ベンリィ/ベンリィ プロ 232,200円/243,000円(8月27日発売)
★ベンリィ/ベンリィ プロ 車両解説
新世代のホンダビジネススクーター、ベンリィが新世代eSPエンジンを搭載してモデルチェンジ
“世界のスーパーカブ”が、いよいよ“普通のオートマチック”を備えたビジネス・スクーターに駆逐されようとしている。それは、実際に使用する現場の若者達にとって、スーパーカブの独特の乗り味や、ギアシフトの負担は想像以上に大きかった、ということなのだろうか。
新聞配達に代表される原付ビジネスバイクの世界に変化が訪れたのは、1994年9月にヤマハのギアが登場してからといえるだろう。それまでの配達業務に使われるバイクといえば、メーカーこそ変われど、すべて“カブ・スタイル”のビジネスモデルだった。長年に渡って培われ、いわば常識ともなっていたその牙城に風穴を開けたのがギアだった。
戦後の日本の経済を支えた“頑丈で壊れない”スーパーカブの時代から、豊かさが当たり前、ビジネスモデルでも“軽快で乗りやすい”へと時代は替わったのだ。で、カブ・スタイルの本家本元、ホンダとしても“普通のオートマチック”を採用するビジネスモデルをリリースせざるを得なくなったのが2011年の9月のこと。ついに登場した“普通のオートマチック”を搭載した原付ビジネスモデルが「ベンリィ」だった。
ちなみに「ベンリィ」といえば1960年代から’70年代にかけて、スポーツモデルからビジネスまで一大勢力を誇ったホンダの由緒正しきブランド名だ。しかしその後、大型化するスポーツモデルとともに「ドリーム」の名称にお株を奪われて、ビジネスモデルの専用ブランド名となってしまった経緯がある。あらためてそんな説明が必要なほど、スポーツモデルも含めた「ベンリィ」の伝統は遠い昔のヒストリーになってしまったが。
いや、そんな遠い昔のことは知らなくても、1996年4月に突然、かつての姿をそのまま持ってきたような復刻スタイルでリリースされたベンリィ50S、ベンリィ90Sならご存じの方も多いだろう。レトロスポーツのモデル名としてのベンリィだ。あれこそが’70年代当時のベンリィ・スタイルだった(2007年1月のカラーリング変更まで生き延びていた)。
その後のビジネスモデルとしてのベンリィは、スーパーカブと並ぶ地道なベストセラーとしてホンダのビジネスモデルの一翼を担い続けてきた。そして2000年代に入ってからもその名は続いていたのだが、ここ数年は途絶えてしまっていた。それでもベンリィといえば“オーソドックスなスタイルのビジネス車”のイメージはしっかり残っていたことだろう。
そんな中、2011年9月に「ベンリィ」は、満を持して復活している。ケータリングサービスなどにも適した実用一点張り、質実剛健のスタイルと“普通のオートマチック”スクーターの使いやすさを全面に押し出したモデルだった。
また、同時に大型のフロントバスケットとリアキャリアを装備、フットブレーキを追加してより業務仕様に徹したベンリィ プロもラインナップされている。
その後2012年2月には、それまで「パールホワイト」という白一色だったボディカラーにプラスして、パーソナルユースにも対応した「パールホワイト×ブラウン」と「オニキスブルーメタリック×ブラック」の新色2色が追加設定された。
今回は、エンジンを同じ4ストロークでも空冷から最新のテクノロジーにより開発された水冷“eSP”に変更し、さらなる実用性と経済性を高めている。また信頼性と耐久性もアップし、低中速域のトルク特性も向上しているという。その他、ACGスターターの採用により静粛性を向上、専用設計の扁平マフラーの採用と短軸長リアアクスルシャフトの採用によりマフラーを取り外さずにタイヤ交換が可能となっている。
★HONDA プレスリリースより (2015年7月30日)
ビジネス用50ccスクーター「ベンリィ」「ベンリィ プロ」に水冷・4ストロークエンジン「eSP」を採用するとともに、ベンリィ シリーズ全車の使い勝手と整備性を向上させ発売
Hondaは、新聞配達や宅配などのビジネスシーンで求められる取り回しの良い車体サイズや、優れた実用性と経済性をさらに磨き上げ、定評のある水冷・4ストロークエンジン「eSP(イーエスピー)」を搭載したビジネススクーター「ベンリィ」と、積載性を高めた「ベンリィ プロ」を8月27日(木)に、またメンテナンス性を向上させた「ベンリィ 110」および「ベンリィ 110 プロ」を9月10日(木)にそれぞれ発売します。
