CRF250R 766,800円(9月19日発売)
★ホンダ CRF250R 車両解説
CRF250Rの2015年モデルは新たにエアサスとエンジンモードセレクターを採用
昨年9月に発表された2014年モデルのCRF250Rでは、環境時代に対応する“4スト・モトクロッサー”としてフルモデルチェンジが行われた。そして2015年モデルとなる今回は、フロントフォークにエアサスペンションを採用し、エンジンは、3種類のエンジン特性モードを手元で切り替えられるエンジンモードセレクトスイッチとインジケーターが新たに採用された。
2000年のMFJモトクロス日本グランプリで、CRF450Rのプロトタイプ車が世界に先駆けてデビュー。そして翌年の2001年から全日本モトクロス選手権シリーズ及び、AMAモトクロス選手権でワークスチームが使用して活躍、本格的な4ストロークモトクロッサーの時代が幕を開けた。そしてこの年の11月10日にCRF450Rが市販開始されている。
4ストロークエンジンを搭載する新時代のモトクロッサーCRFファミリーの一員として、CRF250Rは、CRF450Rの発売から2年遅れの2003年11月に発売が開始されている。以来、イヤーモデルごとに戦力アップがはかられてきているCRF450RとCRF250Rだが、登場時期と同様、それぞれの進化の度合いは毎年異なったスケジューリングで行われてきている。
2012年モデルのCRF250Rは、エンジン面ではスロットルボディの小径化を図るとともに、コネクティングチューブ、吸気ポート、排気ポート、エキゾーストバルブの形状変更が行われ、車体周りではCRF450Rと共通するサスのチューニングやワイドフットペグの採用などが行われた。2013年モデルではCRF450Rがフルモデルチェンジを受けたのに対して、フロントフォークのダンパー部のピストン径のアップ、バネレートの変更が行われ、また新パターンのフロントタイヤの採用が行われた程度で、いわゆる戦闘力アップの熟成マイナーチェンジが行われたのみだった。
そして2014年モデルで、CRF250Rにフルモデルチェンジの番がやってきた。エンジンでは全域でトルクフルなパワーを生み出す新設計ピストンと燃焼室形状の採用、混合気の充填効率を高める吸気通路形状の最適化、低中速のパワー感とスロットルレスポンスを両立させる燃料噴射方式“デュアル・ステージ・フューエルインジェクション(1サイクル2度噴射制御)”の採用などが行われた。サイレンサー全長を短くすることで慣性マスの集中を行い、また、同時に左右対称配置で得られる重量バランスの良さから高い車体安定感と軽快感を生み出すショートデュアルマフラーを採用。排気圧を最適化する整流板を取り付けた新型エキゾーストパイプも導入されている。
車体回りでは第6世代の新設計アルミツインチューブフレームを採用。フロントの接地感とリアトラクションの向上などを目標にヘッドパイプとメインパイプの結合部を下方に移動させ、ヘッドパイプまわりの剛性を最適化。リアクッション上部とメインパイプ、ピボットプレートをより近づけて剛性を上げ、作動性を向上。リアフレーム上下パイプ間の角度を大きくし、各ガセット類の軽量化などが行われた。また、この新型フレームは低重心化とマス集中化を狙ったレイアウトを徹底していることも特徴だ。ECU、コンデンサー、レギュレーター、ワイヤーハーネスなど、各電装部品もグラム単位で軽量化し、同時に車体中心付近に配置させてマス集中化に貢献している。
足周りでは、縦、横剛性を最適化した新設計のスイングアームを採用。パイプの形状を見直し、従来よりも縦剛性を大幅に上げつつ横剛性を適切に保つことで、しなやかさと路面をしっかり捉える剛性感を両立させているという。フロントフォークは従来モデルを熟成し新設計の車体に合わせてセッティング。マス集中化と共に軽快感を最大限に引き出した車体レイアウトとのマッチングを図っている。おなじみのホンダプログレッシブステアリングダンパーは継続採用。
スタイリングでは、ジャンプ中もより扱いやすい必要最小限の外装部品、徹底したマス集中化による軽快で俊敏な動きへの寄与、そして“マンマキシマム・メカミニマム”MM思想によりダイナミックで自由なライディングアクションに対応、という3点をキーワードに進化させているという。
2015年モデルのCRF250Rは、まさにとどまることなき改良が求められる競技モデルの宿命、フルモデルチェンジが行われたばかりの翌年であっても改良に継ぐ改良が加えられたモデルとして登場した。
