(2010.8.31更新しました)

はいみなさんこんにちは。今年2回目のアメリカ合衆国上陸であります。
今回の第11戦は、モータースポーツの聖地インディアナポリスモータースピードウェイが戦いの舞台。
初開催から今年で3年目を迎え、MotoGPも少しずつ現地に溶け込みだした感がありますな。
現地新聞でもフリープラクティスや予選の様子を連日詳細にレポートし、人々の関心度も見たところなかなかに良さげな様子である。
土曜午後の予選では、アメリカ人ライダーで大型ルーキーの呼び声高いベン・スピース(モンスターヤマハ・テック3)が、キャリア初となるポールポジションを獲得する快挙。
そして、もうひとりのアメリカ人選手ニッキー・ヘイデン(ドゥカティ)もフロントロー3番手とあって、アメリカ人ファンの期待は日曜の決勝レースへ向けて一気に高まってゆくのでありま した。
このサーキットはインディアナポリスの街中に位置し、アクセスが非常に良好なこともあって、日本で言えば鈴鹿サーキットのような街との一体感がある。
人々は、バイクに乗ったりクルマで来場したりあるいは近所からトコトコ歩いてやって来たり、と、それぞれに好みのスタイルでサーキットを訪れるところがいかにも<自由の国>である。
いやもちろんヨーロッパだってクルマやバイクや徒歩や電車や、と様々なアクセス方法があるわけだけれども、クルマやバイクの姿が欧州とはまるで違う。
そりゃあ日本車だって今の時代じゃあっちこっちで見かけるけれども、ピックアップトラックやビュイックやプリマスなんかの大味なルックス(←褒め言葉だよ)を目の当たりにすると、アメリカ合衆国な雰囲気はいやがおうでも盛り上がる。
となると、やっぱバイクはハーレーだよね。しかもノーヘル。U.S.GPの開催地ラグナセカサーキットのあるカリフォルニア州では、ヘルメットの着用は法律で義務づけられているようだけれども、ここインディアナ州ではノーヘルOKなのだそうである。
アメリカンローライダーのノーヘル親父たちを見ていると、まあおおらかといえなくもない気もするけれども、ハヤブサに乗ったあんちゃんたちがノーヘルなのは、さすがにちょっと危険だわな。
「法律で特に義務づけるような無粋なことはしないけど、危ないかどうかくらいは自分でちゃんと考えなよ。メット被らずに死ぬ気なら勝手にどうぞ」というような考え方なのだろうか。よくわからん。
そんなバイクが行き来する正面ゲート前に並ぶ店舗のカラーリングもまた、独特である。
映画「アメリカングラフィティ」なイメージというか、「バック・トゥ・ザ・フューチャーpart1」の1950年代っぽい雰囲気というか、あるいは、スティーヴン・キングの小説に出てくるようなたたずまいというか。きっと昔から大きく変わってないであろうこれらの風情に、この国の人は情緒や懐かしさを感じるのかもしれない。
- 西村 章
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- スポーツ誌や一般誌、二輪誌はもちろん、マンガ誌や通信社等にも幅広くMotoGP 関連記事を寄稿。訳書に『バレンティーノ・ロッシ自叙伝』『MotoGPパフォーマ ンスライディングテクニック』等。twitterアカウントは@akyranishimura。 第17回小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作『最後の王者』の年内刊行に向け て、現在鋭意加筆作業中。
ラグナセカサーキットのU.S.GPを、かつての8耐のような熱気に譬えるとするならば、このインディアナポリスGPは、自動車産業やブルースやハリウッドを生み出し育て上げてきたアメリカ合衆国の生活文化の息づかいを感じさせるような、そんな雰囲気がある(と勝手に思っているわけだ)。
で、それはともかくとして決勝レースではポールポジションスタートのベン・スピースが序盤にトップを快走するものの、途中からダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ)が首位に立って独走モード。
ベンちゃんは自己ベストの2位でレースを終えたのでありました。3位はランキングトップをひた走るホルヘ・ロレンソ(フィアット・ヤマハ)。
表彰式では、優勝したダニよりも、ベンちゃんへの歓声のほうが4.5倍ほど上回っていたよ。
ヤマハワークス入りする来年は、いったいどれほどの熱狂で迎えられるのやら。
でもそんな熱狂とは裏腹に、本人は微笑むときも、頬が油圧ダンパーで上がっているようにも見えるくらい至ってクールな性格だけに、その器の大きさに底知れぬものを感じさせるのでありました。
■第11戦インディアナポリスGP
- 8月29日決勝 インディアナポリスモータースピードウェイ 晴れ
MotoGP(完走のみ) - ●優勝 ダニ・ペドロサ HONDA
- ●2位 ベン・スピーズ YAMAHA
- ●3位 ホルヘ・ロレンソ YAMAHA
- ●4位 バレンティーノ・ロッシ YAMAHA
- ●5位 アンドレア・ドヴィツィオーゾ HONDA
- ●6位 ニッキー・ヘイデン DUCATI
- ●7位 マルコ・シモンチェリ HONDA
- ●8位 アルバロ・バウティスタ SUZUKI
- ●9位 アレックス・エスパルガロ DUCATI
- ●10位 ヘクト・バルベラ DUCATI
- ●11位 ロリス・カピロッシ SUZUKI
- ●12位 青山博一 HONDA
- ●13位 ランディ・デ・ビュニエ HONDA