CRF250R 766,800円(9月18日発売)
★ホンダ CRF250R 車両解説
CRF250Rの2016年モデルは、さらなるパワーアップとフロントサスを改良
2000年のMFJモトクロス日本グランプリで、CRF450Rのプロトタイプ車が世界に先駆けてデビュー。そして翌年の2001年から全日本モトクロス選手権シリーズ及び、AMAモトクロス選手権でワークスチームが使用して活躍、本格的な4ストロークモトクロッサーの時代が幕を開けた。そしてこの年の11月10日にCRF450Rが市販開始されている。
4ストロークエンジンを搭載する新時代のモトクロッサーCRFファミリーの一員として、CRF250Rが登場したのは、CRF450Rの発売から2年遅れの2003年11月。以来、イヤーモデルごとに戦力アップがはかられてきているCRF450RとCRF250Rだが、登場時期と同様、それぞれの進化の度合いは毎年異なったスケジューリングで行われてきている。
2012年モデルのCRF250Rは、エンジン面ではスロットルボディの小径化を図るとともに、コネクティングチューブ、吸気ポート、排気ポート、エキゾーストバルブの形状変更が行われ、車体周りではCRF450Rと共通するサスのチューニングやワイドフットペグの採用などが行われた。2013年モデルではCRF450Rがフルモデルチェンジを受けたのに対して、フロントフォークのダンパー部のピストン径のアップ、バネレートの変更が行われ、また新パターンのフロントタイヤの採用が行われた程度で、いわゆる戦闘力アップの熟成マイナーチェンジが行われたのみだった。
そして2014年モデルで、CRF250Rにフルモデルチェンジの番がやってきた。エンジンでは全域でトルクフルなパワーを生み出す新設計ピストンと燃焼室形状の採用、混合気の充填効率を高める吸気通路形状の最適化、低中速のパワー感とスロットルレスポンスを両立させる燃料噴射方式“デュアル・ステージ・フューエルインジェクション(1サイクル2度噴射制御)”の採用などが行われた。サイレンサー全長を短くすることで慣性マスの集中を行い、また、同時に左右対称配置で得られる重量バランスの良さから高い車体安定感と軽快感を生み出すショートデュアルマフラーを採用。排気圧を最適化する整流板を取り付けた新型エキゾーストパイプも導入されている。
車体回りでは第6世代の新設計アルミツインチューブフレームを採用。フロントの接地感とリアトラクションの向上などを目標にヘッドパイプとメインパイプの結合部を下方に移動させ、ヘッドパイプまわりの剛性を最適化。リアクッション上部とメインパイプ、ピボットプレートをより近づけて剛性を上げ、作動性を向上。リアフレーム上下パイプ間の角度を大きくし、各ガセット類の軽量化などが行われた。また、この新型フレームは低重心化とマス集中化を狙ったレイアウトを徹底していることも特徴だ。ECU、コンデンサー、レギュレーター、ワイヤーハーネスなど、各電装部品もグラム単位で軽量化し、同時に車体中心付近に配置させてマス集中化に貢献している。
足周りでは、縦、横剛性を最適化した新設計のスイングアームを採用。パイプの形状を見直し、従来よりも縦剛性を大幅に上げつつ横剛性を適切に保つことで、しなやかさと路面をしっかり捉える剛性感を両立させているという。フロントフォークは従来モデルを熟成し新設計の車体に合わせてセッティング。マス集中化と共に軽快感を最大限に引き出した車体レイアウトとのマッチングを図っている。おなじみのホンダプログレッシブステアリングダンパーは継続採用。
スタイリングでは、ジャンプ中もより扱いやすいように必要最小限の外装部品、徹底したマス集中化による軽快で俊敏な動きへの寄与、そして“マンマキシマム・メカミニマム”MM思想によりダイナミックで自由なライディングアクションに対応、という3点をキーワードに進化させたという。
2014年9月に登場した2015年モデルはフルモデルチェンジが行われた翌年のモデルということもあってマイナーチェンジのみで、フロントフォークにエアサスペンションを採用し、エンジンは、3種類のエンジン特性モードを手元で切り替えられるエンジンモードセレクトスイッチとインジケーターが新たに採用された程度。
今回登場の2016年モデルも改良版といえるもので、エンジンの出力向上を目的に、吸排気系部品の素材変更も含めて見直しを実施。また、PGM-FIのセッティングの最適化も行われ、特に高回転域での出力アップとドライバビリティーの向上が図られている。それ以外では、フロントサスペンションが、フォークの内部構造の見直しに加え、アウターチューブに空気弁を追加、より細かなサスペンションセッティングを可能にするとともに、初期作動性能を向上させ、サスペンションの動きの良さと反力を両立させるという改良が行われた。同時に2016年モデルが発表されたCRF450Rの方も熟成のマイナーチェンジ。
★HONDA プレスリリースより (2015年8月7日)
モトクロス競技専用車「CRF250R」「CRF450R」の2016年型モデルを発売
Hondaは、世界各地のレース活動などで培った先進技術を投入した、水冷・4ストロークエンジン搭載のモトクロス競技専用車「CRF250R」と「CRF450R」の仕様を一部変更し、2016年型モデルとしてそれぞれ9月18日(金)に受注期間限定※1で発売します。
CRF250Rは、エンジンの出力向上を目的に、吸排気系部品の素材変更も含めて見直しを実施。併せて、PGM-FI※2のセッティングを最適化するなど、エンジンの高回転域での出力向上とドライバビリティーの向上を実現。
フロントサスペンションは、フォークの内部構造の見直しに加え、アウターチューブに空気弁を追加。より細かなサスペンションセッティングを可能にするとともに、初期作動性能を向上させ、サスペンションの動きの良さと反力を両立させました。
CRF450Rは、さらなる走行安定性の向上を目指し、フロントフォークの全長を5mm延長し、車体姿勢を最適化。さらに、リアサスペンションのセッティングを見直して高いトラクション性能を実現しています。