★HONDA プレスリリースより (2014年8月7日)
モトクロス競技専用車「CRF250R」「CRF450R」の2015年型モデルを発売
Hondaは、世界各地のモトクロスレース活動で培った先進技術を投入した、水冷・4ストロークエンジン搭載のモトクロス競技専用車「CRF250R」と「CRF450R」の仕様を一部変更し、2015年型モデルとしてそれぞれ9月19日(金)に受注期間限定※1で発売します。
CRF250Rは、フロントフォークにエアサスペンションを新たに採用。左側のフォークには圧縮空気によるスプリング機構を、右側のフォークにはダンパー機構を備え、左右で機能を独立させたセパレート・ファンクション・フロントフォークとしています。これにより、走破性の向上とセッティングの容易化に寄与しています。
エンジンは、排気系とPGM-FI※2のセッティングを見直すことなどにより、全回転域で優れたスロットルレスポンスを追求。また、路面状況に応じて、3種類のエンジン特性モードを手元で切り替えられるエンジンモードセレクトスイッチとインジケータを新たに採用し、さまざまな路面状況での扱いやすさに配慮しています。
CRF450Rは、低速域での扱いやすさと高速域のパワー感向上を目指し、排気系のレイアウトとPGM-FIのセッティングを変更しています。また、CRF250R同様に、エンジンモードセレクトスイッチとインジケータを新たに採用し、高いポテンシャルを引き出しやすい仕様としています。
フロントフォークは、さらなる軽量化とフリクションの低減を図ることで、作動性の向上を実現しています。
スタイリングは、CRF250R、CRF450Rともに、シュラウドには、(株)ホンダ・レーシング(HRC)のワークスマシンイメージのストライプを施しています。車体色にはHondaのモトクロスマシン伝統のエクストリームレッドを採用し、躍動感あふれるスタイリングとしています。
※1 受注期間は2014年8月7日(木)から12月10日(水)まで
※2 PGM-FIは、Hondaの登録商標です
- ●販売計画台数(国内・年間)
- CRF250R 200台
- CRF450R 40台
- ●メーカー希望小売価格
- CRF250R 766,800円(消費税抜き本体価格 710,000円)
- CRF450R 907,200円(消費税抜き本体価格 840,000円)
- ※価格にはリサイクル費用を含みます
- ※このCRF250R、CRF450Rは、公道および一般交通の用に供する場所では一切走行できません。また、登録してナンバープレートを取得することもできません
- ※走行場所には十分注意しましょう。私道や林道、河原、海辺などの公共の道路以外の場所でも、人や車が自由に出入りできるところは道路とみなされ、道路交通法および道路運送車両法の違反になります
- =CRF250R 2015年モデルの主な変更点=
- ●エンジン
- Honda独創のメカニズムで、実績のあるユニカムバルブトレイン採用の水冷・4ストローク・4バルブエンジンは、下記の変更を行うことでパワフルでありながら扱いやすい仕様としています。
- ・3種類のエンジン特性モードを手元で切り替えられるエンジンモードセレクトスイッチとインジケータを新たに採用
- モード1 STANDARD 通常のコースコンディションでの走行に適したモード
- モード2 SMOOTH スムーズなパワー特性とし、主にマディー路面のスロットルコントロール性を重視したモード
- モード3 AGGRESSIVE レスポンシブなパワー特性とし、主にソフト路面でのパワー感を重視したモード
- ・マフラーのテールパイプの内径拡大と、PGM-FIのセッティング変更により、スロットルレスポンスを全回転域で追求。低・中速域のパワーのつながりをよりスムーズにするとともに、ピークパワー付近のスロットルフィーリングを追求
- ●足回り
- さまざまな走行シーンにおいて、操縦安定性をさらに高めるために、下記の変更を行っています。
- ・セパレート・ファンクション・フロントフォークを新たに採用
- ・リアクッションスプリングには、新たに高強度材を使用することで軽量化を実現
- ・フロントブレーキディスクはφ240mmからφ260mmへ大径化し制動性能をさらに追求
- ●スタイリング
- CRFシリーズの基本思想「マス集中“トライアングルプロポーション”」を継承しながら、新デザインのストライプを施したシュラウドを採用することで、さらに躍動感にあふれたイメージとしています。
