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 もはや世界的な流行と言っても言い過ぎでない、大排気量デュアルパーパスモデル。アドベンチャーとも言われるこのカテゴリーには海外メーカー、国産メーカーに様々で多様なモデルがあり、各社力の入った装備やテクノロジーを投入したものが多い。

 そして、また新たなモデルが日本市場にやってきた。aprilia最新の大排気量デュアルパーパスモデルのCAPONORD1200である。日本導入モデルは、パニアケース、クルーズドコントロール、セミアクティブサスペンションであるaDD、センタースタンドなどが装備された最上級グレードのトラベルパックのみ。トラスの鋼管フレームの車体に水冷DOHC4バルブの90°Vツインエンジンを積んでいる。

 アップハンドルにハーフカウルに高めのスクリーンがついた、いわゆるアドベンチャー的な要件を満たしたスタイルをしていながら、スーパースポーツモデルのRSV4と似た顔つきをした、ひと目でapriliaと判る外装デザインが興味深い。写真よりも実物は彫りが深く、とても存在感があって好印象だ。

 跨ると身長170cmで足がそれほど長くないライダーは両足のつま先が届くのがやっとだが、片足をステップに乗せた状態で、しっかりもう片足に力が入るまで届くので、ライディング経験が浅いビギナーでないかぎり、それほど困ることはないと思われる。跨って感じる重さも大きく気にならないもの。

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Caponord 1200 ABS Travel Pack。ライダーの身長は170cm。両足同時には着かなかった。さすがにヨーロッパを主戦場とする“デュアルパーパスの標準サイズ”といえる。
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4つの特許技術の融合により、路面抵抗に応じてホイールに伝わるエネルギーを自動的に計測、瞬時に反応してフロントフォークとリアショックのダンピング特性を調整するというaDD(aprilia Dynamic Damping)システムを採用。この動的制振調整機構により、あらゆる状況下のライディングで最高水準の快適性を実現。さらにその他の動的制御機構との連動により、究極のハンドリング性能によるライディングの醍醐味と高い安全性を提供しているという。フロントサスはSachs製φ43mmフルアジャスタブル倒立フォーク。ブレーキは、フロントにφ320mmディスク+ブレンボ4ピストンモノブロックラジアルキャリパー、リアはφ240mmシングルディスク。
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Caponord 1200 ABSのベーシックモデルは、aTC(aprilia Traction Control)とRbW(Ride by Wire)そしてABSを標準装備。国内に導入されるCaponord 1200 ABS Travel Packモデルでは、さらにaDDとaCC(aprilia Cruise Control)を標準装備する。リアサスはSachs製フルアジャスタブルショックアブソーバーを採用。
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Caponord 1200 ABS Travel Pack。Travel Packならではのリアサイドバッグは、ボディと同色ペイント仕上げ。センタースタンド、ハンドガードも標準装備。

 
道を選ばず、長距離移動をどれだけ快適にこなせるか
このCAPONORD1200のエンジン特性は納得がいく

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 試乗したのは筑波サーキットのコース1000。乗り出してすぐに感じたのは、エンジンがスムーズなこと。フライ・バイ・ワイヤでライダーの右手に反応するVツインエンジンは、ドカッと唐突に出るようなピックアップの鋭さがなく、あくまでも従順。低回転からフラットにトルクがでてスムーズ。どこからでもスルスルっと加速できる。このカテゴリーに求められる重要なものは、道を選ばず、長距離移動をどれだけ快適にこなせるか、というものである。だからこのエンジン特性は納得がいくもの。

 足廻りも、この流れと同じだ。aDD(アプリリア・ダイナミック・ダンピングコントロール)とaTC(アプリリア・トラクション・コントロール)という、電子制御のサスペンションと、横滑り防止機能がある。リアサスペンションのプリロード調整はスイッチで出来て、ひとり乗り、ふたり乗り、ひとりと荷物、ふたり乗りと荷物、という4モードと、aDDが自動的に調整するオートモードがあって、最初はひとり乗りを選んだ。aTCは、介入が大きく、もっとも路面のミューが低い時に向いているLevel 3にしてみた。ちなみに、この設定はバイクが停止しないと出来ない。

 このコースは、タイトコーナーが連続するレイアウトで、コーナーはカントがほぼなくフラットだけど、クローズドサーキット故に、どうしてもハイペースになってしまう。このバイクにとってある意味で苦手な場所になるだろう。サスペンションが、ロードスポーツのようにいかないのは当たり前だ。この場所で思いっきり走ろうとすると、はっきり言ってもどかしい。aTCが Level 3だといたずらにスロットルを開けても穏やかで何事もなかったようにタイヤのグリップを大きく失わず、スリッピーな路面などで頼もしいだろう。aDDをオートモードにすると介入で前後のサスを動かしているのが如実に体感できたが、サーキット走行向きではない。

 aTC をもっともスポーツライディング向きなLevel 1に変更すると、スロットル操作に対してしゃきっと反応して立ち上がる。意識的に攻めこまず、サーキット的な速度をやめて、ややペースを落として何周か走ってみると、扱いやすいエンジン特性と相まってスムーズでシャープな動きで楽しくなった。とにかくハイテクノロジーは終始安定感を保とうと働いている。

