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スズキ

乗ればナチュラルな操縦性。
これなら近場も遠出も楽しめる。

 エンジンの始動性はすこぶる良い。しばしの暖機をして回転が下がった。その数値は回転計を装備しないので解らないが音だけで「準備オッケー!」とバイクが言っているのが解る。

 ライディングポジションはワイドなハンドルバーと縦長座布団のような居心地のよいシートによって快適至極。ステップの位置も自然なもの。また、ソフト目なフロントサスとしっかり感のあるリアサスのバランスにより、183センチ、85 キロの大男が無造作に乗っても、130 キロを切る車重にして、さほど前後荷重バランスをシビアに意識させないのも嬉しい。

 また、足着き性は幅広シートの外観から足の付け根が当たるのか、とも思ったが、意外やストンと足を下ろせて不安がない。そもそも770mmというシート高なので不安はないが、燃料タンクが小ぶりな事も含め、ポジションに「ファット」感がないのもバンバン200の魅力の一つだ。

 扱いやすいエンジン特性で、発進はラクラク。排気量が小さいからといって決してローギアードさでごまかすのではなく、低中回転域はトルクでその先は小排気量らしい伸びを見せ速度を乗せて行く。引っ張って楽しい部類のエンジンではないが、街中でアンダーパワーに悩むことは無く、キビキビ感があった。

 前後に履いた太いダンロップK180は、そのパターンから想像するようなノイズやゴツゴツ感があるわけではない。ハンドリングも意外にも自然。確かに寝かしてゆく初期に手応えはあるものの、全くの慣れの範疇。5分もすればこのバイクが意のままになる。

 街中でトップ5速は40キロあたりからの加速も受け付けるフレキシビリティーさを持ち、60キロあたりで流しているのが最高に心地よい。高速道路を100キロで流して遠距離を、という使い方ではストレスが残るだろうが、80キロあたりまでの巡航ならば普通にこなしてくれる。

 ブレーキの効き具合も全体にマッチしたバランス感がある。油圧ディスクブレーキのフロントは、マスターシリンダーのタッチが少々硬めだが、握りこんだ時のブレーキの効き具合(減速感)はライダーの意志に忠実。ガンガン飛ばすタイプのバイクではないので不足は感じなかった。リアのドラムブレーキも想像以上に扱いやすい。リアブレーキを積極的に使い、リアのファットタイヤを活かしたくなるタイプだ。

 しばし街中を走ると、最初はワイドに思えたハンドルバーも全体のハンドリングとマッチしていて、一体感が有ることが解った。渋滞時の機動性を心配する向きもあるだろうが、これも慣れの範疇だろう。

ライダーの身長は183cm。
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何処行く? と尋ねる冒険王。

 市街地中心に乗り回してみても、どこか遠くへ走っている自分を想像し始めていた。太いタイヤを覆うリアフェンダーや広いシートに荷物を詰めたバッグをくくりつけ、西に向かうのも北に向かうのも自由だ、と発想が動き出す。例えばスズキのVストロームのように高速道路で1日に500キロ以上を易々と移動する弾丸ツアーは向かないし、やったとしてもバンバンだと楽しくはないはずだ。時間を移動速度で買うようなスタイルより、伊豆半島の付け根から海岸線沿いにキャンプを楽しみつつ巡る、というようなスローな旅がスタイルだ。もちろん、行く、行かないは自由。市街地を走りながらバンバンが醸し出す波長に合った遠出計画を練るだけでも楽しい。いや、実際に出かけたらもっと楽しいに違いない。

 免許を取った一台目や、酸いも甘いも知り尽くしたライダーがバンバンに乗ったとしたらどのような軌跡を描くのだろう。バンバンを着こなすという意味でツーリング力、旅力を問われるように思う。そんな隅に置けないバイクなのである。

(松井 勉)

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低回転域でのねばりと、高回転での軽快さを両立した、空冷単気筒SOHC2バルブエンジンを搭載。高い冷却効率のSCEM(SUZUKI Composite Electrochemical Material)メッキシリンダーの採用で、エンジン単体で鋳鉄製スリーブ使用モデルより約300gの軽量化、オイル消費量の低減を実現。また、小型のオイルクーラーを採用することで、エンジン冷却性能を高めている。高い位置に跳ね上げられたアップタイプマフラーは、極太サイレンサーを装備し、レトロテールランプ、ファットタイヤとの組み合わせでバンバン200だけの強い個性を演出。また、静粛性を高めながら、適度に歯切れの良いサウンドも魅力。大きめのサイレンサーカバーを配し、特徴的なフォルムを作り出している。ワイドでファットなタイヤは、ダンロップ社製のK180。リアフェンダー上部には、車載工具入れを標準で装備。
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■SUZUKI バンバン200 主要諸元

●全長×全高×全幅:2,140×865×1,125mm、ホイールベース:1,375mm、最低地上高:220mm、シート高:770mm、車両重量:128kg、燃料タンク容量:6.5リットル●エンジン種類:H403、空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ、排気量:199cm3、内径×行程:66.0×58.2mm、圧縮比:9.4、最高出力:12kW(16PS)/8,000rpm、最大トルク:15N・m(1.5kgf-m)/6,500rpm、燃料供給方式:フューエルインジェクション、点火方式:フルトランジスタ式、始動方式:セルフ式、潤滑方式:ウェットサンプ式●トランスミッション形式:常時噛合式5段リターン、クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング●フレーム形式:ダイヤモンド、キャスター:26°00′、トレール:91mm●サスペンション:前・テレスコピック、後・スイングアーム●ブレーキ:前・油圧式シングルグディスク、後・機械式リーディングトレーリング、タイヤ:前・130/80-18M/C 66P、後・180/80-14M/C 78P。


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