7月1日、早朝より目の前に広がる汽水湖で釣りを試みる。ロッド、リール、ルアーを持参し、ピアから投げる。全体的に浅く、湖底には海藻がたくさんあり、ルアーに沢山絡まって、また風と霧で釣りどころでは無い。それにトラウト類の遡上にはまだ時期が早すぎるためか、釣果はぼうずだった。
 朝食を簡単に済ませ、走行の準備に取り掛かった。昨日転倒した車両のヘッドカバーは、現地ライダーが持ち帰って、徹夜作業で溶接から塗装を行い完璧になおっていた。ロシアライダーもなかなかやるねー。

 
 今日からいよいよ本格的なダート走行が始まるのかと思うと胸が踊る。ゼッケン順のスタートは昨日と同じだ。宿を出るとすぐに先導車が砂に足を取られて転倒。軽量クラスのCRF250Lは難なくクリアーするが、後続のビッグオフも転倒。幸い怪我も破損も無く再スタート。
 すぐにダートに入るのかと思っていたが、舗装路は延々と続く。ユジノサハリンスク市街は交通量が多く渋滞するので西に迂回したが、やはり通勤ラッシュに巻き込まれて大渋滞。

 
 市街地を抜けると、94km地点で給油。
 ロシアのガソリンは五種類のオクタン価で表示されていて、98、95、90、88、85とある。日本のレギュラーに相当するのが。95だ。給油方法も完全先払いで余った分は返金してくれる。が、なにせロシア語の会話は出来ない。そこで思いついたのが、筆談。バイクのナンバーとオクタン価と容量を数字で記入し、相当額(120円/L位)を払えば、給油出来る。
 一度に何十台ものバイクがスタンドに押し寄せた為に、店もパニック状態になり、通常はセルフなのだが店の方が給油してくれた。



ユジノサハリンスク市街は渋滞


ガソリンスタンド

 
 100kmを過ぎた付近は銀河鉄道の夜の舞台になった鉄道の駅とか湖もあり、風光明媚な中を走る。実にサハリンらしかった。

 
 163kmに中間チェックポイントがあり、休憩。駅前で多少の露店が並んでいた。有料のトイレもあり、使用料は15ルーブル(日本円で50円位)。小腹がすいたので、ピロシキとコーヒーを買った。勿論、身振り手振りで。



風光明媚な中を走る


駅前で多少の露店が並んでいた


ピロシキ

 
 234km地点で、道路の右側でバイクを誘導する青年が。当然スタッフだと思い停止。
 ちょうど昼飯時なので気が利くなーなんて思っていたら、カフェの店員が客引きをしていたのだ。なんと商売上手なことか。

 店に入るとメニューがあったが、当然ロシア語で料理の写真はない。判るのはコーラとコーヒーだけ。先行して入った人たちも当然判らないので四苦八苦していると、この店の定食風のものを気を利かせて出してくれたらしい。
 席に座ると、一応「オーダーは?」らしきことはメイドさんが聴いてくれるのだが判らない。日本語で「何がおいしいですか?」と聞いてみると、ニコッとして姿を消したと思うと、しばらくして料理が運ばれてきた。先行者と同じ物が。コーラも付いている。

 料理の内容は、サラダ、ジャガイモ、キュウリのピクルス、ひき肉の団子、箸もついてきた。なんで箸があるんだろう? スマホの翻訳機能で話かけたが、通じなかったようで、無視された。
 後で判ったのだが、終戦で日本人は命からがら本国に帰ったが、朝鮮人は現地に残り生活を続けていたらしい。最近の地下資源の開発により労働力として、母国から働き手を呼び寄せているので、サハリンのレストランには箸(しかも割り箸)が置いてあるようだ。
 請求書を見ると、コーヒー30ルーブル(100円)コーラ1リットル150ルーブル(500円)サラダ50ルーブル(150円)とかなりリーズナブルな値段でした。



カフェ


定食風のもの


お勘定書き

 
 この昼飯を境にダート走行は始まった。

 ダートといっても、日本の砂利道や林道とは違い、固く締まった石まじりの土で、雨さえ降らなければ殆どは舗装路並みの路面だ。この道路の回りは湿地帯で水芭蕉があった。また電柱の形も独特だ。夏場は緑が多いが、冬前の枯れ果てた時期には寂しい道路になってしまうのかなー。
 写真は無いが、線路の横断(踏切)を何度も繰り返した。線路と踏み板の隙間が非常に大きく、斜め横断では前輪がはまってしまう程なので、線路に直角に侵入しないと危険だった。
 イリンスキーからは国道を南下し、今日の宿泊地であるホルムスクに向かう。この国道も小さな田舎町の中以外はすべてダート。海岸線にそって上下左右にうねりながら延々と続く。


ダートが始まった


ダート


定食風のお勘定書きの

 日本の道路の様に、平坦にする為に切り通しにする事など無く、自然の地形のままに道路を作っている所は、BAJA半島の道路に似ている。

 途中の路肩が広くなった場所でバイクに遭遇。かなり古いバイクだが、本人は自慢げに一生懸命になにかを説明している。見た目はヤワらしいが、どうもそのコピーらしい。
 先導車の後ろをそれなりのスピードで走行していると、いきなり左側を追い越すバイクが。なんと先ほどのコピー車だ。猛スピードで走ってきたのだろうか? 勇敢だねー。
 途中で砂浜に降りてみた。まだ海水浴には早すぎると思っていたが、ビーチでは日光浴をする姿が目立つ。砂山の影で見えなかった女性の二人組と危うくぶつかりそうになった。美しい二人だったが、カメラは向けられなかった。残念。



ヤワ?


海岸

 
 ここを境に、田舎町には必ず奇麗なアパートらしき建物が目立つようになってきた。どうやら地下資源の開発で働く人達の宿舎の様だ。しかも若い人が目立つ。日本の田舎とは大違いだ。

 この町を過ぎると、道は舗装になり、ホルムスク市街へと入りホテルに到着。
[本日の走行距離327.45km]



ホルムスク

 チェックインを済ませたが、シャワーはもう少ししないとお湯が出ないらしいので、水で我慢。冷たかったなー。
 時間的にはかなり遅いのだが、陽はまだ高いので、町を散策。
 まずはホテルの近くのバザールに行ってみた。20軒ほどの露店があり、衣類、食料、履物となんでもそろっている。が、客に声を掛けるでもなく、ただ店番をしている。カメラを向けるとほとんどは腕をクロスして「だめー」のポーズ。やっとの事で野菜を扱っている二人組の了解を得てパチリ。やはり社会主義国の名残なのかサービスという言葉を知らないらしい。ホテルのカウンターでは「ウエイト」って言われたし。犬じゃないんだから、プリーズつけろよなー。

 
 町中の店舗のガラスはスモークがかかっていて、何を売っているのか判らない。一緒に行ったある人は、飲み物を買いに店に入ったら、携帯電話屋さんだったらしい。
 でも、ファッション関係のお店は鉄格子こそあるが、中の商品がよく見えていた。きっと若い経営者なんだろうなー。



2日目のmap


バザール


街中

 
 夕食は、サラダとボルシチと肉の煮物? とご飯 それに沢山のビールとウオッカ。ボルシチはクリーミーでおいしかった。さすが本場の味でした。ご飯はイマイチだが、スパイシーな肉料理はおいしかったです。パンも2種類あり、日本では食べた事のない食感と味でおいしかったです。



2種類のパンとたくさんのビール


ボルシチ


肉料理