 やはりaTCとaDDを含めCAPONORD1200は、このシチュエーションだと真の実力を把握できない。狙ったフィールドは、クローズドコースでないのだから、当たり前だ。本来の力を確かめるために今度は公道でしっかり使ってみたい。手強いライバルが多い中で、どれだけのものなのか、大いに気になる。素質は充分に感じられたから。

(試乗:濱矢文夫)

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●Caponord(カポノルド) 1200 ABS Travel Pack 主要諸元

■全長×全幅×全高:2,245×1,000×1,440mm■ホイールベース:1,555mm■シート高:840mm■車両重量:265kg(パニアケース含む)■燃料タンク容量:24L■エンジン種類:水冷4ストローク90°V型2気筒DOHC4バルブ■総排気量:1,197cm3■ボア×ストローク:106×67.8mm■圧縮比:12.0■燃料供給装置:電子制御燃料噴射システム(3マップライド・バイ・ワイヤ■点火方式:電子制御イグニッションシステム■始動方式:セルフ式■最高出力:91.9kw[125HP]/8,250rpm■最大トルク:114.8N・m[11.7kgf]/6,800rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):φ320mm油圧式ダブルディスク × φ240mm油圧式シングルディスク■タイヤ(前×後):120/70ZR17 × 180/55ZR17■懸架方式(前×後):φ43mm倒立式テレスコピック × 油圧式モノショック、スイングアーム■フレーム:トラス構造鋼管フレーム+アルミサイドメンバー
 
■メーカー希望小売価格:1,998,000円(9月9日発表)

 
Tuono V4R aPRC ABS

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アプリリアのフラッグシップモデル、RSV4シリーズのネイキッドバージョンでエンジンや各種最新電子制御装備などはそのままに、ネイキッドらしいアップライトなポジションを実現したモデルがTuono V4R aPRCだ。今回はこのTuonoに安全装備としてだけではなく、スポーツ性も高めるというアドバンスドABSを搭載してTuono V4R aPRC ABSが発売開始された。ボッシュ社製9MPユニットで構成されるシステムの重量はわずか2kg、3段階のモード、そしてABS機能をキャンセルすることも可能で、その操作はインスツルメントパネル上のコントロールメニュー内から行える。

 TUONO V4R aPRCにABSが装備されて新発売。ハイパーネイキッド、ストリートファイターなど、スーパースポーツモデルをベースにしたネイキッドが多種多様になるけれど、TUONOの特徴は、SBKレース用マシンでもあるRSV4の外装を取ってハンドルを換えた、いわゆるそのまんまネイキッドにした成り立ちだということ。実はフレームがちょっと違っていてホイールベースが延長され、キャスター角も1°寝たより安定を狙ったものに変わっているけれど、ライバル他機種の中でベース車からの変更が1,2を争うくらい少ない。

 だから走りはシャープそのもの。やや腰高なシートに跨り、999ccのV4エンジンを積んでいるとは思えないほどコンパクトな車体を走らせると、ライダーの意思に機敏に反応する。ブレーキ、サスペンションは高い性能で、高い次元のコーナーリングを味わえる。日本仕様がフルパワーではないのは残念だけどそれはいたしかたあるまい。それでも、私はツマラナイなんて思わなかった。エンジンは以前乗ったものより、とてもスムーズになって、スロットルを積極的に開けやすい。ドンツキ感がほとんどなく、スムーズでコントロールが容易になった。

 新装備のABSは、2kg増におさめたという軽量なもので、Level 1がトラックモード、Level 2がストリートスポーツモード、Level 3がレインモードと任意に選べる。パイプアップハンドルのネイキッドなのに、アンチウイリーコントロールやローンチコントロール機能があるaPRCに加え、トラックモードが設定されたABSなのだから面白い。とにかく制動、旋回、加速とスタビリティが高く、ネイキッドカテゴリーに入るオートバイなんだと忘れてしまう走りだ。

(試乗:濱矢文夫)

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●Tuono(トゥオノ) V4R aPRC ABS 主要諸元

