E-Vino 236,520円(8月20日発売)
★ヤマハ E-Vino 車両解説
レトロポップなお洒落スクーター、ビーノに電動版が登場
ヤマハの市販電動バイクのヒストリーは、2002年11月に一部地域限定、翌2003年5月に全国発売が開始されたヤマハの電動バイク、Passolに始まる。由緒あるヤマハの原付スクーター名を与えられた電動バイク(Passolは定格出力から原付クラスに分類された)だったが、時代が早すぎた、というべきか一般に普及するまでには至らなかった。それでもヤマハが描く近未来の都市部でのコミューター像を示すには充分に話題を集めたモデルだった。
そして’05年5月には、特異な五角形のボディカバーにより、まさにデザインルームから抜け出してきたようなスタイルと“トランクバイク”というユーティリティも提案したEC-02が登場している。またこのモデルの発売半年後の11月には、Passolのモデルチェンジ版といえるPassol-Lも発売されている。ヤマハ電動バイクがひとつのピークを迎えた年といってもいいだろう。
そもそもヤマハの電動スクーターは、1991年の東京モーターショーに出展した電動スクーター「FROG」が始まりだ。そして、1993年には電動ハイブリッド自転車(当時は電動アシストではなく電動ハイブリッド自転車などと呼ばれていた)「PAS」を市販するなど、ヤマハは電動コミューターに関して実に四半世紀近くの歴史を残してきている。ただ’05年以降はバッテリー問題があったりで、電動バイク市場への積極的なアプローチは行われてこなかったが、2010年9月に発売されたEC-03の存在により、実は途絶えることなく連綿と開発は続けられてきていたのが分かる。「5年間の空白があったわけではなく、このところの世間一般の環境意識の急激な高まりで、いよいよ電動バイクの出番が回ってきた、ということです」とした開発陣の言葉にも力がこもっていた。
ちなみにこのEC-03では、新たに三洋電機製の高エネルギー密度の50Vリチウムイオンバッテリーを得たことで、一充電あたり43km(30km/h定地)の走行距離を確保し、実際の公道走行に即したケースでも一充電で25kmの走行が可能とされた。
モーターはEC-02でも採用されていたYIPU(ヤマハ・インテグレイテッド・パワー・ユニット)という超薄型パワー・ユニットをさらに熟成。従来モデル比で10~15%、トルクを向上させている。このYIPUを遊星減速機と組み合わせることで、常に滑らかで快適な走行を可能としているのはEC-02からの特徴だ。
EC-03では、運用上でも大きな変更点があった。それまではバッテリーを取り外して家庭内で充電するという電動アシスト自転車などと同様の充電方式だったのに対して、EC-03では充電器も車体側に組み込み、シート下に収納された電源コードを伸ばして、家庭の100V電源コンセントにつなぐことで直接充電する“プラグイン充電方式”に変更されたのだ。万が一走行途中で電気を使い切ってしまった場合でも、一般の家庭用電源コンセント(ただしアースが取れるコンセントに限るが)から充電できるという安心感の方を選んだ結果という。フル充電するには約6時間(100V2A、急速充電はこの時点では未対応)かかるが、電気代はわずか約18円程度の見当だという。今回のE-Vinoでは、手軽さの方を選んでバッテリー着脱式に回帰したといえる。
EC-03の発表時に行われたヤマハの柳 弘之代表取締役社長の『中期成長戦略「スマートパワー」への取り組み--電動二輪車について--』という発言の中で、ヤマハは「今後、世界の電動二輪車市場へ参入(2010年代の中頃には電動バイクは30~50万台規模の市場に成長すると予想していた)、2010年代中頃までにヤマハは新たに3~4機種の電動二輪車を発表する、そして電動二輪車の普及、環境の整備にあたる」と説明されていたことも付け加えておこう。
今回のE-Vinoの特長は、その名の通り、レトロポップ”なデザインで若い女性を中心に人気のビーノをベースにガソリンエンジンから電気モーターへとパワー源を変更したことで、“特別な存在”としていたこれまでの電動バイクのあり方から、単に、走行パターン、使用形態に合わせてガソリンエンジン版を選ぶも良し、電気モーター版を選ぶも良し、と選択肢の一つ、的な扱いにしたことが最大の特徴といえるだろう。
それだけ電動バイクというものをごくごく普通の乗り物として普及させたいというヤマハの強い意志が感じられる。
