FIMアジアロードレース選手権 (ARRC)参戦記  ナイトロ・ノリの「アジアはあぢ~でかんわ」第2回

ナイトロ・ノリこと芳賀紀行選手は2015シーズン、加賀山就臣に請われ、その戦いの場を、アジアロードレース選手権に移してシーズンを戦っている。
チームはTeam KAGAYAMA SUZUKI Asia、マシンはSUZUKI GSX-R600。まだまだチームもマシンも熟成しているとは言えないその状況下での奮闘ぶりを独白する!


●取材協力-Team KAGAYAMA SUZUKI Asia
FIMアジアロードレース選手権 Rd.2インドネシア
6月5日~7日
セントゥール・インターナショナルサーキット(全長4.12km/コーナー数12)
Team KAGAYAMA SUZUKI Asia #41 SUZUKI GSX-R600 (スーパースポーツ600cc
クラス)
予選=16番手 レース1=9位 レース2=7位

 Team KAGAYAMA SUZUKI Asiaの芳賀です。こんにちは。FIMアジアロードレース選手権も開幕からもうひと月も経ってしまっとって、6月に入ったら、第2戦のインドネシアだがね。インドネシアは、セントゥールっつうサーキットで、ジャカルタ空港から、うまくすればクルマで1時間。ヘタすると4時間はかかる。50㎞くらい離れているんだけど、そう、渋滞がむちゃくちゃなんだわ。
 インドネシア最大のこのサーキット、設備もびみょ~なんだけど、とにかくコースがね、めっちゃギャップが多くて、荒れ荒れなことで有名。だけど、思ってたよりは、ひどくなかったね。実はね、ここは1997年に走っとる。だけど、コースはこんな感じかなぁ、路面の状態は悪くなったのかなぁ……、そんなくらい全然覚えとらんもんね。
 前回の開幕戦は、国内でユッキーも走っとったで、マレーシアまで来れぇへんかったけど、今回はねぇ、そのジェネラル・マネージャー、ユッキーも来とるでね。ちゃんといいとこ見せたらなあかんって。


チームメイトのインドネシア出身のラフィード・トパン・スシプト選手
「MotoGPライダーだってタイムが出せず『走れない』っていうくらいのサーキットなんよ、ここ。そんなこと言っとられんけどね」と。まだ戦闘力で劣っているGSX-Rを少しでも前に持っていくには、レコードライン以外のベターラインを使わなければ……。限られた時間の中でセットを探りながらコースも探る。

チームメイトのインドネシア出身のラフィード・トパン・スシプト選手

SUZUKIレースクイーン
チームメイトのインドネシア出身のラフィード・トパン・スシプト選手(写真前・25歳)は、レース1でチーム最高位となる5位フィニッシュ。レース2は転倒を喫し、リタイア。このインドネシア戦は、転倒も多く、事故などでSS600クラスも赤旗が出さたレースだった。 今回も6名のSUZUKIレースクイーンが合流。マレーシア戦から一新。毎戦現地のレースクイーンが登場することになる。彼女たちはスズキ・アジアン・ チャレンジ(アジア人で将来MotoGPに参戦できるライダーを育成するためのステップアップカテゴリー)でも活躍する!

 マシンは、鈴鹿でのシェイクダウン、開幕前のテスト、開幕戦、そして今回、とチームのみんながよぉがんばってくれとるで、少しずつは良くなってきているよ。まぁ、走り出しも悪くなかったゎ。でもね、まずはどこのラインにギャップがあるか、探して、コースに慣れてギャップを覚えとかなあかん。ヘタにつっこみゃぁ跳ね返されて転倒してしまうでねぇ。まずは走り込み、で1本目終了。
 練習走行2本目で、セットを変えたんだけど、方向性を間違えちゃったんかなという感じで、ちょっとミスっちゃったわけ。いいとこなしって感じだぁね。
 走行2日目は、ウォームアップ走行がちょびっとあって、すぐに予選だからね。ウォームアップでもセットを変えていろいろやってみた。でもね、予選は残念ながら、前回より3つ下がって16番手。サスセットって難しいや。ギャップ追従性の高いセットアップが見つけられれば良かったけどね (笑)。


ノリ選手も気合いが入る

チームのゼネラルマネージャーである加賀山就臣もその取材対応に追われた
FIMアジアロードレース選手権第3戦は、シリーズ唯一の日本戦であり、ノリ選手の地元・鈴鹿。多くの観客の前でいいところを見せたい、とノリ選手も気合いが入る! 現在、世界3大バイク市場のひとつであるインドネシア。そのため、このアジア選手権には、多くのインドネシア現地メディアが取材に訪れる。チームのゼネラルマネージャーである加賀山就臣もその取材対応に追われた。

 レース1はマシンのフィーリングもよくてね、スタートからうまくポジションもアップ。でもレース中に赤旗が出ちゃって、いったん中断となった。そこで、さらに上に行くために急いで仕様を変更したら、それがまたしてもトラブってね。リスタートで5番手までポジション上げたんだけど、ずるずると順位を下げることになって。で、結局9位。
 午後のレース2は、その悪いところをモデファイしてスタートも決まり、このレースウィークの中ではベストなセット。順位はレース1より少し上の7位。
 結果的にはだらしないリザルトだけど、前回が15位、リタイアと、ノーポイントだったことを考えりゃぁ、きちんと最後までレースを走ったことで、データも蓄積できたでね。これから改善すべきところをきちんと仕上げていければ、後半の巻き返しも期待できるからね。



レース1のスタート


熟成という点ではまだまだなのだが、それでもGSX-Rは進化を続けている
レース1のスタート。画面でも確認できるが、中団以降では茶色い砂塵が舞っている。コースがダスティであることがわかる。6列目スタートの芳賀は好スタートでポジションアップ。さらに、赤旗後のリスタートでは、ロケットスタートで5番手までポジションを上げることができた。 熟成という点ではまだまだなのだが、それでもGSX-Rは進化を続けている。インドネシアでも、レース2で、レースウィークで最も良いセットになった。もう少し早くこのあたりのセットまでたどり着けるようになれば…。

 この2レースでポイントは16点。少ないポイントだけど、これが残りのレースにつながることを信じて、残り4戦気合いを入れていきますゎ。
 次は地元、鈴鹿。まだ、チームメイトのトパンに6ポイント差をつけられているから、次はコレひっくり返せるように、もうちっとがんばりま~す!



セントゥールのグランドスタンドには、スズキ応援席も登場した


まだ勝てるマシンではない
セントゥールのグランドスタンドには、スズキ応援席も登場した。写真ではわかりにくいが最上段には大きなスズキの幕も張られている。そろいの青いTシャツを着たスズキのバイクオーナーたちが集結、選手紹介では、スティックバルーンとともに歓声が上がり、ライダーもテンションMAX! まだ勝てるマシンではない。しかし、ここできちんと完走して、ポイントをしっかり取っていく。これが今年の戦い方になるのだろう。しかし芳賀は常に表彰台のセンターに標準を合わせていることは間違いない。

芳賀紀行(はがのりゆき)

1975年生まれ。ワールドスーパーバイクをメインに活躍してきた、世界戦43勝を誇るライダー。Team KAGAYAMAに合流し、2013年、2014年は鈴鹿8時間耐久レース で2年連続で表彰台を獲得している。


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