■全長×全幅×全高:2,065×800×1,090mm■ホイールベース:1,445mm■シート高:835mm■車両重量:206kg■燃料タンク容量:18.5L■エンジン種類:水冷4ストローク65°V型4気筒DOHC4バルブ■総排気量:999cm3■ボア×ストローク:78×52.3mm■圧縮比:13.0■燃料供給装置:電子制御燃料噴射システム(ライド・バイ・ワイヤ)■点火方式:電子制御イグニッションシステム■始動方式:セルフ式■最高出力:78kw[106HP]/7,000rpm■最大トルク:98N・m/7,500rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):φ320mm油圧式ダブルディスク × φ220mm油圧式シングルディスク■タイヤ(前×後):120/70ZR17 × 190/55ZR17■懸架方式(前×後):φ43mm倒立式テレスコピック × 油圧式モノショック、スイングアーム■フレーム:アルミツインスパーフレーム
 
■メーカー希望小売価格:1,828,000円(9月9日発表)

 
SRV 850 ABS-ATC

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昨年発表されるやスクーターのイメージを覆すパワーと高い走行性能などで一躍話題となったアプリリアの“スーパースクーター”。今回、Tuonoと同様新たにABSとaTC(aprilia Truction Control)を採用するモデルへと発展した。

 一昨年、2012年に欧州で一番売れた機種は、ヤマハのTMAX530だった。原付きも含め全カテゴリーという中で、これはすごいこと。向こうでは以前からビッグスクーターの人気が高い。TMAX530の魅力はそのスポーツ性能にある。これまで数々の意欲的なスクーターを送り出してきたapriliaも黙って入られない。2012年に、負けじとSRV850を登場させた。背景には市場とプライドがある。日本でも2013年から販売されていたが、今回このSRV850にABSと、トラクションコントロールシステムのATCが装着されたモデルが追加となった。

 車名についている“850”という数字は、当然ながら排気量を表している。エンジン排気量は839cc、それも4ストローク水冷90°VツインSOHC4バルブというスクーターらしからぬもの。これはオートマチックモーターサイクルとして同社が発売しているマーナ850GTのものをベースにしている。スペース効率を考慮したレイアウトだとはいえないこのエンジンを搭載しながらシート下にヘルメットが1個入るトランクスペースを設けているから素晴らしい。ちゃんとスクーターの利便性を考えている。

 反面、ボディが大きい。目の前にすると戦闘的な顔立ちと相まってかなりの迫力。押し引きは一般的なものと比較すると重い。シートに座ってみると、身長170cmで両足での足着きはつま先部分になってしまうけれど、普通のオートバイ同様、片足がしっかり接地して力が入る状態になるので不安はなかった。足着きはライバルのTMAX530と近い、と書くと安心する人もいるだろう。サイズと押し引きの重さは、スズキSKYWAVE 650LXと似たもの。スクーターらしいポジションで特別な違いは感じられない。

 それでもひとたびスロットルを開けると、最高出力76HPはさすがに速い。試乗したのはサーキットだったので、少し不安になったけれど、そのまま、なかなかの速度でコーナーに飛び込んでみても、車体も、前後の足廻りもしっかりしているので、何事もなかったように安定してクリアできてしまう。ブレーキもへこたれない。バンク角はスクーターとしては深いけれど、サーキットだと足りなくなる。その足かせがなければ、どれだけ速く走れるんだろうか、と興味がわくほど。以前、ABS、ATC無しのモデルを街でも乗ったことがあるが、乗り心地もなかなかだった。

 大きくても、日常的に、いろいろなシチュエーションで使われることが多いスクーターだからABS、ATCは嬉しい装備だ。パワーがあって、走りもいいからなおさら。まだ車体の傾きがあるなかで、意地悪にスロットルを開けてみたが、リアタイヤは大きくグリップを失うことなく普通に立ち上がっていけた。狭い日本の街中だと、流石にこのサイズと重さは、いつでもどこでも使えるとは言い難いが、間違いなくスクーターとして一級のスポーツ性能を持っていると言える1台だ。

(試乗:濱矢文夫)

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●SRV 850 ABS-ATC 主要諸元

■全長×全幅×全高:2,240×800×1,300mm■ホイールベース:1,585mm■シート高:780mm■車両重量:273kg■燃料タンク容量:18.8L■エンジン種類:水冷4ストローク90°V型2気筒SOHC4バルブ■総排気量:839cm3■ボア×ストローク:88×69mm■燃料供給装置:電子制御燃料噴射システム■点火方式:電子制御イグニッションシステム■始動方式:セルフ式■最高出力:56kw[76.1HP]/6,000rpm■最大トルク:75N・m/6,000rpm■変速機形式:自動無段変速(CVT)■ブレーキ(前×後):φ300mm油圧式ダブルディスク × φ280mm油圧式シングルディスク■タイヤ(前×後):120/70-16 × 160/60-15■懸架方式(前×後):φ41mmテレスコピック × 油圧式モノショック、スイングアーム■フレーム:スチール製ダブルクレードルフレーム
 
■メーカー希望小売価格:1,286,000円(9月9日発表)


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