スタイリングは、CRF250R、CRF450Rともに、2015年型モデルを踏襲。燃料タンク側面のシュラウドには、(株)ホンダ・レーシング(HRC)のワークスマシンをイメージさせるストライプを施しています。車体色にはHondaのモトクロスマシン伝統のエクストリームレッドを採用し、躍動感あふれるスタイリングとしています。
※1 受注期間は2015年8月7日(金)から12月10日(木)まで
※2 PGM-FIは、Hondaの登録商標です
- ●販売計画台数(国内・年間)
- CRF250R 100台
- CRF450R 20台
- ●メーカー希望小売価格
- CRF250R 766,800円(消費税抜き本体価格 710,000円)
- CRF450R 907,200円(消費税抜き本体価格 840,000円)
- ※価格にはリサイクル費用を含みます
- ※このCRF250R、CRF450Rは、公道および一般交通の用に供する場所では一切走行できません。また、登録してナンバープレートを取得することもできません
- ※走行場所には十分注意しましょう。私道や林道、河原、海辺などの公共の道路以外の場所でも、人や車が自由に出入りできるところは道路とみなされ、道路交通法および道路運送車両法の違反になります
- =CRF250R 2016年モデルの主な変更点=
- ●エンジン
- Honda独創のメカニズムで、実績のあるユニカムバルブトレイン採用の水冷・4ストローク・4バルブエンジンは、下記の変更を行うことで特に高回転域の出力向上と扱いやすいドライバビリティーを両立しています。さらに、走行フィーリングの向上を目的に、細部の見直しを図りました。
- ・エキゾーストバルブにチタンバルブを採用
- ・軽量化を図った、ピストンおよびコンロッドを採用
- ・圧縮比の向上
- ・カムシャフトのインレットおよびエキゾーストのカム形状を変更し、バルブリフト量を拡大
- ・インレットポートの形状とコネクティグチューブダクトの形状を最適化
- ・エキゾーストパイプへのレゾネーター追加と、エキゾーストマフラーのパイプ径拡大
- ・左側ラジエーターの全長を伸ばし、冷却効率を向上
- ・シフトストッパーにローラーを採用することにより、シフトチェンジフィーリングを向上
- ●足回り
- エンジンの出力向上に合わせ、トラクション性能の向上とフロントフォークの初期作動性の向上を目指し、仕様の変更を行うとともに、細部の見直しを図りました。
- ・より細かなサスペンションセッティングを可能とする、アウターチャンバー用の空気弁をアウターチューブに追加
- ・フリクションの軽減を目指し、フロントフォーク摺動部の構造と形状を最適化
- ●その他
- ウェットコンディションの走破性を向上させる、ステップブラケットの形状を最適化
- =CRF450R 2016年モデルの主な変更点=
- ●足回り
- ・フロントサスペンションの全長を5mm延長し、車体ディメンションを最適化
- ・アウターチューブ剛性の最適化
- ・リアサスペンションのセッティングとリンク比を最適化
- ・より細かなセッティングが可能となる、フロントおよびリアサスペンションの調整幅を最適化
- ●その他
- ウェットコンディションの走破性を向上させる、ステップブラケットの形状を最適化
★主要諸元
車名型式 | ME10〈PE05〉 | |
---|---|---|
CRF250R〈CRF450R〉 | ||
発売日 | 2015年9月18日 | |
全長×全幅×全高(mm) | 2,181〈2,194〉×827×1,271〈1,274〉 | |
軸距(mm) | 1,489〈1,494〉 | |
最低地上高(m) | 0.322〈0.332〉 | |
シート高(m) | 0.951〈0.955〉 | |
車両重量(kg) | 105.6〈110.6〉 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | - | |
燃費(km/L) | - | |
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転小半径(m) | - | |
エンジン型式 | - | |
水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 249.4〈449.7〉 | |
内径×行程(mm) | 76.8〈96.0〉×53.8〈62.1〉 | |
圧縮比 | 13.8〈12.5〉 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | - | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | - | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式 | プライマリーキック式 | |
点火方式 | フルトランジスタ式デジタル点火 | |
潤滑油方式 | - | |
潤滑油容量(L) | - | |
燃料タンク容量(L) | 6.3 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式5段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.357〈1.800〉 |
2速 | 1.888〈1.470〉 | |
3速 | 1.555〈1.235〉 | |
4速 | 1.333〈1.050〉 | |
5速 | 1.136〈0.909〉 | |
減速比1次/2次 | 3.166〈2.739〉×3.769〈3.692〉 | |
キャスター(度) | 27°23′〈27°15′〉 | |
トレール(mm) | 118.0〈117.0〉 | |
タイヤサイズ | 前 | 80/100-21 51M |
後 | 100/90-19 57M〈120/80-19 63M〉 | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式(倒立タイプ) |
後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
フレーム形式 | アルミツインチューブ |
※〈 〉内はCRF450Rのデータです