PART4 BMW/KTM/Husqvarna編 |
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■BMW
プレスデイ初日、しかも朝イチでのスタートはBMWでした。のんびり屋が多いイタリア人の中にあって、まじめなドイツ人に先陣を切ってもらおうという意図かどうかは分かりませんが……、でも最近、両者に対する僕のイメージが変わりつつあります。食事も呑みも女の子もおしゃべりも大好きで、宵っ張りで軽やかなイメージのイタリア人は、実は勤勉で朝早くからテキパキ動いていて、一方ドイツ人は生真面目さはイメージ通りなんですが、実に情熱的で盛り上がると比較的早めにネジが抜け落ちちゃう感じ(←あくまでも個人的なイメージです)。
話を戻します。BMWは2台のワールドプレミアマシンを発表しました。「F800R」と「S1000XR」です。
「F800R」は、パラレルツインエンジンを抱くFシリーズのロードカデゴリーのもっともスポーティなモデルとなりました。エンジンはパワーアップされ、サスペンションやブレーキ周りを強化。よりエッジの効いたボディデザインを新たに採用し、なおかつシート高も下げられています。
またオプションですがASC(スタビリティコントロール)やESA(電子制御のサスペンション)もラインナップされ、BMWが培ってきた最新の電子制御技術もトッピングすることが出来ます。Fシリーズと言えばBMWの軽量コンパクトモデルで、幅広いユーザー層をターゲットにしていることから柔和な雰囲気を感じていたのですが、現在ラインナップされているGSシリーズしかり、このRしかり、パラツーエンジンを使ったエッジなパフォーマンスをアピールしてきた感じです。
また「S1000XR」は、4気筒エンジンを使ったSシリーズのマルチパーパスモデル。電子制御技術を駆使し、ハイパフォーマンスをファンライドにもスポーツライディングにも、セーフティライドにも役立ててきたBMWが、この「S1000XR」でスポーツツアラーカデゴリーも補完しました。今回も、電子制御技術てんこ盛り。Sシリーズの、左右非対称のスタイリングを、よくこのカデゴリーにアレンジしたなぁ、という感じです。
最近のBMWはR nineTで新たなカデゴリーを創造しながら、ラインナップを復活させたり増やしたりして、全カデゴリーでライバルメーカーたちに勝負を挑んでます。
カンファレンスにはBMW Motorrad最高責任者のステファン・シャーラー氏(スーツの方)が登壇。熱くBMW Motorradを語り、S1000XRのプレゼンテーションは、ボディデザイン部門の責任者エドガー・ハインリッヒ氏(デニムにブルーシャツの方)が登場。最後にはプロジェクトのスタッフを壇上に上げるパフォーマンスも見せました。
それともう一つ。これはプレスカンファレンスでは触れられなかったのですが、BMW Motorradジャパンが進めてきた「R nineTカスタムプロジェクト」の4台のマシンが、BMWブースに展示されました。そして、そこにはいつも人だかり。日本のカスタムシーンがEICMAでも認められたのはとても嬉しい。
会場を訪れていたヨーロッパのカスタムビルダーたちや海外のメディア関係者たちに話を聞いたら、みな口をそろえて“信じられないクオリティだ”“BMWカスタムのベンチマークになる”“これからR nineTをカスタムするビルダーは大変なプレッシャーになるだろう”と言ってました。
4人の日本人ビルダーの一人である46ワークスの中嶋志朗氏はこれを見るために渡伊しEICMA会場入り。ブース前で記念撮影を依頼されたり、会場を歩いていたらいきなり声を掛けられたりと、その影響力の大きさを痛感していました。そこで欧州カスタムプロジェクトに参加していたスペイン・エルソリタリオのデイビッドとBMW Motorradの車体デザインの責任者・オラ・ステネガルド氏と、中嶋氏の三人で記念撮影!
■KTM
KTMは2台のマシンをローンチ。いきなりフーベルト・トゥルンケンポルツ氏(ちょいワル系なダンディな方。KTM創業一族で、トゥルンケンポルツの”T”なのです)とハラルド・プロッキンガー氏(恰幅のいい方)が司会者に促されて登壇。ヨーロッパ市場に向けた気合いを感じました。
まずは「1050ADVENTURE」。ビジュアル的には1190ADVENTUREと大差ないのですが、1190にくらべボア/ストロークともに小さくして排気量を1050ccに縮小。フロントフォークやタイヤサイズを細めに仕立て、シート高を10mm低くしシート形状も変更して足着き性をUPしています。司会を担当した方が日本人も親近感がわく体型で“これなら僕も大丈夫だね”的なギャグを飛ばしてました。
もう一台はモトクロッサー「350SX-F FACTORY」です。見ての通り、MXGP/MX1クラスの2014年チャンピオン、アントニオ・カイローリのレプリカマシンです。そしてKTMモータースポーツマネージャー、ピット・バイラー氏に招かれカイローリが登壇。すると会場には歓声が沸き、大いに盛り上がります。やっぱりイタリア。オラが国のヒーローが登場すると、違いますね。カイローリ自身はリラックスした雰囲気で、“カメラをお持ちの方はカイローリとマシンの写真を”と司会者がメディアに促したら、カイローリ自身がポケットからスマホを取り出しマシンと一緒に自撮り。“この写真は彼のツイッターで見られるでしょうね”なんて言って会場を沸かせていました。
■HUSQVARNA
事前に“EICMAでは3台のストリートモデルを発表する”とリリースが配布されたことから、隣のKTMブースで開催されたカンファレンスに負けず劣らずの盛況ぶり。復活した2014年シーズンは、オフロードレースシーンで大成功を収め、満を持してストリートシーンに打って出てくるハスクバーナへの、期待度の高さを感じます。
何とか最前列を確保。でもその横にはハスクバーナのピットシャツを着たカップルが居て(おそらく二人ともハスクバーナを駆るエンデューロ系ライダーだったと思います……)が、チュッチュッしながら、僕の立ち位置を占領していきます。あぁ~集中できない!!!
司会者に促されて登壇したのはKTMのCEO兼、KTMとハスクバーナの親会社であるピエラ・インダストリーの代表でもあるステファン・ピエラ氏。おっと、ピエラ氏がここに登場するとは、その意気込みを感じます。
まずベールを脱いだのは「701SUPERMOTO」。ハイクオリティのコンポーネントと優れたエンジニアリングを融合したストリートモデルという触れ込み。排気量690ccの水冷SOHCエンジンは67hpを発揮。車体重量145kgでABSやスリッパークラッチを装備しています。おそらく“KTM 690SMC R”をベースに開発されたのではないか。2015年秋のリリースを予定しているとのこと。
あとの2台はコンセプトモデル「401 VITPILEN」と「401 SVARTPILEN」でした。スウェーデン語でホワイトアローを意味する「VITPILEN」は1953年にハスクバーナがリリースした「Silverpilen」をデザインモチーフにしたカフェスタイルのマシン。クラシックに振らず、モダンに仕立ててきたあたりがニクイです。
スウェーデン語でブラックアローを意味する「SVARTPILEN」は、それをさらにスクランブラー・テイストにアレンジしたものです。こちらはクラシカルなディテールが多めですが、それとモダンなデザインをミックスした“ネオクラシック・スクランブラー”とでも言いましょうか。これも実に面白いですね。
“KTM 390DUKE”をモチーフに開発されたのでは、と想像しますが、それならパフォーマンス的にも申し分ないですね。しかも、ただのコンセプトモデルではなく、近い将来リリースできるよう開発を進めているとのこと。楽しみです!
(レポート&写真:河野正士)
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