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スズキ

 3月19日より発売されるアドレス110はスズキにとって、日本ではアドレスV125S以来約5年ぶりとなる原二クラスのニューモデル。昨年9月、ドイツ・ケルンで開催された国際的ショー「インターモト」でワールドプレミアされていることからもお判りの通り、世界で販売される“グローバル・モデル”だ。

 V125Sと異なるのは、世界中のさらに多くのユーザーを対象に開発され、日本、アセアン、欧州、大洋州でも販売されること。生産はインドネシアのスズキ・インドモービル・モーター社が担当する。スズキは日本(V-Strom1000、隼)を筆頭に中国(GSR250シリーズ)、タイ(バーグマン200)でもグローバル・モデルを生産しているが、アドレス110は最も販売が多いと見込まれる市場として、インドネシアでの生産になったという。ちなみに車名は世界共通だそうだ。

新型車説明会では“はっぴ”姿でお馴染み、スズキ二輪 濱本英信 代表取締役が日本の原二の状況を説明。近年、原二からの乗り換え需要が55%あることに加え、原一から原二にステップアップした人が31%居ることに注目したという。 アジア向け小型機種を担当、スズキ 二輪商品企画部 太刀川 充チーフエンジニアがアドレス110の開発を統括。大きな収納とシャープな外観を両立させるため、1mm単位の部品設計にこだわったという。 二輪商品企画部 デザイン課の谷 雄一郎デザイナーは2009年にスズキに入社、これまでV-Strom650に携わり、アドレス110はスケッチからクレイモデル作製まで、外観デザイン全般を担当。 これまでは大型モデルがメインだったスズキ 二輪エンジン設計部の二宮至成 技師は、グラディウスの開発の終盤に小型スクーター用エンジン担当に。アドレス110の新エンジンには大型モデルでのノウハウも投入されたという。

 1月21日にメディア向けとして行なわれた商品説明会では、スズキの望月英二 二輪事業本部長(写真このページ一番上、満面の笑みの人物)によって冒頭よりアドレス110が“グローバル”であることが強調された。世界規模で生産すれば、手頃な価格で車両を提供できるメリットが生まれる。しかし、アドレス110は手頃な価格だけが特徴のスクーターかと思いきや、車体やエンジンは新設計となり、日本で原二ブームを築いたアドレスV100&V125Gのような俊足と使い勝手の良さなど、スズキのスクーターに対する独自の思想が盛り込まれたモデルであることが判る。

 そして、スクーターと言えばフロアボードの広さによって依然として小径タイヤのモデルが根強い人気を誇る日本において、優れた安定性によって世界規模では主流となっている大径タイヤを履くアドレス110は、今後の日本での小型スクーターのスタンダートを作るキッカケとなる1台であることは間違いないだろう。

 一方、グローバル・モデルでありながら日本市場を考慮したこだわりが見られるのも特徴。原一(50cc以下)からのステップ、小型AT免許取得者の増加という状況に注目し、アドレス110は既存の原二ユーザーの買い替え需要とは別の新たなユーザーの開拓を担っているという。

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スタイルは世界の人々に嫌われない“平均的デザイン”とせず、独自の個性を追求。シャープなラインと抑揚をもたせた面で構成しながら、原二クラスのコンパクト感も達成している。バッテリーなどが収まるフロントのメンテナンスカバーはアクセントとして車体色とは別色に。シャープなラインを追求した結果、日本と欧州仕様は法規の関係上、リアウインカーは別体式に(灯火類の規制が異なるアセアン仕様はテールランプにビルトイン)。日本仕様のボディカラーはアイスシルバーメタリック、ブリリアントホワイト、タイタンブラックの3色を設定。
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前後に走安性の高い14インチ・タイヤを採用。ホイールのデザインと相まって軽快なイメージに。サスペンションのセッティングにもこだわり、最適な設定が施されたという。 アドレス110の数あるこだわりの中でも特徴的なトランクスペース。フルフェイスのヘルメットを収めたいという日本からの要望に応え、デザイン、エンジン関連のmm単位の苦労がなされた。
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スカイウェイブやバーグマンでお馴染み、カットフロアボードをアドレス110にも採用。ライダーの足着き向上のため、左右足元付近を絞り込んでいる。 デザインと実用性を兼ね備えたアルミ製リアキャリア。荷掛フックも装備。リアボックスのベースを取り付けるための穴も加工されている。 リアブレーキのロックシステムを装備。最近、あまり見かけなくなった簡単操作タイプが嬉しい。
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サイドスタンドを標準装備。スタンドを出した状態で走行できないよう、インターロック機能も備わる。 フロントインナーラックは左側に600ml、右側に500mlのペットボトルが収納可能。コンビニフックも装備。 シンプルで視認性の高いメーターパネル。
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新設計となった軽量・コンパクトな空冷112cc のAE54型エンジンは①燃焼改善②フリクション低減③CVT諸元の適正化により、出力と燃費を高次元でバランス。SEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)エンジンと呼ばれる。①は吸排気バルブの形状、吸気ポート角度の組み合わせを適正に行なうなどにより圧損が減少し、ポンピングロスの減少に寄与。また突出したプラグを採用することで燃焼室中心に近いところでの点火も行なわれる。インジェクターは微粒化タイプを採用。②はスズキ国内初となるローラーロッカーを採用したロッカーアームにより、カム摺動面のフリクションを大幅に低減。またローラーロッカーを採用することでシリンダーヘッドへのオイル供給量を少なくすることが可能となり、オイルポンプの吐出量を減らすことでもフリクションを低減させている。ピストンはスカート部面積を縮小することでフリクションを低減させている。③は軽量・コンパクトな新設計のCVTを採用し、軽量化と中速トルクの向上によりハイギアード化が可能となり、燃費と走行性能をバランスさせている。結果、97kgというクラス最軽量の装備重量と相まって、アドレスV125Sと比較して動力性能は加速はほぼ同等、最高速では上回っているという。
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●アドレス110主要諸元
■型式:EBJ-CE47A ■全長×全幅×全高:1,845 ×665 ×1,095 mm ■ホイールベース:1,260 mm■最低地上高:120 mm■シート高:755 mm■車両重量:97 kg■燃料消費率:53.0 km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時) 51.2 km/L(WMTCモード値 クラス1、1名乗車時)■最小回転半径:1.9 m■エンジン種類:強制空冷 4ストロークSOHC 2バルブ単気筒■総排気量:112 cm3■ボア×ストローク:51.0 ×55.2 mm■圧縮比:9.3 ■最高出力:6.7 kW(9.1 PS) /8,000rpm■最大トルク:8.6 N・m(0.88 kgf・m)/6,000rpm■燃料供給:フューエルインジェクションシステム ■始動方式:キック・セルフ併用式 ■燃料タンク容量:5.2 L ■変速機形式:Vベルト無段変速 ■タイヤ(前/後):80/90-14 M/C 40P /90/90-14 M/C 46P ■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスク /機械式リーディングトレーディング ■フレーム形式 :アンダーボーン ■車体色:ブリリアントホワイト(YUH) 、アイスシルバーメタリック(YNJ) 、タイタンブラック(YVU) ■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):205,200円


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