いが見られる。
ホンダデザイン(日本出版社刊3,990円)にはスーパーカブデザイナー木村讓三郎氏のインタビュー記事が掲載されており、また付録のDVDにも木村氏のインタビュー映像や宮城 光氏によるC100の走行シーンの他、1960年の会社案内記録映画も収録されており、続々と生産され出荷されるCA100など貴重な映像を見ることができるので興味のある方はぜひ。