2002年 ZZR1200(C1)
GPZ900R以来、フラッグシップモデルの宿命として受け継がれてきた「最高速」のパートを、2001年に誕生したブランニュースーパースポーツZX-12Rに託し、「スーパースポーツツアラー」という新コンセプトで登場した第二世代のZZR。
それゆえか、ZZR1100とは似て異なるという捉え方をされることもあるが、ZZR1100から最高速という"足枷"を外し、弱点視されていたシフトタッチや、トルクの谷などの解消に余力を注いだ正常進化モデルというのが正解だろう。
パワーユニットはGPZ900Rをベースに、GPZ1000RX、ZX-10、そしてZZR1100と延々と改良が続けられた伝統のサイドカムチェーン系列をベースに、スリーブレスのオールアルミシリンダーを採用し、改良強化されたミッションと組み合わせた。一見1100と同じに見えるフレームも、各部のディメンジョンが全く異なる専用設計となった。
ZZR1100の北米仕様は「Ninja ZX」の名称で呼ばれ、車体にもZZRではなくZXとマーキングされていたが、ZZR1200では全世界共通でZZRの名が使われることになった。新しいフラッグシップに当たるZX-12Rが登場したことも影響しているが、「スピードツアラーZZR」のブランドを全世界に発信するという意味もあった。
なおZZRの表記はZZRやZZ-Rなど表記が混在していたが、国内では2003年にカワサキモータースジャパンが正式にZZRに統一し、現在は各メディアもZZR表記にほぼ統一されている。
●エンジン:水冷4ストローク4気筒DOHC4バルブ●総排気量(内径×行程):1164cm3(79×59.4mm)●最高出力:112kw(152ps)/9800rpm●ラム加圧時:118kw(160ps)/9800rpm●最大トルク:124N·m(12.6㎏-m)/8200rpm●圧縮比:10.6 ●変速機:6速リターン●全長×全幅×全高:2160×755×1245mm●軸距離:1505mm ●最低地上高:130mm●シート高:800mm ●乾燥重量:236kg ●燃料タンク容量:23L●タイヤ前・後:120/70-17·180/55-17※諸元は欧州仕様
2003年モデルは欧州仕様も北米仕様も共通でギャラクシーシルバーがムーンライトシルバーに、キャンディライティングブルーがキャンディサンダーブルーへと微妙なカラー変更のみ。パールミスティックブラックはそのまま継続された。
2004年 ZZR1200(C3)
C3ではC1から継続されていたパールミスティックブラックが廃止され、ムーンライトシルバーとキャンディサンダーブルーの2色のラインナップとなった。
ZZR1200の最終型C4はカラーリングが一新され全世界共通でメタリックオーシャンブルー1色のみになってしまった。ZZR1200はC1からC4までモデルチェンジはなく、基本的にカラー変更のみで生涯を終えた。
2003年東京モーターショーには、近未来のZZRをイメージしたコンセプトモデルZZR-Xが展示された。
ハイスピードツアラーの理想型を目指し、ハイスピードツアラー、ツアラー、スポーツの3つのモードに合わせて、ポジションやバイクの形態が変化する。
ショー向けのコンセプトモデルをほとんど製作しないカワサキだけに、いかにZZRコンセプトに力を入れているかの証でもあった。現在も神戸のカワサキワールドで常設展示されている(はず)。
●撮影─楠堂亜希
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