- 車体色は、エクストリームレッド1色の設定です。
- =CRF450R 2015年モデルの主な変更点=
- ●エンジン
- 低速域の扱いやすさと高速域のパワー感向上を追求し、下記仕様を変更しています。
- ・エキゾーストパイプの排気ポートの向きを右側に変更し、管長の最適化を図るとともに、管径も一部拡大
- ・エンジンレブカット回転領域をさらに高め、高回転域のパワー感を向上
- ・PGM-FIのセッティングを変更
- ・3種類のエンジン特性モードを手元で切り替えられるエンジンモードセレクトスイッチとインジケータを新たに採用
- ・ACGフライホイールは慣性マスをアップしトルク感を向上
- ●足回り
- ・フロントサスペンションは、伸び側と圧側ともに低速/高速での減衰力調整を可能とし、ユーザーの幅広いセッティング要求に対応
- ・上記の調整機構をトップキャップに集約することで、セッティングの操作性を向上
- ・フロントサスペンションのダンパー側の加圧構造を変更し、フリクションの低減と作動性の向上を追求
- ・リアサスペンションのアジャスター機構を上部に集約することで、セッティングの操作性を向上
- ・ フロントブレーキディスクはφ240mmからφ260mmへ大径化。制動性能をさらに追求
- ●スタイリング
- 新デザインのストライプを施したシュラウドを採用することで、さらに躍動感にあふれたイメージとしています。車体色は、エクストリームレッド1色の設定です。
★主要諸元
車名型式 | ME10〈PE05〉 | |
---|---|---|
CRF250R〈CRF450R〉 | ||
発売日 | 2014年9月19日 | |
全長×全幅×全高(mm) | 2,181〈2,191〉×827×1,271 | |
軸距(mm) | 1,489〈1,492〉 | |
最低地上高(m) | 0.322〈0.330〉 | |
シート高(m) | 0.951〈0.953〉 | |
車両重量(kg) | 105.4〈110.6〉 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | - | |
燃費(km/L) | - | |
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転小半径(m) | - | |
エンジン型式 | - | |
水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 249.4〈449.7〉 | |
内径×行程(mm) | 76.8〈96.0〉×53.8〈62.1〉 | |
圧縮比 | 13.5〈12.5〉 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | - | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | - | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式 | プライマリーキック式 | |
点火方式 | フルトランジスタ式デジタル点火 | |
潤滑油方式 | - | |
潤滑油容量(L) | - | |
燃料タンク容量(L) | 6.3 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式5段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.357〈1.800〉 |
2速 | 1.888〈1.470〉 | |
3速 | 1.555〈1.235〉 | |
4速 | 1.333〈1.050〉 | |
5速 | 1.136〈0.909〉 | |
減速比1次/2次 | 3.166〈2.739〉×3.769〈3.692〉 | |
キャスター(度) | 27°23′〈27°04′〉 | |
トレール(mm) | 118.0〈116.0〉 | |
タイヤサイズ | 前 | 80/100-21 51M |
後 | 100/90-19 57M〈120/80-19 63M〉 | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式(倒立タイプ) |
後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
フレーム形式 | アルミツインチューブ |
※〈 〉内はCRF450Rのデータです