タケさんのオフロード万歳! 第1回 「CRF125F にモトクロス好きが乗ったら?」

我がWEBミスター・バイク&ミスター・バイクBGチームが、メディア対抗リレーで見事優勝したことは、すでにお伝えした。
その時のマシンはHonda CRF125Fだ。初心者にも取り回しやすい車体サイズと、扱いやすく力強い出力特性のエンジンが自慢のモデルである。
今回のメディア対抗リレーに、残念ながら出られなかった我がチームの契約ライダーでもある鈴木“タケさん”武仁さんが、「そんなに良いのだったら一般のモトクロス好きライダーにも乗ってもらって、インプレッションを聞いてみよう」と言い出した。んじゃ、タケさんヨロシクお願いします。

訃報

●レポート・写真──鈴木武仁
協力──ホンダモーターサイクルジャパンhttp://www.honda.co.jp/motor/

 2015年5月24日(日)、埼玉県川越市ウエストポイント“オフロードビレッジ”で開催されたHondaオフロードミーティング会場での事です。
 WEBミスター・バイク&ミスター・バイクBGチームの応援で会場に到着すると、既にチームは準備万端の状態でくつろいでいました。
 昨年迄の車両とは違い、なんと新車のHonda CRF125Fを準備していました。当チームは車両とライダーの慣らし運転を兼ねて、一週間前には日帰りでの合宿を行った模様です。
 昨年一昨年と某ア○ダー400チームの姑息な作戦で後塵を浴びました。今年はなんとしてもポディウムの中央を獲得するのが目標です。

 午前の90分耐久レースは、小手調べとばかりにマシンのセッティングとコース状態のチェックやらライダーの慣らしを兼ねての走行でそれなりに走っていました。いよいよ午後の編集部対抗レースが始まります。なんとHRCのMXワークスライダーチームもメカニックも交えて2チームが参戦。姑息なチームは、今年はなんと東福寺保夫を覆面ライダーとして起用。
 レースが始まると、さすがHRC。速い。でもその早さはコースのジャンプとコーナーでの事で、ストレート部分では他のチームとさほど変わりません。が、そのストレートでのスピードが昨年までのCRF100Fとは排気量の差以上の性能です。これは俺も乗って性能を確認したい所ですが、体調がなんとも悪く、試乗する状況ではありません(体調が良ければチームの一員として走っていたかも)。
 そこでホンダモーターサイクルジャパンよりCRF125Fを借り、一般ユーザーに乗って戴き、インプレッッションを伺いたいと考えました。

 新車のCRF125Fを持ち帰り、早速走行前のチェックを開始しました。
 各部のトルクチェックでは、各部ともに多少高めのトルクでしたが、公差の範囲内でした。稼働部の油脂類も完璧でしたが、多少追加して組み立て完了。
 準備万端の状態で、6月6日(土)に福島県猪苗代町にあるチーズナッツパークへと車を走らせました。当コースは7日(日)にシリーズ戦であるY2XCが開催されます。初心者からIAまでのライダーが集まるので、その方達に試乗をお願いする予定です。と言ってもエントリーしていても参加しないライダーもいるので、当日まで予定が立たず、結局はスタート前のグリットで車両を観ながら3名のライダーにお願いし、レース後に試乗して戴ける事となり、またMFJ ED IAライダーやMXノービスライダーやチーズナッツのスタッフにも試乗して戴ける事となりました。
 レース後の為にコースの状態がひどくなったので、スタート地点での試乗となりましたが、比較的広いので問題なく試乗ができました。


CRF125F
前モデルCRF100Fのエンジンと比較すると、バルブタイミングを変更し、吸気充填効率を向上させている。これにより低・中速域で粘り強く扱いやすい出力特性を実現した。

CRF125F
CRF100Fはキックオンリーだったが、このCRF125Fはスターターモーター付きとなった。「セル付きは最高!」との声も多く聞くことが出来、これは嬉しい装備だ。

CRF125F
フロントブレーキには、コントロール性と制動フィーリングに優れたディスクブレーキを採用した。タイヤサイズは、フロントが19インチ、リアが16インチ。

CRF125F

CRF125F
モトクロッサー“CR”シリーズの、しなやかな面構成と鋭い矢のようなスタイリングを踏襲し、車体サイズはコンパクトだが、本格的なモトクロッサーをイメージしている。 「Your First Real Dirt Bike」──これがCRF125Fの開発コンセプト。初心者にも取り回しやすい車体サイズと、扱いやすく力強い出力特性のエンジンを搭載している。