ベンリィシリーズは、クラス最大※1の大容量10L※2のフューエルタンクを採用するとともに、オートマチックトランスミッションの採用により、クラッチ操作を必要とせず簡便に操作できる扱いやすいビジネスモデルです。
今回、「ベンリィ」「ベンリィ プロ」に新たに50cc水冷・4ストロークエンジン「eSP」を搭載し、優れた実用性と経済性を実現。装備面でも携帯電話などの充電に便利なアクセサリーソケットを標準装備するなど、ビジネスモデルとして更なる機能向上を実現しました。
また、エンジンの水冷化により、ビジネススクーターとして必要な信頼性と耐久性に加え、低・中回転域でパワフルなトルクを発生し、荷物積載時の坂道でも力強い登坂力を実現。ACGスターターの採用で向上した静粛性は、早朝などの市街地における集配業務で効果を発揮します。
さらに、専用設計の扁平マフラーの採用と短軸長リアアクスルシャフトの採用により、マフラーを取り外さずにタイヤ交換を可能にするとともに、汎用性の高いタイヤサイズを採用するなど、優れたメンテナンス性を実現しました。
「ベンリィ 110」は、ビジネススクーターとして使い勝手のさらなる向上を目指し、ベンリィ同様にスパークプラグメンテナンスリッドの大型化や、使用頻度の多いサイドおよびメインスタンドの耐久性を向上させるなど熟成を図っています。
「ベンリィ プロ」「ベンリィ 110 プロ」は、ベースモデルに大型フロントバスケット、フットブレーキ、大型リアキャリアを装備し、より積載性を高めたモデルです。
Hondaのビジネスモデルは、スーパーカブシリーズや三輪スクーターのジャイロシリーズと併せ、豊富なラインアップでお客様のさまざまな用途に応えられるものとしています。
※1 Honda調べ 原動機付自転車第一種クラス
※2 Honda調べ
- ●販売計画台数(国内・年間)
- シリーズ合計 6,000台
- ●メーカー希望小売価格(消費税8%込み)
- ベンリィ 232,200円(消費税抜き本体価格 215,000円)
- ベンリィ プロ 243,000円(消費税抜き本体価格 225,000円)
- ベンリィ 110 273,240円(消費税抜き本体価格 253,000円)
- ベンリィ 110 プロ 284,040円(消費税抜き本体価格 263,000円)
- ※価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。
- =主な特長=
- ●信頼性の向上
- 「ベンリィ」「ベンリィ プロ」は、原付スクーターのDunkやTACTに採用されている、優れた経済性と信頼性の高い、50cc水冷・4ストロークエンジン「eSP」をベースに、ビジネス車として必要な力強いトルクを設定し、ドライブベルトの耐久性、汎用サイズのスノーチェーンを装着可能とする専用設計の駆動系を採用。荷物積載時などでも確かな登坂力を確保しつつ、65.2km/L(30km/h定地走行テスト値)の低燃費を実現しています。
- また、ベンリィ シリーズで使用頻度の多いサイドスタンドは、リターンスプリングを複数化して信頼性を向上させるとともに、接地ポイントの最適化により、傾斜地での駐車安定性を向上。メインスタンドは、ビジネス用途にふさわしい強度の確保と、スタンド操作時の荷重軽減も図りました。
- ●メンテナンス性の向上
- ・マフラーを取り外さずにリアタイヤの脱着を可能としたレイアウトの採用(ベンリィ、ベンリィ プロ)
- ・リアタイヤにタイヤサイズ適合性の高い110/90-10 61Jを採用(ベンリィ、ベンリィ プロ)
- ・調整時に工具の使用頻度を軽減するテーパー締結構造をバックミラーに採用(シリーズ全車)
- ・スパークプラグや、サイドスタンド周りの点検が一度にできる大型メンテナンスリッドの採用(シリーズ全車)
- ・フロントカバーを取り外さずに調整可能とした、コンビブレーキ※3アジャスト機構の採用(ベンリィ、ベンリィ 110)
- ・日常点検でエンジンオイルの汚れや量の確認を容易にする、オイルファインダー(点検窓)の採用(ベンリィ、ベンリィ プロ)
- ・エンジンオイル交換時の作業性向上のため、エンジンの左側面下部にオイルドレンボルトを追加(ベンリィ、ベンリィ プロ)
- ※3 Honda独自の前・後輪連動ブレーキ
- ●取り扱い性の向上
- ・荷物の積み降ろしを容易にするため、リアキャリア高※459.5mmを実現
- ・ビジネス用途に欠かせないリアキャリアを大型化※5するとともに、荷かけフック位置を最適化
- ・停車時の足つき性向上のために、シート高710mmはそのままに、ステップフロア左右をそれぞれ15mm狭幅化