EC-03からのメカニズム的な変更点では、まず充電時間の半減が上げられる。従来の6時間が半分の3時間でフル充電できるようになった。この違いは使い勝手という観点からは、大きなポイントだろう。バッテリーの管理は、手軽な屋内充電を目指して着脱バッテリー式に変更された。1充電あたりの電気代も約14円と経済的になっている。また、モーターの電流制御に“全域正弦波モーター電流”システムを採用することで、スタート時のスムーズ感がより向上している。モードも「STANDERD」「POWER」そしていざというときに30秒間のみ使える「BOOST」の3モードに切り替えが可能だ。
バッテリーマネージメント面でも、10分割残量表示ときめ細かく表示することで、従来は40%程度の残量でも充電を行ってしまっていたパターンから開放され、本当に充電が必要なレベルまで安心して使えるようにシステムを変更している。電池をイメージしたバーグラフによる残量表示と、見やすいデジタル残量表示を併用している。オプションで29km走行可能な予備バッテリーも用意されている。
★YAMAHA プレスリリースより (2015年7月29日)
レトロポップでお洒落なスクーター「Vino」がEVで登場
エレクトリックコミューター第4弾「E-Vino」(原付一種)新発売
ヤマハ発動機株式会社は、エレクトリックコミューターの第4弾モデルとなる、「E-Vino(イービーノ)」を2015年8月20日より発売します。
「E-Vino」は、レトロポップなスタイルで人気の原付1種スクーター「Vino」をベースに、EVならではの滑らかな走りを活かし“楽しい乗りもの”を提供する当社の技術思想“Smart Power”に基づいて開発した製品です。「Vino」のお洒落なスタイリングはそのままに、高度なモーター出力制御によるスムーズな加速感や極低速での優れた実用トルク、着脱式バッテリーによる容易な充電、短い充電時間などが特徴で、近距離移動に適しています。
本製品の製造はヤマハモーター台湾で行います。
- <名称>
- 「E-Vino」
- <発売日>
- 2015年8月20日
- <メーカー希望小売価格>
- 「E-Vino」236,520円(本体価格 219,000円/消費税 17,520円)
- ※メーカー希望小売価格(リサイクル費用含む)には、保険料、税金(除く消費税)、登録などに伴う諸費用は含まれません。
- <カラー>
- ・ビビッドイエローイッシュレッドメタリック(オレンジ/ホワイト)
- ・ホワイトメタリック(ホワイト)
- <販売計画>
- 1,500台(年間/国内)
- ■製品化にあたって
- 当社が2002年に量産初の電動二輪車「Passol(パッソル)」を発売して以降、環境保全機運の高まりを背景に新規参入モデルもあり、今日国内での電動二輪車需要は年間約6,000台(2014年当社推定)と、暮らしを支えるパートナーとして注目されています。
- 今回の「E-Vino」は、都市部に生活拠点があり、例えば駅までの移動や買い物など半径5km圏内を用途とする女性層とアダルト層、およびガソリン補給を煩わしく感じる方々をターゲットに開発しました。また、現行「Vino」同様、カジュアル志向の10~20代前半の女性層に似合うボディカラーを設定しました。
- 主な特長
- 1) エネルギー密度のリチウムイオンバッテリー
- 50Vの高エネルギー密度・リチウムイオンバッテリーを搭載しています。低速域での出力向上に対応させ、ショートレンジ移動で求められる走行距離を確保、満充電での走行距離は29km(30km/h定地)※です。シート下は約10ℓの収納スペースがあり、予備バッテリーも収納できます。(予備バッテリー搭載は、専用のオプションパーツが必要)
- このバッテリーは着脱式で家庭用100V電源(2極プラグ)から充電できます。充電時間は約3時間です。
- ※標準モード、乗員重量55kg、バッテリー新品、気温25℃、乾燥路⾯、無⾵
- 2) 2種から選べる走行モード、登坂発進などで役立つ「ブースト」機能を装備
- 走行条件に応じてモーターの駆動力を「標準」「パワー」にモード切り替えが可能となっています。また登り坂などで一時的により登坂性を求めるときに役⽴つ「ブースト」機能を備えました。右ハンドルスイッチのボタンを押すと30秒間作動し、登り坂での発進などに対応します。
- 3) デジタル液晶の多機能メーター
- デジタル表示の液晶スピードメーターを採用しました。液晶面では、速度、バッテリー残量、走行モード、オド・トリップ等を表示します。盤面下には、走行モード・項目切り替え(トリップ/オド/5~100%表示バッテリー残量表示)などのスイッチを設けた親切設計としました。また、ホワイト盤面にオレンジのポイントカラーを配し、ポップさを表現しています。