試乗ライダープロフィール

近藤さん

島崎さん
●近藤さん 身長165cm
MFJ ED IAライセンス保持
普段の使用車両はYZ125R YZF250F
「ポジションは良いですね。コーナリング進入でマシンを寝かせ易く、スムーズに回ることができます」
●島崎さん(通称 姫丸さん) 身長162cm
MFJ NAライセンス保持
普段の車両はKTM125EXC
「とにかくセル付きは最高ですね。コーナーへも軽く進入でき、とても安心感のあるマシンに仕上がっています」

岡部さん

高橋さん
●岡部さん(通称 姉御) 身長152cm
ノーライセンス
普段の車両はHONDA CRF150R2
「足付き性が良いので、不安感がないですね」。そして、「フロントブレーキの効きがよく、コントロール性も良い」
●高橋さん 身長155cm
ノーライセンス
普段の車両はYAMAHA TT-R125
「TT-R125と似た感じで扱い易いパワーデリバリーがありますね。ただ、ハンドル幅がちょっと狭い感じがしました」

手塚さん

橘さん
●手塚さん 身長154cm
ノーライセンス
普段の車両はKTM200EXC
「乗り易く、アクセル全開で遊べて、とにかく楽しい」
●橘さん 身長156cm 
ノーライセンス
普段の車両はCRF100F
「扱い易く、面白い。これに乗ったら上手になりそう」

以上のメンバーに試乗をお願いしました。


まず、307,800円という価格について

●岡部さん「リーズナブルですね」
●島崎さん「しょうがないですね。30万を切った値付けなら割安感を感じる」
●高橋さん「ちょっと高いかな?」
 価格については、消費税が8%となり、これが消費税抜きなら285,000円なので、リーズナブルな値段なのかなー?


次に、スタイリング

 皆さん一様に、上級モデルのCRF-Rのデザインを踏襲されていて、格好良いという意見でした。ただ、ステップ周りの設計にもう少し気を使ってほしいという意見もありました(島崎さん)。


エンジン性能

●近藤さん「TT-R125と比較すると、パワー感がない」
●高橋さん「TT-R125と似た感じで扱い易いパワーデリバリー」
●岡部さん「一速と二速のギア比が離れ過ぎ」「セルフスターター付きは本当に良いですね」
●島崎さん「ギア比については、違和感はない」「セル付き最高」
●橘さん「扱い易いパワーです」
●手塚さん「扱い易い」


ブレーキ関連

●近藤さん「フロントブレーキのディスク化は良いですね」
●岡部さん「フロントブレーキの効きがよく、コントロール性も良い」
●島崎さん「走行性能に対して、良い」


ディメンション関係

●近藤さん「ポジションは良い」
●高橋さん「ハンドル幅が狭い感じ」
●岡部さん「足付き性が良いので、不安感がない」


走行性能

●近藤さん「コーナリング進入でマシンを寝かせ易く、スムーズだ」「トラクションは悪くない」「丁寧に乗れば、いろいろなシチュエーションで楽しく遊べるな」
●手塚さん「乗り易く、アクセル全開で遊べて、楽しい」
●岡部さん「コーナリングの進入が軽く入って行ける」
●島崎さん「軽く進入出来、安心感がある」
●橘さん「扱い易く、面白い。これに乗ったら上手になりそう」


環境対応(多重構造フューエルタンク)

●近藤さん「これからは大事な事だと思う」
●岡部さん「当然対応した方が良い」
●島崎さん「対応は必要ないかな? オリジナルデカールを使う方には朗報かな」

 という意見でした。

 最後に、私も老体にむち打ち、ちょっと走ってみました。
 CRF100Fと比較してみると、あらゆる面で性能は良くなっているという印象でした。特にエンジンは排気量アップ以上に性能向上が感じられると共に、完成車としての性能(足周りの完成度)には驚きました。また、コーナリング時の安心感やコーナー立ち上がり時やスリッピーな登坂時のトラクションは、グリグリと進む感じが最高に気持ち良かったです。

 個人の好みとマシンに対する憧れとが複雑に絡むマシン選びですが、選択に参考になれば幸いです。

[CRF125Fの詳細は新車プロファイル2013で]



タケさん

■鈴木武仁 1952年12月8日生まれ。 “タケさん”と呼ばれ、二輪業界、特にメディア関係者では、タケさんを知らない人はモグリ。面倒見が良く、お世話になった関係者は数知れず。本誌ではモトクロッサーの試乗ライダーとして、またメディア対抗レースの契約ライダーとして、インプレッションだけではなく場所取りから整備までこなしてくれる。
1971年4月1日、本田技研工業(株)鈴鹿製作所に入社。熱処理(焼き入れ)業務に従事。1980年から本田技術研究所朝霞研究所(HGA)に転勤し、開発管理を担当。2012年12月に定年退職。現在は、野菜作りとオフロードライディングと、昼寝の日々。