- ・傾斜地駐車の補助機能として、片手で操作可能なフロントブレーキレバーロック機構を装備(シリーズ全車)
- ※4 メインスタンド使用時は620mm
- ※5 ベンリィ、ベンリィ 110(長さ502mm×幅509mm)ベンリィ プロ、ベンリィ 110 プロ(長さ542mm×幅509mm)数値は小数点以下切り捨て
- ●装備
- ・フロントボックスの取り付けを容易にするフロントキャリアを、ベンリィ、ベンリィ 110に標準装備
- ・携帯電話などの電源確保に役立つアクセサリーソケットをベンリィ、ベンリィ プロに標準装備
- ●車体色
- ・ロスホワイト
- ●ベンリィ プロおよびベンリィ 110 プロの専用装備
- ・発進・停止の多い配達業務などに便利なフットブレーキ(ブレーキロック機構も装備)
- ・積載性の高い大型フロントバスケットと大型リアキャリア
- ・時計表示機能がある視認性に優れた大型のメーター
- ・買い物袋やバッグなどがかけられるリング状の大型フックを装備
- ・集配業務で雨風などから手を守るナックルバイザー
★主要諸元
車名型式 | JBH-AA05 | |
---|---|---|
ベンリィ〈ベンリィ プロ〉 | ||
発売日 | 2015年8月27日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.830〈1.845〉×0.690〈755〉×1.035 | |
軸距(m) | 1.280 | |
最低地上高(m) | 0.115 | |
シート高(m) | 0.710 | |
車両重量(kg) | 110〈113〉 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | 1 | |
燃費消費率(km/L)※6 | 65.2(国交省届出値 定地燃費値 30km/h 1名乗車時) | |
51.8(WMTCモード値※7 クラス1 1名乗車時) | ||
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転小半径(m) | 1.9 | |
エンジン型式 | AA05E | |
水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ | ||
総排気量(cm3) | 49 | |
内径×行程(mm) | 39.5×40.3 | |
圧縮比 | 12.0 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 3.2[4.4]/7,750 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 4.2[0.43]/6,000 | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式 | セルフ式(キック併用) | |
点火方式 | フルトランジスタ式バッテリー点火 | |
潤滑油方式 | 圧送飛沫併用式 | |
潤滑油容量(L) | - | |
燃料タンク容量(L) | 10 | |
クラッチ形式 | 乾式多板シュー式 | |
変速機形式 | 無段変速(Vマチック) | |
変速比 | 1速 | 2.970~0.830 |
キャスター(度) | 26°30′ | |
トレール(mm) | 76 | |
タイヤサイズ | 前 | 90/90-12 44J |
後 | 110/90-10 61J | |
ブレーキ形式 | 前 | 機械式リーディング・トレーリング |
後 | 機械式リーディング・トレーリング | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | ユニットスイング式 | |
フレーム形式 | アンダーボーン |
※6 燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞など)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります
※7 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果に基づいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます
※ 製造事業者/五羊−本田摩托(広州)有限公司 製造国/中国 輸入事業者/本田技研工業株式会社