- 4) 快適な乗り心地を支える軽量ボディ
- 車両重量は68kgと一般的なスクーターより軽く、優れた取り回し性を備えています。ゆったりしたライディングポジションや広々としたフットボード、クッション性の良いサスペンションなどは、現行の「Vino」と同じ仕様で、快適な乗り心地を支えています。
- 5) ロスが少なく極低速でのトルクに優れたDCモーター
- 動力源は、3相ブラシレスDCモーターで、ロスの少ないギア駆動方式としてEVならではの滑らかな乗り心地と動力性能、静粛性を備えています。モーターの出力制御は、バッテリー状況や走行状況などを反映するコントローラーの統合制御となっています。
- 6) カラーリング、デザインの特徴
- ボディには「e」マークを右レッグシールドにアシンメトリーでおき、サイドカバーにも「e」マークをあしらい、おしゃれ感を表現しています。
- フラッシャーボディは、車体色とバランスするホワイトとしてクールな印象を強調しています。リアサスペンションとホイールは、車体色にあわせホワイトとしました。特にリアのホワイトスプリングは、吸気・排気系装置がない「E-Vino」のシンプルなリアまわりからクリーンイメージを印象づけると同時に、ワンポイントのアクセントとなっています。
- 「E-Vino」フィーチャーマップ
- ・デジタル液晶メーター
- ・35W/35W ハロゲンヘッドライト
- ・ホワイトボディのフラッシャーランプ
- ・ホワイトホイール及びチューブレスタイヤ
- ・便利なフロントポケット
- ・着脱式小型軽量50V新リチウムイオンバッテリー(容量10AH)
- ・フューエルインジェクション採用
- ・家庭用100V電源(2極プラグ)から付属の充電器で充電が可能(充電時はバッテリーを取り外す必要があります)
- ・リニアなパワーを引き出す電子スロットル
- ・一時的に駆動力を増加させるブースト機能
- ・キーシャッター
- ・コンビニフック
- ・クリーンな印象のホワイトサスペンション
- ・前後130㎜径ブレーキ
- ・3相ブラシレスDCモーター
- ・滑らかな制御を支えるコントローラ
- ・予備バッテリー(別売)または小物が収納可能なシート下トランク(約10ℓ)
- ★印は「パープリッシュレッドメタリック5」のフィーチャー
★主要諸元
車名型式 | ZAD-SY11J | |
---|---|---|
E-Vino | ||
発売日 | 2015年8月20日 | |
全長×全幅×全高(m) | 1.675×0.660×1.005 | |
軸距(m) | 1.160 | |
最低地上高(m) | 0.095 | |
シート高(m) | 0.715 | |
車両重量(kg) | 68 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | 1 | |
一充電走行距離(定地)(km)※1 | 29(定地 30km/h) | |
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転半径(m) | 1.8 | |
原動機種類 | Y809E | |
交流同期電動機 | ||
定格出力(kW) | 0.58 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 1.2[1.6]/3,760 | |
最大トルク(N・m/rpm) | 7.8/330 | |
バッテリー種類 | リチウムイオンバッテリー | |
バッテリー電圧/容量 | 50V-10AH(10H) | |
バッテリー充電電源 | 定電流・定電圧充電 | |
充電時間※2 | 約3時間 | |
駆動方式 | ギア | |
一次減速比 | 9.400(47/15×39/13) | |
キャスター(度) | 24°05′ | |
トレール(mm) | 70 | |
タイヤサイズ | 前 | 90/90-10 41J(チューブレス) |
後 | 90/90-10 41J(チューブレス) | |
ブレーキ形式 | 前 | 機械式リーディング・トレーリング |
後 | 機械式リーディング・トレーリング | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | ユニットスイング | |
フレーム形式 | バックボーン |
※1:1充電走行距離(定地)の測定条件/標準モード、乗員重量55kg、バッテリー新品、気温25℃、乾燥路面、無風
※2:バッテリー新品、バッテリー残量ゼロから満充電した場合。充電時間は充電環境に左右されます。最適な環境は15℃~25℃です。