FIMアジアロードレース選手権 (ARRC)参戦記 第1回 ナイトロ・ノリの「アジアはあぢ~でかんわ」

2015シーズン、加賀山就臣率いるTeam KAGAYAMA SUZUKI Asiaに合流したナイトロ・ノリこと芳賀紀行選手。マシンはほぼ市販車状態のSUZUKI GSX-R600、レースはアジア地域、チームは創設されたばかり、と初モノ尽くしでの挑戦となる。今年のアジア選手権のすべてをナイトロ選手が独白! の第1回目だ。


●取材協力-Team KAGAYAMA SUZUKI Asia
FIMアジアロードレース選手権 Rd.1マレーシア
4月17日~19日
セパンインターナショナルサーキット 北コース(全長2.807km/コーナー数9)
Team KAGAYAMA SUZUKI Asia #41 SUZUKI GSX-R600 (スーパースポーツ600ccクラス)
予選=13番手 レース1=15位 レース2=リタイア

 今年、TEAM KAGAYAMA Asiaから、GSX-R600でFIMアジアロードレース選手権に参戦している芳賀です。こんにちは。WEBミスター・バイクで連載を始めるにあたり、まずは、今年のチームの説明をしたいとおもいま~す。


GSX-R600
今シーズン、アジアロードレース選手権SS600クラスに参戦する全27名のライダー。高橋裕紀、小山知良、伊藤勇樹、稲垣 誠、岡村光矩、羽田太河といった日本人選手も参戦している。

GSX-R600

SUZUKIレースクイーン
MotoGPカラーを身に纏ったこのGSX-R600で参戦。フロントサスには純正アウターにオーリンズのインナーキット、リアはオーリンズのTTX-GP。エキゾーストはヨシムラを採用。ブレーキはブレンボのφ310mmツインディスクをフロントに使用。タイヤはダンロップだ。重量は170kgとなる。 6名のSUZUKIレースクイーンが合流。彼女たちは、SS600クラスだけでなく、このアジア選手権で今シーズンからスタートしたスズキ・アジアン・チャレンジ(SAC)でも活躍! このSACは、アジア人で将来MotoGPに参戦できるライダーを育成するためのステップアップカテゴリー。ノリの走るSS600のチームも、今後このSACのライダーを受け入れることとなる。

 今回合流したTEAM KAGAYAMA Asiaは、ご存知、ユッキーこと加賀山就臣が、全日本チームとは別に立ち上げたアジア選手権参戦のためのチーム。全日本と並行してレースを戦うので、もちろん、スタッフは全日本とは別。それでユッキーはゼネラルマネージャーという立場でチームを取りまとめる。

 わけなんだけどね、全日本で走るユッキーは、鈴鹿の開幕戦とこのマレーシア戦がバッティングってことで欠場で~す。
 マシンはね、ここですでにレースをやっている他のメーカーと比べて、熟成不足で、ポテンシャルが足りない事はわかっている。これはしゃーない。でもね、それでもチームのみんなが一生懸命やってくれてて、鈴鹿のシェイクダウンから、セパンでの事前 の公開テスト、と少しずつだけどよくなってきとる。

 で、開幕戦のセパン。連日30なん度っていう真夏の気候の中でのレース。まぁ、アジアのレースってしたことがないし、初ものづくしだもんで、様子を見ながらそれでもプッシュしていったよ。予選タイムは、1分5秒台に入れて、この週末の自己ベストね。ほんでもポジションは13番手。決勝レースは、レース1とレース2の2レースともにこのポジションからのスタートだよ。冴えない、まったく冴えないポジションだわ。

 スタートはナイトロ効果でズバっと前に出た(一気に2番手まで浮上)けど、(徐々にポジションを落としていく)ガマンのレースだった。ラスト2周ってところで(他車の転倒に巻き込まれる)悲劇が起きてココロが折れました。マシンのダメージはなく、右腕の打撲だけやで(ゴルフはできるくらいのね)、レース2もしっかり気持ちを切り替えて臨んだわけですが、レース2は途中で雨が降り出してきて、このまんまで行くか、レインタイヤを装着するか、いったん引いて様子を見てた。雨も強くならなかったがら、ここから一人ずつ抜いていこうとスパートをかけた、その矢先に、他のライダーと接触し、転んでしまった。

 ほんと、情けないレースやったわ。今回のレースは結果ゼロやったけど、ほんでも得たものはあったから、次回に向けて気持ちを入れ替えて頑張るわぁ。



GSX-R600 #25
今シーズン、チームメイトとなるのがインドネシア出身のラフィード・トパン・スシプト選手(25歳)。ノリの走りを間近で見、さらに質問を繰り返すトパン選手。「甘え過ぎでよくない!」とノリ。レース2では、降雨とともにトップに立つなどアグレッシブさは芳賀と同等?


ラフィード・トパン・スシプト選手
トパン選手のゼッケンは常に50であったが、このアジア選手権では同番号の選手がいたため、半分の25を選択。奇しくもスズキのMotoGPの2台と同じゼッケンをつけることになった。


ノリ選手
アジアでのレースをノーポイントで終えてしまったノリ選手。「今回は結果はゼロ点でしたが、得るものもありました。次戦に向けて、気持ちを入れ替えがんばりま~す」と。ゼネラルマネージャーのユッキーも「チームとして初めてのARRC、開幕戦ではノリに相応しいマシンを渡せなかった。チーム一丸でマシン作りを進めていきます」とコメントしている。

GSX-R600#41
セットを大きく変更しても、結果が大きく変わらない、とレースウィーク中常にセッティングに苦労していたノリ選手。しかし、レース1ではロケットスタートで2番手まで上がるなどキッチリその存在を見せつけた!

芳賀紀行(はがのりゆき)

1975年生まれ。ワールドスーパーバイクをメインに活躍してきた、世界戦43勝を誇るライダー。Team KAGAYAMAに合流し、2013年、2014年は鈴鹿8時間耐久レース で2年連続で表彰台を獲得している。


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